施設体験
研修プログラムになっているのかは分からないが私は今日子につれられ、とある児童養護施設にやってきた。男女が分かれた建物には3、4歳から高校生くらいまでの総勢100人位が生活していた。私は男子の建物に入り、彼らの生活を体験する事になった。内装は生活感があるものの、正直我が家より遥かに綺麗で日当たりも良くなかなかの快適空間であった。ここで数名が暮らしているようだ、その日は土曜日であり中学生や高校生は施設の方々が作るお弁当を持って部活などに出ているらしく部屋には5、6歳の男の子と今年受験をしたらしい中学生が時折こちらをチラチラ気にしながらテレビゲームをしていた。私の様な見学者は時折来るらしく、彼らも慣れているようだ。その後外に出て皆でボール遊びをしたり、食堂でお昼をたべたりした。皆なんらかの事情でこの施設で暮らしている。気性の激しい子、何も喋らない子、障害のある子、外国人の子、多種多様な子供たちが暮らしている。皆何らかの事情で親とは暮らせないのだ。物のありふれたこの時代の日本で彼らは決して裕福ではないが、決して海外のストリートチルドレンの様なあからさまな貧困である様にもおもえなかったが彼らには共通して何かが欠落しているような違和感を感じたのも事実だ。それは施設育ちという先入観なのかもしれないし、ただの勘違いかもしれない。しかし彼らの無垢な笑顔の奥に垣間見えた影は一体何だったのだろうか?何かが欠落しているような、無機質というか、それは親という愛情でしか埋める事のできないとてつもなく巨大な、彼らの全ての感情を栄養にしている冷たいブラックホールを心の奥深くに抱えているかの様であった。考えすぎかもしれない、皆精一杯生きている、綺麗事ではない。私はいつも通りただただ途方に暮れるだけであった。