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たった一つの制約で、しりとりが劇的に面白くなる!

こんにちは。いもいもの古谷(あき)です。

表コミ授業日記と題して書いてきたこちらのnote、しばらく間が空いてしまいました。
「表現コミュニケーション教室」は4月からは「いもいも教室」と名前を変え、総合的な思考力教室として再スタートしています。

幼児教育的?

いもいも教室の教材は、しりとりやらジェスチャーやら積み木やら、なんだか幼児教育のようなものばかり。対象学年(小1〜中3!)を考えると、不思議な感じがするかと思います。

今更そんなことやる必要ある?考えるのが苦手な子や、発育がゆっくりした子向け?

そう思われることもしばしば。

でも、そうではないんです。
この記事では、しりとりを題材にしたワークを例にとり、幼児教育のようにみえるものの実態はなんなのか、そしてなぜ幼児教育っぽく見える教材が多いのか、書いていきます。

「教室にあるものしりとり」

こちらは、最近低学年クラスでよくやっているワーク。
しりとりはしりとりなのですが、「使える言葉はこの教室にあるものだけ」という制約を加えました。

それだけ?と思われるかもしれません。しかし、この制約一つで、頭の使い方が劇的に変わるのです。

彼らの頭の中で起こっていること

「この教室にあるもの」と聞いてパッと思い浮かべるのは、机、椅子、鉛筆、消しゴム……などでしょうか。
もちろんそれらも使います。ですがそんなものはすぐに尽きてしまいますし、頭文字によってはそもそも見つからないかもしれません。

ではどうするか。
彼らは主に、4つの手法を編み出しました。

①見えないけれどあると知っているもの
「血」「骨」「空気」「二酸化炭素」
など。何かないか、目で探していたところから、見えないものに気づいたときは、視野が広がった瞬間だったと思います。

②言い換え
ドアのことを「扉」「金属」と言ってみたり、鉛筆を使って「筆記用具」「棒」「木」と言ってみたり。ひとつのものを言い換えたり、素材や形という別の面を捉えたりして、新たな言葉を見つけていました。
中でも秀逸だったのは、「ろ」でみんな困っていた時に出てきた、自分を指さしての「6月生まれ」。1人の手柄ではなく、最初に「6月!」「いや今8月だよ笑」という会話があり、別の子が「自分は11月19日生まれ、11月19日は6文字!」と言い始め……それらを聞いていた3人目が思いついた「6月生まれ」でした。

③概念
「裏面」「上」「みんな」「問題」「楽しさ」
など。
ここまで来るとかなりの上級者ですよね。色々な目線で周りを見てみないと見つからない言葉だと思います。

④ないなら作ってしまえ!
自ら寝っ転がって「うつ伏せ」、みんなで黙って「静けさ」「間」、ニコッと笑って「スマイル」など。大人顔負けの素晴らしい発想力に脱帽です。
似たアプローチで、「馬の真似」「猫の真似」などもありましたが、こっちはみんなで笑って、そして却下(笑)


彼らがしていたのは、一言で言えば「視点を変える」ということだと思います。

教室にあるものは限られていて、普通に探していたらみつからない。
だから、見えないものがないか、探すしかない。同じものを色々見方で見てみるしかない。
教室にあるものは変えられないから、自分が様々に視点を変えるしかない。

「この部屋にあるもの」という制約は、言葉探しゲームだったしりとりを、自然と様々な視点を探すようになる、極上の思考力教材に変化させたのです。

ある生徒は、このワークに取り組んだ翌日、100円玉を持ってきて見せてくれました。「コイン」「お金」「100円」「銀色」など様々な言葉に使える!とのこと。
お家にある色々なものを、色々な見方で見てみたのだなぁと、感動してしまいました。

「自分の手持ちでなんとかする」

僕たちは、思考力をこう定義しています。

いわゆる教科書的な学習は、先人たちの知恵を学び、手持ちを増やすことが中心です。しりとりでいうなら、語彙を増やすことでしりとりを上手くなろうというアプローチだと思います。

新しい語彙を得ることは、時に新しい物の見方を得ることでもあります。もちろん、これもとても大切なことです。

でも、僕たちのアプローチは違います。
手持ちの語彙でしりとりをするために、身の回りのものを、とにかくいろんな目線で眺めてみる。今教室になくても、自分の行動で教室に作れないか考えてみる。
そんな、「自分の手持ちでなんとかする」ことを思考力と呼び、そんな思考力に特化した授業をしています。

だから、僕たちの授業では手持ちの有無を問いません。
幼児教育を意識していたわけではないのですが、手持ちがいらないものを選んでいった結果、しりとりやらジェスチャーやら積み木やら、幼児教育っぽいものに行き着いたのは、ある種当然だったような気がします。
誰でも取り組めるものをベースに、制約や問題設定の工夫によって考え甲斐のあるものに変化させ、色々な教材を作ってきました。

教えられたことをただ応用することではなく、テストのための小手先のテクニックを得ることでもなく。
自分の手持ちで、自分の方法で、共に教室にいる仲間と影響し合いながら、本当の意味での「考える」ということを楽しむ。

いもいも教室は、そんな教室です。


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