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風見鶏 一人芝居 戯曲

データ↓

本文↓

風見鶏

動物園
ハシビロコウの柵の前
みずきは柵に肘をつけて見ている
みずきは片足立ちしている

明転

みずきは飲み物を受け取る

「あ。ありがとう。うん、ずっと見てたよ。岩みたいだね。それか木か。
「え?ああ、確かに。本当だ。おそろいだね。真似じゃないけど。フラミンゴの時もそうだった?じゃあ、無意識に真似ていたのかもね」

みずきは軸足を変える

「楽しい?そう。私は楽しいよ。園って好きだし。そう、園。あー。開放的な知的収集所だから?球場は開放的だけれども、知的収集上ではない。図書館は知的収集上だけれども、開放的ではない。私が好きなのは園。動物園とか植物園とか。
「ん?好きだよ、水族館。え?あんまりかな、公園は。埃っぽいし。
「だから、君がデート場所として誘ったのが動物園で良かったよ、来れたし。
「違うの?私はそうかなって思ったけど。うん。そう。断りにくかったし。私、人の誘い断るの苦手なんだよね。
「無理してないよ。楽しめてるし。
「うん、よく来るよ。人と来たのは初めてだけれども。
「君は?そう。それなのに誘ってくれたんだ。



「ああ、まだ入っているから。ありがとう」

「もてなされるのって、悪い気はしないね。好意も感じるし。下調べとかした?私の好み。へー。じゃあ、気が合うのかもね」

みずきは軸足を変える

かなりの間

「私、人を好きになるってよく分かんないんだよね」

「ごめんね。長々、同じ場所にいちゃって。ハシビロコウ、好きなんだよね。動いている姿が見たくてつい。捨ててくる?行ってらっしゃい」

「好きになるのが分からないんじゃなくて、好きの表現の仕方が分からないのかも」

クラッキング音

「おー!動いた」

みずきはゴミカゴの方を向く
みずきは歯を鳴らしてお辞儀をして頭をふる

暗転

END

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