【詩】おかえりとただいまを結ぶ場所を私は

それは遠い冬の出来事
誰も知らない私の記憶

誘われるように不意に目覚めた午前3時
あて先知らずの手紙のような、
首輪の持たない子犬のような、
大きな世界の迷子の時間に、
私の色を塗ってやろうと考えた
カバンから畏まった宿題を引っ張り出して、
絡まった毛をほぐすようにちょっとだけ。
縁側に落ち着いて、
外は夜の黒、雪の白。聞こえるのはそれだけ。
生きているのはきっと私だけ、
そんな誇らしさを感じちゃったのは、
私が子どもなんだと、知らなかったから。

今となっては遠すぎる思い出
だからけして傷つかず、割れないシャボン玉のように
私のなかで、すやすや眠る

それだけで、過ごせたら。
それだけで、過ごせないから、
こんなにも、貴方が愛おしい。

来るべくして訪れたのは、
混沌と無意味の波に襲われ通り抜ける日々、
ドミノと積み木に類似した機能、生活。
地震とか日照りとか、情報とか嘘とか、
どれが私を殺してくれる?
なにが私を愛してくれる?
生まれ落ちてから、ずっと迷子。

背中を不意に撫で、姿も見せず消えたのは誰?

貴方のことだけ考えさせて。
それで済めばもうそれで


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