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「IMPACT CAMP2024」を開催しました 


「社会課題の解決」と「持続可能な成長」を両立させ、ポジティブな影響を社会にもたらすことを目指すインパクトスタートアップ協会は、2024年3月6日(水)に「IMPACT CAMP2024」を開催しました。「スタートアップの経営は日常が高揚感や絶望に溢れている。」五常・アンド・カンパニーの堅田航平さん談ですが、インパクトスタートアップが挑戦している課題の大きさや難易度を考えると悩みは尽きません。協会での活動を通して、その悩みが少しでも軽くなったり、仲間でノウハウや経験を共有することで、突破口に繋がったりすればと思い開催にいたりました。

インパクトスタートアップ協会 代表理事 米良はるか
孫泰蔵さんによる基調講演

当日のプログラムは大きく3つ。午前中のインプットする学びの時間。午後のアウトプットするグループセッションの時間、そして懇親会です。午前中は、協会代表理事の米良はるかの活動報告に始まり、連続起業家であり、国際的エンジェル投資家である、孫泰蔵さんの基調講演に続きます。今回孫さんは、次世代の起業家に何か還元できることがあればということで、シンガポールから「IMPACT CAMP2024」のために、帰国して参加してくださいました。(孫さん、本当にありがとうございます!)
孫さんの30年以上のビジネスのご経験と人生の変遷。一般的な投資基準とは異なる、孫さん独自の判断軸のお話しなどを、実際に投資されているスタートアップを例にしながらお話しいただきました。孫さんから参加者へのメッセージは大きく3つ。

起業家の挑戦は世界をより良い方向に転換できる
最初はたった一人の妄想かもしれないが、一人の妄想が世界を変えるということを信じる。

目線の高い問いを立てる
自分たちの問いは何か?を議論し続ける。問い自体は、変わっていってもいい。目線の高い問いを立てることで、次の行動が変わっていく。問いの質が高いのは、その人の能力や技術力が高かったのではなく、そういう問いを立てたいと思ったから。

AIの技術革新による新しい形のスタートアップの勃興
既成概念にとらわれず、最新のテクノロジーを駆使して、普遍的な地球規模の問題を根本的に解決をする国境を越えたスタートアップ「αスタートアップ」の流れが起き始めている。これまでのビジネスでは、良い技術・良い事業の裏側にはトレードオフとなるようなネガティブな側面があったが、これら「αスタートアップ」の事業運営の特徴は、全ての要素においてポジティブな変化が起きるということ。

世界の潮流も変化が起き始めており、今後インパクトスタートアップが日本のメインストリームになっていく、それを考えると「今日は歴史に残る一日、本当にここにいられて光栄です。」という力強い言葉で講演は終わりました。
さて、次はパネルディスカッションです。基調講演の孫さんの話しを受けて、小林史明さん、孫泰蔵さん、青井浩さん、インパクトスタートアップ協会からは理事の岡田光信がパネリスト、エール株式会社取締役の篠田真貴子さんがモデレーターとなって、実際にみなさんが解かれた問いとその取り組み方、そして最後は協会正会員に向けたメッセージをいただきました。

パネルディスカッションの様子

青井浩さん (株式会社丸井グループ 代表取締役社長CEO)
問い:丸井は2007年から7年間は経営危機に陥っており、2009年には、創業して上場以降、初の赤字決算も記録し業績低迷が続いた時。なぜ、人と社会から見放されて経営危機に陥ってしまったのか?
答え:会社を経営していく目標が人と社会に役立つことから、業績至上主義に取ってかわったことが弱体化につながった。人の役に立ってこそ利益が増えるということを身をもって実感した。
資本主義と社会的インパクトの両立は難しい。ステークホルダー間でコンフリクトをあえて作り出して、どうやって乗り換えるかという議論をする。紛糾することで、対立のポイントが明確になり解決の道のりが見えてくる。日本の会社は揉めないことを大事にしすぎる傾向があるが、意見の違いは信頼関係の崩壊の始まりではなく、社会を見るフレームワークの違いを認識しあうこと。そうすることで逆に信頼関係が構築できるようになる。
期待すること:丸井の目指す社会的インパクトと利益の追求はインパクトスタートアップとも共通の目的なので、協業していきたい!

小林史明さん (自由民主党 衆議院議員)
問い:テクノロジーを社会実装するための規制改革を実施したいが、どうやって改革のスピードを加速させるか?通常だと年間数10件程度だが、50個の規制改革をやりたい。 
答え:陳情型の規制改革(陳情に対して個別に対応していく)から全ての法律を横断的に改革し、技術的中立性を達成するためという一つの原則に従って規制を見直す仕組みを導入した。具体的には、押印の廃止。様々な法令において、目視で確認が必要な法令が2,000以上、常駐して確認するのが数千以上あったので、それもデジタル化の進んだ現状に即して変更していきたい。
期待すること:社会的インパクトのある事業が稼げるということを証明してください。政治行政に困りごとを共有してくれれば、あとは、政治側でやります!情報・技術・人が循環することで役割の線引きをなくすという仕組みを作れたらいいと考えています。

孫泰蔵さん (連続起業家 ベンチャー投資家)
問い:何をするために生まれてきたのか?
自分が40歳になったとき、論語に「四十にして惑わず」(人間は、40歳にもなれば、惑うことがなくなるものだ)という言葉があるが、全然そんなことはなく、経営者として、ビジネスの業績は好調なのに、様々な外部の声に心を惑わされることを何度も経験していた。
答え:自分が死ぬ時にちょっとは社会のお役に立つことができたと思って死んでいきたい。事業を始めた時、自分は何も持っていなかったけど、現在、自分が経済的に恵まれているのは、社会のおかげなので還元していきたいと思った。内村鑑三の「後世への最大遺物・デンマルク国の話」で語られている、「勇ましい高尚なる生涯」がすごくささった。社会貢献性の高いビジネスは世の中一般では収益性が高くなく、誰もやっていないが、自分の意思として応援したいので応援しようと決めた。
期待すること:今ある規制や法令は現在の新しい技術や社会システムを想定していないので、多くの人の共感を集めているようであれば、まず行動しよう。10、20の問題を一気に解決するにはどうすればいいかということを考えるとスケールが変わる。

岡田 光信 (インパクトスタートアップ協会理事 株式会社アストロスケールホールディングス 創業者兼CEO)
問い:例として、年間交通事故で2,500人が亡くなるのは課題か、現実か。これは課題ではなく、現実。課題かどうかは自分がビジョンをどうやって置くかで変わる。
答え:例えば、年間亡くなる人はマイナス2,500人であるべきというビジョンをおいたとする。自動運転の車に乗ると子どもが一人生まれる、と。何を言っているかわからないので人から笑われる。令和の時代の問いの立て方は、人から笑われるくらいがちょうどいい。目線・視座を上げることが大事。
期待すること:国の仕組みだけで、数多くの社会課題を解決するには限界があるので、多種多様な課題を民間で解いていって欲しいです。

午後の部では、インパクトスタートアップを経営するにあたって、重要な要素であるインパクト測定、組織、資金、ブランディング(コミュニケーション)そして規制改革などについてのグループセッションが17セッションあり、数多くの学びを共有する場となりました。自分の興味関心に沿って、自由に選んで参加していく方式です。

グループセッションの様子

ファイナンス
「アナリストと考える事業戦略エクイティストーリーとは」「悩み相談(ファイナンス)」、「公開引受部相談会~IPO準備に欠かせない組織作りの在り方とは~」「Cotenの資金調達」「IPOマーケット環境を機関投資家アングルで捉える」「ストックオプション/株式報酬設計」「インパクトIPO」など

政策提言/PT

「分科会PT(農業)」「国策のインプット(内閣府/経産省)」など

インパクト
「解説 インパクトレポート」「IMMへの第一歩!
自社事業のロジックモデルを書いてみたいOR改定してみたい方のセッション
」「地方インパクト」「インパクト相談」など

組織・人事・広報
「人事組織 ミッションドリブンな組織におけるDE&Iの在り方」「女性の活躍で企業はどう変わるのか?これからの女性の育成と組織強化」「ブランディング・広報」「経営者のセルフマネジメント」など

懇親会の様子

グループセッションで仲間もでき、話し足りない思いは、懇親会で解消です。懇親会は、インパクトスタートアップ協会代表理事水野雄介の挨拶からスタートしました。今日の学びについて、お酒と興奮に顔を赤らめながら話している様子が印象的で、大盛況のうちに「IMPACT CAMP2024」は幕を閉じました。


参加者の声。参加してみたら、モヤモヤが解決されてた!

株式会社Ashirase COO 石井 貴幸さん

Q:参加した目的は?
A:色々な方が一同に会されるイベントなので、ナレッジシェアやネットーワーキングです。

Q:得られた学びは?実務に生かせそうですか?

A: 一番面白い、個人的な疑問が解消されたのは、エクイティストーリーのところと、株式報酬の諸々のセッションです。大変勉強になりましたし、実務に生かせると思います。ここでお話できないような突っ込んだお話がたくさんあって、結構ぶっちゃけたリアルな声が聞けるセッションが多かったのがこのイベントの醍醐味でした。お互いが混ざり合うことで生まれる熱量を元にディスカッションが生まれてくるのはいいなと思います。

Q:今後、協会に期待することは?
A:私は今ファイナンスを管掌しています。このインパクトスタートアップ界隈でも、もちろんそうですが、ファイナンスの難しさって結構あると思うので、経験が長い人、新しい人含めて分科会的にCFOの勉強会とかあるといいなと思います。


他にもアンケートではこんな声も。

「前半で、色んな経験をされた先輩起業家の方の話を聞くことが出来、視座が上がりました。また後半ではプロフェッショナルな証券会社の方々から非常に為になる話を聞けましたし、同じような課題に向き合う他社の方々と話す事ができ、普段の業務における具体的な解決策についても考えることが出来ました。」
「社会課題の解決に向けたインパクトを生み出していこうという想いを新たにするようなモチベーションを高めてもらえるセッションと、そこに向かって成果を出していくために必要な知識や経験を共有できるセッションがバランスよく構成されており、視座を高めるための大変貴重な機会でした。」


正会員募集しています。2024年3月31日(日)まで

数多くのつながりと学びを生み出す場である、インパクトスタートアップ協会では、現在第四期の正会員を募集しています。
正会員は、下記を含む、「インパクトスタートアップ」の特徴に当てはまる企業を対象とする会員種別です。

  • 創業の背景や企業の存在意義に「社会へのポジティブなインパクトを与えたい」という意志が強く組み込まれている

  • 目標とするパフォーマンスに「インパクト」に関する指標がある・作ろうとしている

  • インパクトの創出に関する活動を実際に行っている

年に一度の入会の機会なので、悩んでいる方は一度HPをご覧ください!どんな方々が参画して、応援してくださっているかも記載しています。
https://impact-startup.or.jp/news/press_20240307



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