![モンク](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/8734113/rectangle_large_type_2_f1c5864fae17bd7e48cd415ef2b64c35.jpg?width=1200)
ストレンジャー・ザン・パラダイス 14
「それで、僕はこれからどうするんですか?このままここでひっそりと息を殺して身を潜めるんですか?」
キリストはにこやかに言い放った。「まさか。そりゃ確かにここに潜んでれば迎撃は容易ではある、でも潜伏と迎撃だけで一生が終わる。少なくとも私はそんなの御免こうむる。君はどうだね?」
「僕もそうです」
「ならば話は早い、あいつらを全員ブッ潰そうじゃないか」
「あんた坊主じゃないのか?そんなことして大丈夫なのか?]
「何、どんな宗派にだって破戒僧ってのはいるものだよ。私が特別なわけではない」
僕は「さっきまで無我の極致で真理がどうのとか言ってた人が同じ口でよく言えますね」と苦笑いするしかなかった。
僕とキリストはそのまま固い握手を交わした。岩と握手をしてるような感触だ。ザジは体全体でどれだけ呆れ果てているかを表現している。こうして僕らは反撃に出ることにした。
キリストは大きなカメラバッグとゴルフバッグいっぱいに武器を詰め、巨大なクーラーボックスいっぱいに弾薬を詰めた。納屋のどこからか僕用に革製のホルスターを探してきてくれた。
「いいかい、君はアマチュアですらない。ビギナーだ。座寺にも言われたとは思うが、可能な限りそれは使わない方がいい」
「分かってます」
「それでいい。座寺、シートベルトは?」
「とっくにしてる」
「じゃあ行こうか」
かくしてオンボロワゴンは動き出した。正確には移動式の弾薬庫のようなものが。
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