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すごいぞ!出雲駅伝 手厚くなった医療サポート体制 ~島根県立中央病院の後押し~

 第29回大会(2017)は、10月とは思えない暑さで、途中棄権や病院搬送された選手が複数ありました。選手が倒れ込むシーンがテレビで映し出されたのを見た方も多いかと思います。
「すごいぞ!出雲駅伝」写真展の際に、大会の記録主任さんから「レース中から主催者には多くの苦情が入り、翌年から医療体制を大幅に見直しました。」と伺いました。
中継所の写真とパンフレットを使って、医療サポート面から大会運営の工夫を探ってみます。

★第1中継所の様子

第25回大会(2013)1区側から撮影↓↓。
駒大1区の中村匠吾さんの2段スパート区間賞のシーンです。

大会本部側のテント脇に各大学のスタッフが待ち受けています。中継所の看板の後ろに、東洋大の控えに回った口町亮さんがいます。


第31回大会(2019)2区側から撮影↓↓。
左側のテントは中継所本部。役員の姿しかありません。コース右側のテントが各大学の選手控所になります。


写真で見ると一目瞭然、中継所の運営体制が大きく変わっています。主催者側のテント付近には大学関係者はいません。

★中継所はこう変わった!

第29回大会の役員名簿と第31回の役員名簿を比較します。

第29回競技役員 中継所役員(第29回大会 公式パンフレットより抜粋 色分けは筆者作業 水色が学連役員 それ以外は出雲市及び島根大学)

第31回競技役員 中継所役員(第29回大会 公式パンフレットより抜粋 色分けは筆者作業 水色が学連役員 それ以外は出雲市及び島根大学)

2大会を比べると、医療・救急係・救護の人員が大きく変わっています。(黄色マーカー内)

●大会役員「総務員」の担当が明確にされました。「危機管理担当」がいます。
●中継所役員「医務・救護」の1係から「医務係(ドクター)」「医務係(看護師等)」「救護係(防災安全協会)」の3係に分割されました。
テントの中は余分なものは置かず、倒れた選手を介助するスペースが確保されていました。

★第29回大会(2017)最大の敵は暑さ!

 29回大会は、10月とは思えない気象条件で、1区終盤で脱水症状を起こす選手が続出しました。
 中継所目前で棄権した選手は、襷を渡したものの、医療スタッフが手薄のため、チーム関係者に介抱される場面もありました。救急車のサイレンも聞こえ、第一中継所にいた観客に笑顔が少なかったように覚えています。

ゴール直後、倒れこむ駒大 加藤選手(許可を得て掲載)
(*筆者は駒大陸上部後援会写真班)

★30回大会から救急救命のプロが選手を守る 

29回大会で倒れ込む選手がテレビに映し出され、テレビ局に苦情が入り、運営側にもそのことが伝えられました。
30回大会では、医療面でのスタッフが大幅増員され、早速その効果が!

第30回大会 第一中継所↓↓


6秒差の2位で襷を渡した相澤晃選手は、余裕を持ってのゴール
手前で様子観察をしているのが、島根県立中央病院の医師


フラフラで襷を渡すや否や倒れ込んだ選手には素早く反応。応急措置を行い、さらに治療が必要な選手は救急車で島根県立中央病院へ送り出すことも。
「DMAT」のエンブレムが解りますか?救急のプロ中のプロです。

(DMAT(ディーマット)とは
「災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」と定義されており、災害派遣医療チーム Disaster Medical Assistance Team の頭文字をとって略して「DMAT(ディーマット)」と呼ばれています
(厚生労働省DMAT事務局HPより引用))

第1中継所の医師は第4中継所、看護師は第5中継所を掛け持ちします。最小のメンバーで最大の効果を上げる工夫がされています。

走り終わった選手を誘導する人、タオルを渡すのは出雲高校陸上部員(赤ジャンバー)、医療スタッフには「医師」「看護師」のゼッケンがあり、役割分担が一目で識別できます。

★地域の医療拠点として


島根県立中央病院は出雲駅伝を後援しています。単なる医療支援ではなく、病院全体で大会を支えるという意識の表れだと思います。

去る2020年10月17日、医療関係者への感謝を示すため、サプライズ花火が打ち上げられましたが、中央病院には事前に告知があり、入院患者さんと共にご覧になったそうですよ。
私も連絡をいただき、出雲駅伝第4中継所近くの田んぼから見ることが出来ました。

第33回の出雲駅伝は、コロナ禍の中での開催になります。中央病院は島根県コロナ対策の拠点病院としての役割の上に、出雲駅伝運営が加わります。
安心して出雲駅伝のサポートに入ってもらえるよう、コロナが収まることを願ってやみません。

サポートを検討してくださってありがとうございます。そのお気持ちだけ受け取らせていただいて、出雲駅伝主催者の出雲市が作った「出雲駅伝タオル」をご紹介させていただきます。 https://www.izumo-ekiden.jp/towel/index.html