知識は一周してから伝承せよ

本稿は、未来の私のパートナー(チームメンバー)が成長してきた際に、困らないようにと思って、書いたエッセイです。押し売りです。諸先輩方は、百も承知のことかと思いますので、読み飛ばしてください。申し訳ございません。

それでは、私の未来のパートナー達へ向けてのエッセイを綴らせていだきます。

今回の要点は以下です。

・知識をすぐにひけらかすな。
・横文字は、みんなは知らない。
・安易に使うと、信用を失う。
・相手との間に距離が生まれてしまう。
・理論は相手の世界観でわかるように伝えよ。
・理論ありきではなく、問題ありき。
・故に一周するまで安易に使うべからず。

■横文字は厳禁

経営企画部門の職員に陥りがちなのが、MBAの罠です。
MBA取得直後の方も陥りがちな罠があります。
ビジネスフレームワークや組織マネジメントの理論等を勉強すると、横文字だらけでそのフレームを勉強するだけで、筋肉がついたかのように錯覚してしまいがちです。

そして、油断すると、ビジネスフレームワーク等の
一般人が聞いたこともないような"横文字"を院内で多様しがちです。
例えば、勉強が好きすぎて家庭でもビジネスフレームを持ち出すようなマジで"サム"ライも存在するくらいです。
いやいや、これはMECEじゃないでしょう。
とか家庭でぶっ放してしまった日には本当にアホ丸出しだと思います。

■人は知らない言葉には拒絶反応を示す。

"DTMで、BPMを100にする。"
マジで意味不明だと思います。
音楽専門用語なのですが、
これは、PC上で音楽のテンポを100拍/分にすると言っています。

横文字連発で、言っていることが意味不明の人間は
知らない人達からすと、ものすごく距離を感じさせてしまいます。
関係ない世界の話なら別ですが、
その知らない世界が我が身に影響を及ぼすという場面であれば、何それ?知らんし・・・という
心の距離が果てしなく広がってしまうリスクがあります。

場合によっては、影で"○ー大柴"とも言われかねないです。
私は、本当にそう呼ばれことがあります。
まじで気をつけてください。

私の身近では、医療業界でもACPを知らない人は
ちょっと前まで結構いらっしゃったようにも思います。

話がそれました。
例えば、少し、マーケティングをお勉強したくらいの時、
STP分析をして、セグメンテーションを考え、ターゲッティンッグしないと。
とかいっちゃいがちなのですが、
それだと、周りの人達は、はぁん?って感じになってしまいます。
もちろん、マーケの常識を知っている人達との会話なら全然構わないのですが、そういうところではもはやそんな話にすらならないと思います。

■知識を安易に出すべからず

そうではなくて、自分が得た知識を本当に実践レベルで組織的に推進していこうとするなら、
安易に横文字だけの説明はすべきではないと思います。

的確に伝えるには知識をもう一周させて、小学生でもわかるくらいの超絶簡単な
言い換えができるくらいまで昇華させる必要があります。
問題点に着目して、考えるべき要所のみ伝える
のが肝要かと思います。

なので、冒頭の○ー大柴スタイルを訂正しますと、

"誰にお届けするのか、決めて動かないと闇雲に手を打っても中々ですね。
効果的な方策を考えていきませんか?"

みたいなファシリができれば良いと思います。
ちょっと、例えが微妙な感じですみません。

■だから、噛み砕く

それが、所謂、
噛み砕いて説明するという力だと思うのです。

いやいや、それくらいの理論を知っていて当然だろう。
知らんやつが駄目なんじゃ。

で済ませたら結局何も変わりません。
知らない人を巻き込まないと大きな仕事はできないのです。
自分一人でできる範囲なんて限られています。
ビジネスフレームワークだけに限らず、単なる論点整理の際にも同様に注意が必要です。


■病院マネジメント界隈でバズったPFM

病院業界で言えば、近年第二次ブームを迎えている
PFMです。10年前にも一回流行ったことがあるのですが、H30年度改定で入院時支援加算が創設されて、これ何なん?
って時にPFMという言葉が多様されました。

で、"はーなるほど、そうか、PFMか。"
"よっしゃPFMやろかい!"では、全然進まないと思います。
物事の本質をきちんと理解して、何が問題なのか
"やる目的・大義"が何なのか?をしっかりおさえた上での略語を使い倒さないと全く意味がないと思います。

それは、受け手からするとマジで本当に胡散臭く映るのです。

では、少し脱線しますが、PFMとは何なのか、少しだけ解説させていただきます。

PFMとは、比較的新しい略語ですが、
”Patient Flow Management”
の略なのですが、これは完全に日本語英語なのです。
PFMは実は、今から約15年程前に東海大学医学部附属病院の
田中 豊 医師が提唱されたもので、
ピュアな問題意識から着想された入院患者の支援方法です。

患者1人1人のカルテをみると、これはどう考えても
支払い能力がなかったり、退院後に社会的支援が
必要と思われる患者さんがいることに気がついた。
当時の急性期病院の問題は、入院・治療後に退院が
困難で行き先に苦慮するというものでした。
今では社会的入院という言葉はあまり聞かなくなりましたが(療養病床や地方急性期病院では未だにあります。)当時は本当は社会問題として叫ばれていましたよね。

これを未然に防ぐために、入院前、入院早期に多職種が関わり、患者の入から出までをトータルで支援していこう思想に基づくシステムです。
PFMの詳細は以下を御覧ください。
http://www.esri.go.jp/jp/prj/hou/hou051/hou051-05.pdf

こういう横文字メソッドを知り、使い倒す際の使用者の等級例を以下に示します。実在する話です。

【初級者の発想】
PFMがバズっているから、なんか良さそう。
おー患者の入と出をきちんと把握して、支援して退院を促すね。
なるほど、よさそうやけんけ。あー「P"M"F」ね。知ってるよ。

【中級者の発想】
なるほど、PFMね。それで、入院時支援加算ね。
あーでも予定入院だけか。加算低っ。
これ毒饅頭だな。やる意味ないっしょ。

【上級者の発想】
急性期病院の使命は、急性期の患者を受入、治療後適切な療養先に遅延なく患者さんを退院させることである。
このシステムは、可能な限り受け入れ、病床を回転させていくことに
貢献できる運営の仕組みである。
これに加算がついたのはラッキーな話だ。
適任者を配置転換し、この取組をやってみよう。
成功事例のメソッドを収集して、院内調整を図ってみよう。
問題にフォーカスして、患者支援の大切さを説いていこう。


最後にまとめに入ります。

■横文字や略語の正しい理解と使い方

物事を表面的に理解するだけは、実践が伴わないです。
まじで口だけの人、評論家的な胡散臭い人になってしまいかねないです。

本当に実践ありきで、物事の整理の仕方や理論に触れて、
「これ、自分の身の回りの事象に当てはめたらどうなるだろう」と
"実践"と"理論"をセットで理解することが肝要です。

■訴求する際には理論ありきではなく、問題ありき

例えば、PFMのような画期的な好事例があったとして、それをパクって院内でやろうと思っても、"命"がないので誰にも響かないですし、それだけは移植不可能です。
嗚呼、せっかく良い施策があるのに、何で誰もわかってくれないんだ、、、と嘆いたことはないですか。
当てはめる場所を作らないとそこに施策というピースははまらないのです。

ですから、ピースがハマる空間を作り出さないといけない。

まずは、院内の問題の着目(フォーカス)し、この問題を解決するための枠組・仕組(フレーム)があるという流れで訴求しなければなりません。


理論ありきで、提示するのではなく、
先に目的・問題意識
つまり、"問題の本質"に訴えかける必要があります。
理論は、その後で良いです。

私のかつての上司に言われた言葉です。
そこに大義はあるのかい?

理論ありきで入ると、横文字の羅列になりがち。
故に胡散臭くなる。これは本当に要注意です。
この説明自体がまさに、理屈っぽい話になってしまいましたが、、、。

人を動かす、をテーマにした論考はまた、さらに深堀して投稿したいと思います。

今回は、調子こき段階で注意すべき、お作法について論じてみました。
ミドルがはまりがちな、落とし穴ですので是非とも頭の片隅には入れて、社会人生活をサバイブしていただきたいです。

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