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中学生達が夢中になった積み木の「ロマン」

こんにちは、いもいもの古谷(あき)です。

前回の記事では、しりとりをベースにした教材を取り上げて、小学生低学年の子どもたちがどのように「考える」ということをしていたのかを書きました。

今回は、中学生の授業について書いていきます。
いもいもでは、中学生でも、積み木やら、ジェスチャーやら。

中学生がやる教材なの?と思われるような幼児教育然とした教材ですが、実はこれら、非常に良質な試行錯誤を内在する教材なんです。
ちょっとした制約を加えると、途端に中学生でも、それどころか大人でも十分考え甲斐のある、極上の思考力教材に変化します。

この記事では、8月16日に開催された『井本数理思考教室 数理集中セミナー』(中高生対象、なんと7時間ぶっ続けでの数理思考授業!)での積み木の様子を紹介していきます。
数理好きの中高生たちが本気で取り組む積み木の素晴らしさ、ぜひご覧ください。

※ いもいもでは、「いもいも教室」「井本数理思考教室」という2つの教室を展開しています。「いもいも教室」が総合的な思考力教室なのに対し、「井本数理思考教室」は数理好きの子ども達のための、数理思考に特化した教室です。

アーチをかけろ!

「カプラ」と呼ばれる積み木で、机と机の間にアーチをかける。
いもいもでずっと前から扱っている数理教材です。

床から柱を建てるのはNG。
カプラにはレゴのようにブロック2つをくっつける機構もありませんので、適切に重りとなるカプラをおき、バランスを考えながら、ちょっとずつ前にせり出していくように作っていきます。

最初に提示したのは、幅60cm、カプラ100本以内。
さすが中高生たち、最初コツを掴むのにはちょっと苦戦しつつも、30分くらいでアーチが出来上がりました。

なるべく少ない本数で!

しかし、本番はここから。

改めて提示されたのは、「なるべく少ない本数で」というお題でした。ここから彼らの挑戦が始まります。

出来上がったアーチをじっと見て、触って、必要のないカプラがどこかにないか観察し、ジェンガのようにそーっと外していく。
作ったときには100本全てに意味があると思っていたのに、意外と10本くらい取り除けたりするのが面白いところです。

もうこれ以上は無理だろうと思ったら、一旦崩して作り直し。
どうしたら少ない本数で作れるか、研究が始まります。

どんな形が効率がいいのか。
重りはどこにどのように置くのがいいのか。
カプラとカプラはピッタリくっつけるのか、少し隙間を開けるのか。
何度も何度も崩しては作り、崩しては作りをしていくうちに、徐々に形が洗練されていきます。

より少ない本数でアーチを完成させ、また不要なカプラを取り除く。限界が来たら、また崩して作り直し、また不要なカプラを取り除く。
70本を切ったあたりから、そう簡単には取り除けなくなっていきます。

そのままでは取り除けなそうなので、重りの位置を数ミリずらしてみて、より安定したらもう一度取り除けるカプラを探してみる。
構造全体を少しだけずらしてまた少し安定させ、取り除けるカプラを探してみる。

たった1本減らすための超緻密な試行錯誤がたまりません。

最終的には、カプラ1本1本の微妙な重さの差を利用したり、カプラを斜めに使うと、ほんの少しだけ長さが稼げることを利用したり(長方形は対角線の長さが最長!)。
最初には全く気づいていなかった小さなことまでこだわり、実験と分析と発見を繰り返して、気づけば3時間。

この日の最高記録は、実に45本!
最初の100本の半分すら下回り、過去最高記録の50本を大幅に更新しました。

最小6本?

机のヘリを利用して、最小記録6本に挑戦するチームも。

まぁ思いっきりズルですが(笑)
でも、これはこれでかなりの難易度。一旦土台を作ってから外す、という戦略をとってみたり、より良い土台を探したり、机の傾きなどにもこだわったり、様々な試行錯誤が光ります。

以下の動画はそんな一場面。たったの18秒の動画ですので、ぜひご覧ください。めちゃくちゃ楽しそうです(笑)

「これめっちゃロマンだ!」

「縦に並べた6本のカプラを机に挟んで保持する」という挑戦に、彼らは1時間以上、食事も忘れて熱中していました。
何回も何回も挑戦して、その度にちょっとずつちょっとずつ方法を改良して、それでもなかなかうまくいかない。
そんな中で生徒が発したのが、表題の言葉でした。

素晴らしい言葉だと思います。

出来たか出来ないか、正解したら正解していないかにばかり注目されがちな教科教育。あるいは、そんな社会、と言ってもいいかもしれません。

そんな中、この日に彼が感じていたのは、達成する喜びではなく、難題に挑戦していくことそのものの喜び、あるいは試行錯誤そのものの喜びだったのだと思います。

達成したかどうか、達成したものが役に立つかどうか、ついついそんなことばかり考えてしまいますが、本当に大切なものはそんなところではなく、彼が「ロマン」と表現した、「過程」にこそあるのだと思います。

「結果より過程が大事」とはよく言うけれど

「結果より過程が大事」。よく聞く言葉です。
でも、本当に心からそれを言える人は、どれだけいるでしょうか。
そして、子どもたちが心からそれを感じられる場面が、どれほどあるでしょうか。

テストで到達度を測る教科教育ではなかなかそうはいきません。でも、本当は学問こそ、そういうものなのではないでしょうか。

研究者に1番必要な素質は、「目に見えた成果の出ない試行錯誤の繰り返しをどれだけ続けられるか」だそうです。

これは、弊社代表・井本の教え子の研究者が言っていたこととのこと。
人類の誰も答えを持っていない問いに対してアプローチし続ける「研究」というものにおいて、そう簡単に答えには出ません。何ヶ月も続く試行錯誤の繰り返しを続けられること、楽しめること。それが何よりも大事なんだそうです。

「なるべく少ない本数で橋をかける」というたった1つの問題に、3時間もの時間をかけ挑戦し続ける。
あるいは、「たった1本減らす」ために、1時間以上試行錯誤しつづける。
「縦に並べた6本のカプラを机に挟んで保持する」という挑戦に、食事も忘れて熱中する。

彼らがしていたのは、「解き筋」なんてない未知の問題に対し、失敗を繰り返しながら試行錯誤し迫っていく、「研究」そのものだったのだと思います。

結果だけみれば、「たかが積み木」かもしれません。
でも、その「たかが積み木」に中学生たちが3時間も夢中になっていたのは、まさにその「過程のロマン」だったのではないでしょうか。

いもいもは、「ロマンの教室」です(笑)


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