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第六弾「学生を輝かせるサポートの在り方」| WEB特別インタビュー

本noteは、2024年4月18日発売の『地味にすごい探究学習のはじめかた / すすめかた』の出版を記念し、「第4章 探究の “キロク”」に誌面の都合上、どうしても入れきれなかった方々の、探究プロジェクト活動の記録を皆さんに公開します!

探究学習に挑んできた方々の体験談から、本書のイメージをつかんでもらえれば幸いです。

またこの度、本書はKindle版の出版、およびKindle unlimitedでも読んで頂けるようになりました!お手に取りやすい形になった本書を、是非とも皆様ご一読下さい。

学校法人立命館 職員
安原壮一 さん

今回は、これまでのインタビューとは異なり、Sustainable Weekの設立時期から、筆者の上田や書籍内で登場した皆さんを影ながらサポートしてくださった、学校法人立命館の職員、安原壮一さんへのインタビューを行いました。

ぽっと出の学生団体でしかなかったSustainable Weekが、なぜ全国でも注目される取り組みへと成長したのか、なぜインパクトを生み続けられる源泉だったのか。一番近くで見守っていた大人として、監修者の山中先生とは少し異なった視点から、私たちの活動を振り返っていただきました。

なお、Sustainable Weekは、2017年に日本初の学生主体のSDGs体験型イベントとして開催され、現在は著者である上田・戸簾の所属法人であるインパクトラボの学生自主事業の一環として包含された取組です。

──Sustainable Weekの立ち上がり時期から見てきた、集まる学生の異質性

まず、活動に参加していた皆さんが、初めてのことにどんどん挑戦してもらったのはすごい良かったと思います。当時、SDGsという言葉が、世の中に全く広まっていなかったにも関わらず、そこから日本の大学での初めてのイベントを行いたいとの思いに動かされたと覚えています。

しかし、当時は活動の初期メンバーの3名くらいで終わるのかと思っていました。ところが、初年度で一気にたくさんの賛同者が集まって、最終的には上田さん、戸簾さんがおられるインパクトラボにまで昇華しており、素晴らしい活動になったと感じています。

このような活動に至った理由の一つとして、私が思っていることは、個人たちがそれぞれやりたいことをわがままにどんどん言ってくれてた点があると思います。「本当にそんな話が実現できるのか?」といった話がたくさんありました。一方で、それをやってみたい意志も強く、職員として支えがいがあったことも事実ですし、私自身も楽しんでいました。

どうしても口で「やってみたい!」と言う学生がいても、フィードバックに対して、返答があったり、相談があったり、別の答えを自分で探してきたりすることができない場合も少なくありません。ところが、Sustainable Weekでは、そのようなことができる学生らが塊で現れ、その集まりで一気に進めていったところが特に他の学生らとの差だったと思います。

──そのような活動支援を行う中で、心がけていたことはありますか。

学内のルールや補助金の使い方など、学生の立場では見えない制約を明確にした上で、その中で最大限できることをやってもらえるようにサポートすることを心がけていました。

大人の立場として、相談を受けつつ、できる限り実現させてあげたかった。そのために必要のない対立や障壁に当たらないように、事前に私から学内のルールとか、法律に触れること等に関しては、きっぱりと断り、その上でできることや考え方を共有していました。

ルールの範囲内でできることを見つけ出す経験やスキルは、社会で活躍する上で重要な力であるはずですので、そのようなスタンスで臨んでいた節もあります。

例えば、学内で気球やバルーンを飛ばそうといった企画があった際に、これまで行ったことがない取組だったため、職員として身構えました。しかし、自分たちだけが利益を得るのでは無く、社会的に意義があることだと、学生らがちゃんと論理立てて行ってくれたこともあり「職員としてね、何か支えてあげたいな」と思うようになりました。

もちろん理論的であることは重要ですが、それ以上に、感情的にも入れ込んでも良いと思えたのもあります。そのような熱意を持って、活動に挑むことは自分以外の様々な人を巻き込んで行くのだと再認識させられました。その結果、高速道路のNEXCOに連絡取ってだとか、もう市役所の許可を何度も取る必要があったりと大変なこともありましたが、今となっては私自身、職員としても、ファーストペンギンとして飛び込めたことは良かったと感じています。

私たち大学職員の使命は、「学生の学びと成長」に貢献することだと常々思っています。学生達が挑戦してみたいことに挑戦できる環境を提供し、成長してもらうことが何より大切なことだと考えています。Sustainable Weekでは、「学生の学びと成長」への貢献を意識するだけでなく、学生たちが相談しやすい雰囲気作りも意識して、活動支援していたことを鮮明に覚えています。

──当時の印象深かった活動や出来事はなんでしょうか?


第一回であるSustainable Week2017を実施した際に掲示した垂れ幕

当時、活動のトップになっていた馬場さん(書籍第4章掲載)と、上田さんと3人で話したことを思い出します。その時、活動や団体ができはじめたばかりで、うまく運営が行かず、馬場さんは非常に悩んでいました。そのときに悔し涙を浮かべていたことを思い出します。その時から、彼の活動へのスタンスは大きく変わったように感じます。

例えば、リーダーとして尊大な物事を言うだけでなく、皆への接し方も少し丁寧になって行ったと思いますし、自分で意見を出しながらも、どちらかというとプレイヤーからマネージャーに徹するような形に落とし所を見つけていました。

彼の中でも、それまでのスタンスとの葛藤があったと思いますが、私を含め、自分の悩みを誰かに相談して、その内容をちゃんと自分に反映させる経験を経て、一回り成長していく様子を、職員の立場で見られたのは非常に印象に残っています。

実はこのようなことは馬場さんだけでなく、2018年度の実行委員長である切田さんや、そのほかの学生らも同様でした。彼らとは「職員と学生」というよりかは、ちゃんと、人と人として対等に接することができたことが大きかったのかと思います。

──探究学習に挑む高校生に一言。

今回の書籍やWebで取り上げられている方々は、皆がスーパーマンではありません。ですが、それぞれの分野でやるべき事を見つけ、そこに熱中していることは間違いないと思います。そんな方々がどんどん今、社会に出て、それぞれの分野で飛び抜けた成果を出しています。

ただし、どうしてもモチベーションが低くなってしまったり、引っ張っていくことがむずかしい学生も多いと思います。だからこそ、自分が何かに熱中している学生らは、そのような子たちが得意なことを見つけてあげて、一緒に何かを行う。一人ではできないことも、複数人ならできると思います。そのような活動の中には、いくらモチベーションが高くても、実現できないこともあるはずです。

だからこそ、様々な立場、考え方、思いを持った人が集まり、お互いがお互いを尊重し、利用し、利用され、そして高め会う、そのようなオープンイノベーションを楽しむ心を、大学生活や探究学習でも持ってほしいと思います。

手前味噌にはなりますが、そのような点において、立命館大学は多様な補助金やリソース提供などの支援制度や、総合大学としての様々な専門性や考えを持った人たちが集まりやすい強みがあると言えると職員ながら感じています。

是非とも、大学生活や探究学習において、自分の熱中できることを見つけ、全力で取り組み、ですが悩んだときは周りをちゃんと頼るような、そんな活動を行ってもらいたいと思います。

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そのほか、WEB特別企画に関する記事は以下のマガジンから、ご覧頂けます。

書籍紹介

書籍では、探究活動に挑んだ「探究の “キロク”」だけでなく、皆さんが探究学習を『はじめる・すすめる』ために必要なことをたくさん盛り込んだ内容になっています。

ありがちな「こんなすごいことやってる!」といった内容ではなく、学生達が「どんなことに悩んでいたのか、どうやって解決したのか」に焦点を当てた書籍となっています。

【目次】

【購入特典】
・探究学習のルーブリック見本
・探究学習のリフレクションシート
・探究学習に役立つオンライン学習シート

書籍詳細

出版社:紫洲書院
出版年月日:2024/4/18
ISBN:978-4-909896-14-8
判型:B6
ページ数:‎ 148ページ
書籍定価:1,870円(税込)
Kindle定価:1,250円(税込)

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