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IMPACT ONLINE SESSION〜第一回 IMM勉強会〜

こんにちは。インパクトスタートアップ事務局です。
先日会員向けに「IMPACT ONLINE SESSION〜第一回 IMM勉強会〜」を実施しました。
IMMとは、Impact Measurement and Managementの略で、インパクト測定・マネジメントのことを指します。
今回は勉強会でどのようなことを行ったのか、レポートでお届けします。


何故ISAがIMM勉強会をやるのか

 インパクトスタートアップ協会は、正会員の要件として「目標とするパフォーマンスに「インパクト」に関する指標がある・作ろうとしている」ことを置いています。
 一方で、事業活動を通じて創出したインパクトの測定・マネジメントに関してはまだまだノウハウや具体的な事例も少なく、多くの企業が手探りで進めている状態です。だからこそ、協会のネットワークを通じて講師をお招きし、IMMに関する体系的な概念や具体的な事例などを会員の皆様にご提供したいと本勉強会が企画されました。

 IMM勉強会はIMMの基礎とベストプラクティス、スタートアップにおけるIMMの実務、インパクト投資から見たIMMのは3回シリーズで行う予定で、モデレーターはISAの代表理事であり、ユニファ株式会社の取締役CFOの星 直人が務めます。

 1回目は、2月1日に開催され、オンラインで約100名の方にご参加いただきました。

講師のご紹介

 今回講師としてご登壇いただいたのは、Impact Frontiersディレクターを務める須藤奈応さんです。アメリカからオンラインで参加いただきました。

インパクトマネジメントとは?

インパクトマネジメントとは「事業や取り組みがもたらす変化や価値に関する情報を各種の意思決定や改善に継続的に活用することにより、インパクトの向上を目指す体系的な活動」のことを指します。なお、「インパクト測定及びマネジメント(Impact Measurement and Management, IMM)」は、最近では、インパクト測定が定量的な評価に焦点があたりがちであること、プロセスを継続的に回して改善させることが重要であることから、単に「インパクトマネジメント」と言われることが多くなったとのことです。

インパクトには、「ポジティブなインパクトを向上させる」ことと「ネガティブなインパクトを抑制させる」という2つの側面があり、いずれも重要な観点です。さらに大切なのはIIMMを事業の意思決定に活かしていくことです。

IMMの流れは、上記スライドの通り4つのステップがあります。ビジネスにおけるPDCAサイクルと同様の考え方とイメージすると、理解しやすいかもしれません。

そもそもなぜIMMは何のためにやるのでしょうか?  
「ロジックモデルの作成を通じて社会から見た長期視点で自社の価値を整理することができる」という実践者の言葉を引用しながら、須藤さんは、IMMの目的はよりインパクト拡大に向けた事業活動の改善であると説明しました。

知っておきたい5つのコンセプト

続いて、インパクト投資の世界では共通言語のように使われている5つのコンセプトが紹介されました。
以下、簡単にご紹介します。

1:インパクトとアウトカム
インパクトとは「会社の行動によって起こる結果の変化」のことでアウトカムは「組織によって引き起こされる、人々のウェル・ビーイングまたは自然環境の状態の変化」を指します。

2:セオリーオブチェンジ
究極的なゴールに向かうための道筋のことを指しています。セオリーオブチェンジに関しては、決まった定義がなく多様であり、ロジックモデルを指すという人もいます。

3:インパクトの5つの基本要素
創出されるインパクトを多面的に分析するツールが「5 Dimensions of Impact」で、What(どのようなアウトカムか)、Who(アウトカムを享受するのは誰か)、How Much(アウトカムの大きさはどの程度か)、Contribution(企業の寄与度合い)、Risk(リスク)から構成されています。

4:インパクト指標の考え方
何が重要な指標なのかは、ステークホルダーの視点で捉えることが大事です。かつ、投資家、投資先、事業会社のコントロール範囲内にあるものを組み合わせるのが一般的です。そして、可能な限り因果関係の強いものを選ぶことも重要です。

5:インパクト目標の設定
サステナブルではない状態とサステナブルな状態の境目(thresholds:閾値)を設定することが多いです。例えば、科学で定義されている地球規模の限界(2度シナリオ)や、安全に管理された水に関するユニセフの基準といった定性的なもの等が該当します。

「とりあえずやってみる」ことが大事

 最後に、須藤さんより「IMMは、正確性や精緻なものを追求するとコストも時間もかかるもの。正しい正解が存在するわけではないからこそ、各社で悩みながらもやってみることが大事です」と締めくくられました。

 終了後のアンケートでは、5点満点中のうち平均で4.5と大変高い満足度をいただくことができました。

 2回目はIMMの実務をテーマに行う予定です。今後もISAでは、会員の皆様にとって有益な情報を提供できるよう、勉強会などを企画していきたいと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。



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