ストレンジャー・ザン・パラダイス 13
僕らが戻るとキリストは座禅を組んでいた。
「父さん」と僕から銃を取り上げると、ザジはそれをキリストの頭に振り下ろした。
キリストは目を開け、「あぁ、座寺か。終わったのかい?」と頭をさすりながら気の抜けた声で言った。
「使い方はだいたい教えた。父さんここでずっと寝てたの?」
「まさか、無我の極致から真理に辿り着こうとしてただけだよ」
「うちは禅寺じゃない。つまり寝てたのね?」
「まぁそういう見方もできるだろうね」
「そんなんだから母さんも逃げ出すのよ。全く」
ザジは拳銃を僕に返しながら言った、「あなたなら分かっていると思うけど、本当にどうしようもない時にしかこれに頼らないで。どうにかなりそうならあなた自身の力でどうにか切り抜けて」
「あぁ、できる分はやるつもりだ。さもなきゃ僕は殺されるらしいからね」
「それでいいわ」とザジは短く言った。
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