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暑苦しい音楽が消えた街

ふと思い出しカセットテープから落とした音楽が耳に流れてくる。暑苦しい音楽をやっていたとても暑苦しかった友達はいつの間にか街からも消えていた。

夕方いつものあのハコで、僕が行く日も行けない日もしょっちゅうライヴをやっていた。でもそのうちいつからか活動は止んでいた。その後のコロナであの街のあの場所もいつの間にか無くなってしまった。

もう無くなってしまったあの場所で、暑苦しいくらいに音楽を全力で浴びせていたあなた。訪れる人々を踊らせて心震わせていた。透明のプラスチックのカップのビールが揺れていた。散々やりたい事をやり尽くして飽きちゃったんだろうか。魔法のように耳に残る言葉を何度も繰り返し歌っていた詩人でもあったあなた。

その後当時の仲間に聞いてみてもあっさりと知らないと言われた。何か隠してる?と言わんばかりにあっさりとした反応。そんなものか。

あのいつも一緒にいた彼女は元気かな。会える度に綺麗だなぁとまた別の楽しみのひとつだった。いつも来ていた人達はどうだろう。きっと今は歌っていなくとも何かしら表現は続けている気はする。そんな事を勝手に願ってしまう自分がいる。

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