非認知能力調査・実感ワークショップ | 彦根工業高校 マイスター・ハイスクール事業
こんにちは。
インパクトラボ・滋賀大学大学院データサイエンス研究科M1の戸簾です。
今回は、2022年度より取り組んでおりました、文部科学省マイスター・ハイスクール認定校である、滋賀県立彦根工業高等学校での非認知能力調査について、2023年12月14日(木)非認知能力調査ワークショップを実施しましたので、その様子を紹介をしたいと思います。
彦根工業高校 マイスター・ハイスクールについて
彦根工業高校でのマイスター・ハイスクールの取組では、「地域に密着し、産業人として活躍できる人財」を育成する人材像とし、自分で考え実行する課題解決能力や、伝統産業の技に繋がる基礎的知識、最先端技術の習得を目指すだけで無く、変化をチャンスに転換するチャレンジ精神や郷土愛にあふれた人材を育成することで、地域を活性化させる力を付けることを目的としています。
調査背景・概要について
非認知能力は、OECDにて2015年に「非認知能力」の定義を公表され、国際的な学習到達度に関する調査であるPISAにも反映されているなど、単純な学力とはまた別の能力として、いま注目されています。
彦根工業高校では、マイスター・ハイスクールに関する新しい取り組みを進めています。その中でも単純な学力だけでは測ることが難しい、生徒自身の強みや活躍できる人材の可能性を模索してきました。
特に、工業高校では就業意欲が高い生徒や、実学的な学問に興味を持つ生徒が多い特徴を持っています。そこで機械の安全な使い方や確実な事業遂行、起業といった挑戦に、非認知能力で定められている能力が求められることから、この調査の実施に至りました。
本調査は既に非認知能力調査を通じて、児童生徒の特徴を把握している埼玉県の学力・学習状況調査にて実施された調査を参考に実施しました。
(参考:https://www.rieti.go.jp/jp/events/18121401/pdf/1-2_ooneda.pdf)
ワークショップについて
ワークショップでは、昨年度の1年間、協力いただいたクラスにて取得した非認知能力調査データをもとに、各生徒ごとに「非認知能力カルテ」を発行し、その内容から、自分自身の非認知能力を見直す、クラスメイトの非認知能力の結果から、お互いの魅力を発見することを行いました。
作成したカルテでは、具体的な数値や評価は表記せず、あくまで自分自身を見直す、今の自分と比べて、当時の自分がどのような考え方だったかを振り返ることを目的に「非認知能力ギャップ」という形式でデータを処理し、カルテに落とし込んでいます。
運営したメンバーの予想では、自身の考えと同じような生徒は納得感があり、大きく差がある生徒は納得できないという、わかりやすい反応があると思いきや、蓋を開けてみると意外にも、差がある生徒ほど自身の能力に興味関心を抱き、自身の将来との繋がりを考えることができた一方、自身の能力を適切に推し量れた生徒は「考えている通りだった」という感想以上のことが出ず、この能力がどのように役立てられるかを考えにくいという、意外な結果となりました。
これらの取り組みに協力いただいた、彦根工業高校の事務局長 前田 正志様、マイスター・ハイスクールCEO 青木 政義様、マイスター・ハイスクール推進室 古市裕貴様には大変感謝しております。
今回のような、これまでの教育では測ることが難しいとされる非認知能力を考える、実験的なチャレンジをこれからも積極的に実施し、その様子や成果を社会に発信していきたいと思います。引き続き、インパクトラボでの取り組みへの応援をよろしくお願いいたします。