ある日の夜ごはん(一人呑み)
ひとりごはん録、外食編。
10月中旬、隣町のちょっと良さげな寿司居酒屋にお邪魔した。
もともと緊急事態宣言中、人と会えないのに辟易して「あ〜もうひとりでおいしいごはん食べに行っちゃおっかな!」と思っていろいろ調べていたなかでヒットしたお店。
好きな日本酒が置かれていたのが気になるポイントで、しかし当然緊急事態宣言中は肝心の酒類提供がなく、世の中が落ち着くまでずっと待っていたのだった。満を持しての初訪問。
いざ、お店へ
予約していた時間にお店にお邪魔すると、ほとんどがグループ客、ないしは二人連れである。
一人ごはん記録をやっているくせに、やっぱりいまだにビビる。少し肩身が狭い。
でも美味しいものを食べるのに一人も二人も変わらないし。一人だと好きなものを食べられるし。言い聞かせて席に着く。
通された席はカウンター。緊張がほぐれてきたら、板前さんの様子を見られるのが楽しかった。
一人呑みの鉄則
一人呑みは、実は3回目くらい。まだまだ初心者だ。
前2回で覚えた一人呑みの鉄則がある。
それは、
「人の目を気にせず好きなものを頼む」
……何を言ってるんだ当たり前じゃないかと思われそうだが。
小心者の私は一人でお店に入っても、「普通最初はこういうものを頼むんじゃないだろうか」「これを頼まないとお店の人の気分を害するんじゃないだろうか」等、どうでもいいことをうだうだ考えてしまう。
それでいてあとから「せっかくだったらあちらを頼めばよかった」と悔やんだりするのだ。勿体ない、せっかく自分で稼いだお金で、自分だけの時間を使って来ているのに。
だから最初から決めておく。
「好きなものを頼む! お店の人の顔色を伺わない!」
そんな心持ちで挑んだこの日、美味しかったランキング上位3品を紹介します。
◇◇◇第1位 バフンウニ◇◇◇
本日のメニューに、普通の生ウニの4倍のお値段のウニがいた。名をバフンウニという。
さすがに気になって、聞いてみる。
「生ウニとバフンウニってどれくらいどう違うんですか?」
板前さんによると、種類は同じで、単純にグレードが違うとのこと。
グレードが違うって、そりゃそうか、アタリマエのこと聞いちゃってごめんなさい。すぐに小心者の気が出て恐縮しかける私に、板前さんがわざわざ冷蔵庫から双方のウニの箱を出して見せてくれた。
「普通のウニはね、こんな普通の箱に入って売られているんですけど、バフンウニはほら、こんな感じ。化粧箱に入ってるんです」
たしかに華やか! 千代紙が貼られたカラフルな箱に入っているバフンウニに対して、普通の生ウニは透明パックの蓋がしてある。大切にされ具合が全然違うぞ。
「4倍以上の価値はありますね」
そう言われたらやっぱり心が動く。ここまで言われて普通のウニを食べて帰ったら絶対後悔するだろうな。
「じゃあ、バフンウニで!」
気づいたら口にしていた。奮発〜。
「はいっ、バフンウニ!」
目の前に置かれたウニは、バイアスかかりまくりの私の目にはぴかぴか輝いて見える。
ええい、ひとくちでいっちゃえ。
口にした瞬間、口の中いっぱいに濃厚で甘くてしっかりしたうにの味がふわ~っと広がった。
これは、めちゃめちゃおいしい。
よく産地で新鮮なウニを食べた人が「もともとウニってそんなに好きじゃなかったけど、考えが変わった!」と言ったりするけれど、その気持ちがわかった。美味しいウニって、普通のウニとはもはやなにか別物だ。
頼んでよかった。
あと板前さん、親切に説明してくださってありがとう、おかげで極上の幸せが味わえました。
◇◇◇第2位 秋刀魚◇◇◇
本日のメニューにあった一品。
そういえば秋刀魚の刺身、握りって食べたことないな。
季節もの、いってみますか。
待っている間に、隣のグループのオジサマが同じく秋刀魚の握りを頼んだ。頼んだくせにこんな会話をしている。
「でもさあ、この秋刀魚って大丈夫なの?」
「何がですか?」
「だってほら、今秋刀魚高いじゃん。それがこんな値段で生で食べられるのおかしくない?」
失礼な、と思いつつ、私まで不安になってきてしまう。
え、頼んじゃったよ、本当に美味しいのかな。
ドキドキしながら提供を待つ私に、板前さんが聞いてくる。
「味付けなんですけど、普通のお醤油と肝醤油どちらになさいますか?」
旬の食材、せっかくならば余すところなく味わい尽くしたい。
「肝醤油で!」
そうして目の前に置かれた秋刀魚の握り。
口に含むと、刺し身だけあってふわりと身は柔らかく、でもなんだかちゃんと秋刀魚だなと思った。不思議な感じ。でも嫌いじゃない、というか美味しい!
食べながら思う。「隣のおじさん、安心して! グッドチョイス!」
言わないけど。
◇◇◇第3位:芝海老の玉子焼き◇◇◇
お寿司屋さんで玉子を頼むのって邪道というか、やや勿体ないのでは? という気がしつつ、だし巻き玉子を食べたい気分だったので頼んでみた。
「はい、玉子焼きでーす」
出てきたものを見てまずびっくり、
私の想像していた玉子の形じゃないぞ。
そしてよく見るとかなりきめ細かい。
口に入れると甘さと魚介の旨味が広がる。
これ、玉子焼きというよりもはや高級な伊達巻だ。
伊達巻好きな私にはたまらない一品。
メニューを見ていたら、握りではなくつまみでこの卵焼きも頼めるらしい。
今度来たらつまみで頼んで、満足が行くまでたまごを堪能しようっと。
★頼んだお酒
日本酒が好きで、詳しくなりたいのだけれど、お酒に強い方ではないので、一人呑みだと二杯が限界。
・而今
一杯目は最初から決めていた。
「好きな日本酒」。昔三重県で飲んで感動したお酒で、私の日本酒ランキング不動の一位である。
華やかでありつつも控えめで、どれだけでも飲めてしまいそうなのにしっかりと気持ちの良い酔いが回る。久々に飲んだけれど、やっぱり間違いなく美味しかった。
・羽根屋
もう一杯、何にしようか吟味して、よく名前を聞くお酒を選んでみた。
こちらは而今に比べるともっと味が強くて派手な感じ。これはこれで美味しい。
感想
好きなものを好きなように頼んで、おなかも心も満たされた。店員さんたちも親切で丁寧で、素敵なひとり呑みでした。
自分ひとりのためのこんな時間も、悪くないよね。
ただ、一人ではコスパが悪いなと諦めてしまったおつまみメニューにもいろいろ気になるものがあった。これがひとり呑みの悲しいところ。
またいつか誰かを誘って行きたいな。
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