生活解体
昼ごろからポツポツ降り始めた雨が本降りになる中、お別れの言葉は交わされた。一ヶ月ちょっと続いた不思議なシェア生活が、ついに今日終わることとなった。
「最初はリュック一つで出たのに、どこかへ行く度に荷物が増えるんです」
という彼は、大量のお土産(移動中に食べる用。家族や友人用とは別)を抱えてミニバンで送迎されていった。
それから数時間。広くなったシェアハウスでもう一人の同居者と激しくなった雨音を聞いていると、「ああ、終わるんだなあ」という感じが強くなってくる。そういう自分も、明日の今頃よりちょっと後ぐらいには地元に帰っているのだろう。
昔々、あるところに読書ばかりしている若者がおりました。彼は自分の居場所の無さを嘆き、毎日のように家を出ては図書館に向かいます。そうして1日1日をやり過ごしているのです。 ある日、彼が座って読書している向かいに、一人の老人がやってきました。老人は彼の手にした本をチラッと見て、そのま