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コンビニ
昔、コンビニバイトをした。
カプラーをピッてすればいいんでしょ?という安易な心構えで始めたが、レジだけしていればいいわけではなく、掃除品出し揚げ物洗い物配達発注チラシ配り、覚えることもやることも山盛りだった。
当時はメルカリなんかはなかったが、代わりにDPE受付があった。若い人、わかるかな?デジタルではなくフィルムである。
知らずに入った店は、本部直営店だった。
しまった、厳しそうだなと思ったが、
社員さんも、パートのおじさんおばさんたちも優しくて、居心地が良かった。
先輩の一人とは、今もたまに呑みに行く。
何にも知らない自分に、基本的な作業から、裏技まであれこれ教えてくれた。
世間知らずだった自分が今、大人として、職業人としてなんとかやれているのは、あの数年の応用である。
推し活を教えてもらったのも、コンビニであった。
東京行くからシフト代わってもらえないかな?
大丈夫ですよ。来月自分横浜なんで、お願いします。
対象は人それぞれだったが、好きなものを語る時のキラキラした目に魅了された。
好きなものを好きと言って何が悪い!
推し活なんて言葉が流行るよりずっと前から、人生を楽しむ人たちに出会えた場所だった。
なんの因果か、推しはその看板の店をよく使うらしく、ちょくちょく配信で
あれが美味しいのなんのと知らせてくれる。
東京よりは新商品が遅れて入ってくることがあるのが田舎の難点だが、
同じものを味わう喜びのために、今日も数字の看板に立ち寄ってしまうのだ。
いらっしゃっせ~と、言いそうになりながら。
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