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花腐し【極私的感想】

基本的にあまり小さな映画館には行かない。
やはり大画面と高音質で楽しみたいから。

でも大きな映画館は大手メジャーどころの映画が中心で、残念ながら独立系の映画はなかなか上映されない。

今回は俳優・柄本佑が舞台挨拶をするという事で京都の「出町座」へ行って、彼が出演した「花腐し(はなくたし)」を午前中から観てきた。

出演は綾野剛、柄本佑。
そしてロックバンド"ゲスの極み乙女"などのドラマーでもある女優のさとうほなみ。

内容はたまたま出会った打ちひしがれた男二人がお互いの過去を語り合っていくうちに、同じ女性と付き合っていた事を知るというもの。

だけど面白いのは、
現在ではモノクロ、そして回想シーンはカラーという、通常ではこの逆がありがちなのだが、それを逆さまにしている。
でもその技巧が新鮮でもあり、思い出さ美しいところしか残らないという意味を表現しようとしてたのかもしれない。

綾野剛、柄本佑、さとほなみ、この三人の演技にはそれぞれのカラーがあって良いのだが、欲を言えば柄本佑にはもう少し病んでもらった方がバランスが取れたのではないかと。
しかし、それはあくまでも個人的な好みのレベルであって、彼の演技に文句はない。

上映後に狭い会議室のような場所で柄本佑が登場し、この作品についてなどを半時間ほど話してくれた。
思ってたより高身長だった。

その後ロビーでパンフレット購入者へのサイン会が行われたが僕は朝食を抜いて来ていたので、すぐに出町座を後にし、腹を満たす何かを求めて近くの商店街をぶらついていた。
すると柄本佑の父親が近くのスーパーから普通に出てきた。
その商店街に溶け込んでいて、誰も気付いていなかった。
流石、一流の俳優は気配さえ解せるのだ。

僕は商店街を半時間ほど彷徨った結果、何も見つけることが出来ずに、結局少し離れた珈琲屋に入ると、そこには柄本明、柄本佑、そして安藤サクラの三人が仲良くコーヒーを飲んでいた。

三人とも実に普通の家族に見えた。

映画に話を戻そう。
確実に大手メジャーは手を出さないタイプの作品で、その昔のインディーズ映画会社「ATG」の匂いがして、僕らは懐かしかった。
でもこういう低予算、短期間で制作された映画にもっと目を向けていくべきだと思う。

NETFLIXやamazonプライムなどの映画配信の是非が問われているが、配信の世界においては大手メジャーもインディーズも同等に扱われるので、僕は全然アリだと思っている。

メジャーとインディーズの垣根をこわしてやれば、もっと映画は深くなっておもしろくなる筈だ。

83点

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