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戯曲 一人芝居 ゆるやかな自殺

データ↓

あらすじ↓
一緒に死んであげる話
本文↓
緩やかな自殺

 

駅前の喫煙所

 

明転

 

みずきはライターを受けとる

 

「どういたしまして。うん。そこのコンビニで深夜に働いているから。始発までの間に一服しているの。君は。あー、あそこの居酒屋か。使ったことないな。君はコンビニ使うよね。おぼろげにだけど覚えてるよ。まあ、喫煙所にいるイメージの方が強いけど。珍しいの吸っているなって記憶してたよ。なにそれ。ぶらっくじゃっく?ブラックジャック!いいや、初めて聞いた。どこで売っているかも分かんないや。え?私?なに吸っているでしょうか?いいじゃん、火貸したんだから、これくらい付き合ってよ。残念。違います。いいえ。正解は。これ。ホープ!長さで覚えてなかった?まあ、まじまじと見られていたら、それはそれで嫌だったかもだけれども。え?うん。空だよ。全部吸った。というか、今日から禁煙。え?特に理由はないけど、死にたくなくなったからかな。だって、喫煙て緩やかな自殺でしょ?自傷行為というか。暴飲暴食とか、夜更かしとか、ハードワークとか。全部、緩やかな自殺。違う?分からない?嘘。君も同じ完成かと思ったけど。だって、君、今日、死ぬつもりでしょ?はい。もう一本吸うでしょ?吸わない?そっか。見当違いだったか。ごめんごめん。え?ああ、なんか死にそうな雰囲気というか、感じただけ。え?別に。何かあったわけではないけど。あのね、君は違うかもしれないけど、人は理由もなく死にたくなるし、理由もなく死にたくなくなるの。そして、それは、自然なことだと思うけど。違う?嫌です。聞きたくありません。私は感受性が豊かなので、人の辛かった話は聞きたくないかな。でも、慰めることはできるかな。今日、これから時間ある?なんでって、慰めてあげる。え?人と一緒にいると、救われない?ピンと来ないかな?私はそうだよ。バイトの後、喫煙所に君がいて、話さないけど一緒にたばこを吸っている時間は、救われる時間だったけどな。そうだよ。だから、君に死んで欲しくはないな。そうだよ。私のため。あと、ブラックジャック?売っている店を見てみたいし。興味あるの。相談は乗りたくないって。一緒に気分が落ちちゃうし。じゃあ間をとって、一緒にブラックジャック吸ってあげる。ね?一緒に緩やかに死んであげるからね?え?さっきのが最後の一本だったの?じゃあ、一緒に買いに行こうか」

 

暗転

 

End

 

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