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【現代における競争戦略論を凝縮してお届け】 ビジネスというゲームの勝ち方

本ノートは「マイケル・ポーターの競争戦略」の内容を踏まえて記載してます。企業戦略の重要コンセプトを提唱している本書を分かりやすくお届けします。


ゲームで勝ちたいならルールを知ろう

ゲームで勝つにはそのルールを知らなくてはいけない。ルールを知らずにゲームをやるのは、オフサイドを知らずにサッカーをやるのと一緒である。

ビジネスにおける「勝ち」は利益を出すこと

ビジネスにおける競争の主眼はライバルを負かすことではない。肝心なのは利益を上げることだ。

マイケル・ポーター

ビジネスはスポーツとは異なり、ゼロサムゲームではない。なので、相手を負かすことは必ずしも必要ではない。サッカーでは両者が勝つことはないが、ハンバーガー業界ではマクドナルドとイン・エヌ・アウト・バーガーはどちらも成功している。ビジネスにおいては、利益を出すことが最重要である。

ファイブフォース分析でルール(業界構造)を把握する

業界構造を把握するにはファイブフォース分析を行うと良い。5つの要素が業界の収益率を決定する。ただ、これらの業界構造は動的なもの、つまり変化しうることを認識する必要がある。

$$
\begin{array}{|c|c|c|c|} \hline
競争要因 ↑ & 影響 & 理由 & 典型的な事例 \\ \hline
新規参入者の脅威 ↑ & 収益性↓ & 価格↓ コスト↑ &
\begin{matrix}
・規模の経済、ネットワーク効果が低い \\
・顧客のスイッチングコストが低い \\
・初期投資費用が低い \\
・政策や規制による参入制限がない
\end{matrix} \\ \hline
サプライヤーの交渉力 ↑ & 収益性↓ & コスト↑ &
\begin{matrix}
・サプライヤーが大規模で集中している \\
・サプライヤーの需要が大きい \\
・買い手のスイッチングコストが高い \\
・サプライヤーの製品が差別化されている \\
\end{matrix} \\ \hline
買い手の交渉力↑ & 収益性↓ & 価格↓ コスト↑ &
\begin{matrix}
・提供者が小規模で分散している \\
・自社の需要が小さい \\
・買い手のスイッチングコストが低い \\
・自社の製品が差別化されていない \\
\end{matrix} \\ \hline
代替品 ↑ & 収益性↓ & 価格↓ コスト↑ &
\begin{matrix}
・製品が差別化されてない \\
・買い手の他のコストに対して相対的に高価 \\
・買い手のサービス品質への影響が少ない
\end{matrix} \\ \hline
既存企業同士の競争 ↑ & 収益性↓ & 価格↓ コスト↑ &
\begin{matrix}
・競争企業が乱立している \\
・業界の成長が鈍い \\
・撤退障壁が高い
\end{matrix} \\ \hline
\end{array}
$$

ゲームで勝ちたいなら優位な状況を知ろう

勝つためには、勝ちやすい状況(=優位な状況)を知り、意図的に再現していくことが大切である。例えば、サッカーであれば、相手のマークをはがして、得点につながりやすい数的優位な状況を作っていく。

ビジネスにおける競争優位は「価格が高い」か「コストが低い」か「その両方」が実現できている状態である

真の競争優位性をもつ企業は、競合他社に比べて低いコストで事業を運営しているか、高い価格を課しているか、その両方だ。

マイケル・ポーター

上述の通り、ビジネスにおける勝利は利益を上げることである。「利益 = 価格 - コスト」なので、競争優位な状態とは、「価格が高い」か「コストが低い」か「その両方」を実現できている状態である。

ゲームで勝つコツ

どの土俵で戦うのか?

上述の通り、ビジネスはゼロサムゲームではない。土俵を選びが重要である。土俵は分解すると下記である。

  1.  顧客
    顧客セグメントの1つまたは複数に焦点を当てていく。ウォルマートは地理、プログレッシブは人口統計学、エドワード・ジョーンズは心理学特性でセグメンテーションを行なっている。

  2. ニーズ
    顧客ニーズ。ニーズは往々にして人口統計学をもとにした従来型のセグメンテーションにはあてはまらない。

  3. 価格
    相対的価格。業界の既存製品とニーズが必要十分ではないケースがある。例えば、機能満載の高価なスマートフォンは、電話しかしない高齢者とって過剰にニーズを満たされている(つまり割高な価格を支払わされている)。

土俵とは、言い換えれば提供価値である。他社と同じ価値提供する場合は、ゼロサムゲームになる。他社と異なる価値提案をする、即ち、「独自性のある価値提案」が競争優位を生み出すポイントである。

独自性のある価値提案ができているケース(「マイケル・ポーターの競争戦略」を参考に作成)

土俵での戦いに最適化していく

上述の「独自性のある価値提案」だけでは、持続的な競争優位を生み出さない。企業が実行する活動を提供価値に最適化することで、競争優位を生み出す。

バリューチェーンの調整
自らが定義した「価値提案」に対して最適な活動、または活動のやり方を選択していく。

トレードオフ
活動、または活動のやり方を選択する上でトレードオフが発生する。価値提案と整合性の取れたトレードオフを選択することで、競争優位性が生まれる。

トレードオフを選択するということは、何かやらないことを決定していることになる。

戦略の本質は、「何をやらないか」を選択することだ

マイケル・ポーター

適合性を上げる
優れた戦略は多くの物事のつながりによってうまれる。価値提案とバリューチェンについて行う一連の選択が整合性の取れることで価値が増幅していく。

戦略的な企業活動ができているケース(「マイケル・ポーターの競争戦略」を参考に作成)

さいごに

ビジネスで高い利益を上げるには、最初に、業界構造を把握して、ビジネスというゲームのルールを知ることが大事です。構造的に利益を出しにくい業界が存在します。次に、土俵を決めましょう。この時、独自性のある価値提案により、ゼロサムゲームを回避しましょう。最後に、土俵での戦いに企業を最適化させましょう。適切なトレードオフを選択し、提供価値に対して最適な活動を選択していきましょう。

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