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FPS初心者がモザンビークを捨てるまで【初心者時代振り返り】 #6

前回からの続き。

自分が初心者だった頃、どんなことを思い、どうやってダイヤまで到達したか、エッセイ風に話していくシリーズ第6弾。

終わる終わる詐欺になってしまって大変恐縮だが、次回が最終回となる。

今回は「ダイヤに至るまでの心情」を、なるべく詳しく、客観的に記したつもりだ。

……お気付きの方もいらっしゃるだろうが、以前の記事から、元の構想よりもはるかに物語的になってしまっていて、ちょっとドラマチック過ぎるのだが、

もともと小説創作出身な私のこと、お目こぼしていただけると幸いである。


1. 自分より強いプレイヤーがいる安心感と絶望感(S8前半)

初めてパーティーを組むということで、初戦は雑談しながらのカジュアルだったように記憶している。

「この人が最近よくやってる友だち!」
「どうも~はじめまして」

馴染みのフレンドが連れてきたその人は、顔合わせのカジュアル初戦で、いきなり2,000ハンマーを叩き出した。

「あぁ、ほっといたらいつもこうよ。ハンマーとか簡単に取るし」
「……まじ?」

愕然とした。

初心者時代、強い味方にいつの間にかおいて行かれるあの感覚を、久しぶりに味わったのだ。
しかもこの時、味方との物理的な距離も離れていなかったし、撃ち合いの頻度も劣っていたとは言えない。

にもかかわらず、ダメージ数は倍以上突き放されていた。

「そんな強くてマスター目指さんの?」
「ん~、マスターはいいかな。ダイヤ帯上げるの大変だし」

一瞬で悟る。きちんと固定パーティーを組み、時間をかけて取り組めば、確実にマスターに行ける人だと。

正直に告白する。
スプリット1は、完全にこの2人のフレンドにキャリーしてもらった。

プラチナⅣの中盤くらいから、1日3~4時間で1ゲージという、とてつもないスピードでポイントが上がっていった。

最初こそ自分が得意とするレイスや、当時大幅な上方修正が入ったオクタンなど、ソロでもチームでも戦力になり得るレジェンドを選択していた。

しかし、フレンド2人のあまりの強さ、交戦タイミングの速さに完全について行けなかった自分は、ブラッドハウンドのスキャンでアシストを稼ぐ、ポイント乞食に成り果てた(1試合の最多アシスト記録は9、平均は約4)。

確かにポイントを失いにくい安心感はあった。しかし、しっかりと自分の実力でポイントを上げられたかと問われれば、そうではなかった。

「本当にこのままでいいのか?」

達成感はあったし、満足感もあった。
だが、自分に対しての疑念はどうしても晴れない。

こうして、初めてのダイヤⅣ到達は、ほろ苦い経験となったのだった。


2. 反省と学び。ソロでの成長。(S8後半~S9)

必要以上にネガティブに書いてしまったが、2人には本当に感謝している。

どんな形であれ「ダイヤⅣを初めて踏めた」という経験は、その後の自分に強い自信を与えてくれたし、何より学びが多かった。

また、その2人と共通の、さらに別のフレンドともプレイさせてもらう機会があったのだが、その時に言われたこともはっきりと覚えている。

「初動被ってるからって、直前に慌てて着地点曲げてるようじゃダメ。
 気持ちで負けたら本当に勝てん。それで負けたら仕方ない。次行こ」

今までソロでプラチナ帯を回していて課題だったのは、必要以上に戦いを恐れてポイントを獲得できないことだった。
今にして思えば、戦いに行くタイミングがわからず、行くか行くまいか迷っているうちに、別のパーティーに襲われて全滅していたのだが、これに気づけたのである。

躊躇っていたら負ける。
これは「無闇に突っ込め」ということでは断じてないし、まして根性論などでもない。

「戦うと決めたら戦う。逃げると決めたら逃げる」という自分や味方の判断を疑わず、行動を躊躇するなということだ。

この学びを胸に、S8スプリット2のオリンパスにおいては、実力が拮抗したフレンドとのデュオをメインに、ソロでも積極的にランクに挑むようになった。

すると、毎回毎回、わずかではあるがポイント収支は黒字となり、何と1人でも1ゲージ盛ることができるようになったのだ。

技術的に向上できる部分は当然まだある。しかし、決断と行動を躊躇しないだけで生存率は格段に上がっていったし、結果それが間違っていたとしてもミスが明確になって改善につながっていった。


3.    すべては「自己満足のため」に


そうしてダイヤⅣを目指し着々とポイントを重ねていったものの、やはりというか、自分はメンタル的に弱いところがあった。

プラチナⅠの中盤から2回目のダイヤ到達が目前となり、それを意識した瞬間、突然マイナスが続くようになったのである。

もうシーズン8も残り僅かなタイミング。シーズン9のローンチムービーが発表されて尚、未だプラチナⅠの3分の1で足踏みする自分。

焦った。それはもう滅茶苦茶に。

シーズン最終盤、期限に追い立てられるこの強い焦燥感は独特で、ポジティブな焦りとでもいうのだろうか。仕事でも経験したことはない。

この独特な焦燥感の理由はひとつ。
これは「自己満足との戦い」だからである。

配信活動もしていない、その頃はこのnoteすら始めていないただの「いちプレイヤー」が、ダイヤに到達して得られるものは何だろうか。
ダイヤ軌道?バッジ?たしかにそれもあるだろう。しかし、本質ではない。

ただ単に「自分はダイヤに到達したんだ」という達成感と充足感を得るためだけに────自己満足のためだけに、ダイヤに行きたいのだ。

だから、諦めていい。誰も責めはしないし、不利益を被ることもない。

しかし、自分に負けることになる。

やはり昔は若かったと感じる。
負けず嫌いの矛先が他者に向いていた。誰かに負けたくなかった。
だが、31歳になってAPEXに真面目に取り組む自分が負けたくなかったのは「前シーズンの自分」だった。

このゲームの良いところだと思う。過去の自分が残した記録がはっきりと残るのだ。記録は記憶と違って美化されない。
それに向き合い、過去の自分を超えることができるかどうか。

社会的地位も名声もない、ただ「ゲームの成績を上げるだけ」。
これを「自己満足」と呼ばずして何と呼ぶのだろうか。

……少し熱くなってしまった。語弊が生じていたら申し訳ない。
ただ、これが率直な気持ちだ。

結果として。
どうしても負けたくなかった自分は、あの強いフレンド2人に泣きついた。

「お願いですからダイヤに連れてってくださいぃぃい!」

……何とまぁ無様なものか。
あれだけ自分に負けたくないと思いながら、結局強者にすがってしまうのだから。

だが、もう本当に時間がなかったのである。
シーズン終了まで1週間を切り、ダイヤⅣまで残りチャンピオン1回まで来た。もういいだろう。自分を許してやって欲しい。

結局、ラスト1試合はきれいにチャンピオンまで連れてっていただき、無事、初の両スプリットでダイヤ到達と相成った。

終わった瞬間感じたのは、嬉しさでも達成感でもなく。
ただただ、安堵だけを味わっていた。

ここまで来たので、しっかりエピローグまで作ろうと思う。
次回、ようやく最終回。

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