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大人のADHDのためのマインドフルネス

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大人のADHDのためのマインドフルネスは全部で8ステップで構成されています。それぞれのステップについて、スライドとともにわかりやすく説明します。また、補足資料なども随時公開してい… もっと読む
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子どもに関わる教育者・支援者・保護者のための心理学講座

子どもに教育や支援をしている方や保護者の方に向けた心理学講座を企画した背景 「学校の先生・支援員や保護者の方と、困っている子の学びや適応について一緒に支援方法を考える」という活動を心理学の専門家として長年行ってきました。実際に支援現場に出向いて支援活動を行ったり、お子さんや保護者さんへのカウンセリングを行うほかにも、年間30回近い講演会や研修会において、心理学的なアプローチについて紹介しています。講演会や研修会の後に行われる雑談や個別相談会の時間では、講義で紹介した心理学的

Step 2|マインドフルな呼吸

 呼吸は意識をしなくても自動的に作動してくれています。そのような普段意識していない呼吸にあえて意識(注意)を向けることは、簡単そうで難しい活動です。マインドフルな呼吸法を実践し始めると、知らない間に、いつものように呼吸は自動化され、ぼーっと他のことを考えてしまうことがあります。そんな時は、どのように対応したらいいかというポイントについて、Q & A を交えながら紹介したいと思います。 1. マインドフルな呼吸法のポイント 呼吸法を取り入れたマインドフルネスのエクササイズは、

Step 1-4:注意について知る|日常生活でできる注意の整え方

1. ちょっと意識をしながら普段通りの生活をしてみる Step 1-1 から Step 1-3 までに注意の働きについてまとめてきました。特に、注意の働きを意図的に使うことの重要性について説明してきましたが、どのようにエクササイズをしたらいいのでしょうか?マインドフルネス瞑想はそれらのエクササイズの1つですが、もっと簡単に日常生活に取り入れられる方法がります。それは五感を使ったエクササイズです。 触覚のエクササイズ  普段から私たちは様々なものに触れて生活しています。一番

Step 1-3:注意について知る|方向性ネットワーク

1. どのような向きで注意を向けるか Step1-2でご紹介した「注意の実行ネットワーク」のところでは、意図的に注意を向ける働きと自動的に注意が向いてしまう働きの2つについて説明しました。ADHDの症状がある場合は、自動的に注意が向いてしまう働きが強くなるため、意図的な注意の働きを強めることがポイントとなります。これらの実行ネットワークの状態を改善するためには、方向性ネットワークについても理解しておくといいでしょう。  人が何かに注意を向ける時は、1つのものに注意を向けている

Step 1-2:注意について知る|実行ネットワーク

1. 好きなことだと集中できるという状態について集中力に関するご相談を受けていると、必ずと言っていいほど「好きなことだと集中できるのに、嫌なことは集中できない」という内容をお聞きします。このことは、ADHDであってもなくても、ほぼ全ての人が自覚していることです。「仕事も楽しければ、どれだけでも頑張れるのに・・」と愚痴をこぼしてしまうこともあるかもしれませんが、楽しくない仕事もあることも全ての人が分かっています。それでも、仕事に集中して働ける人は、どんな注意の特徴をもっているの

STEP 1-1:注意について知る|覚醒ネットワーク

1. 注意の覚醒について集中しようと思っても集中がうまくできない時があります。疲れていている時は集中しようと思っても、なかなか集中できないものです。このような状態は、注意の覚醒が弱い状態ということができます。反対に、元気な時には課題にすぐに集中できます。このような状態は注意の覚醒が強い状態といえます。 注意の覚醒は強ほど良い状態と思われるかもしれませんが、注意の使い方が苦手な人は、覚醒が強すぎることで困った状態になることもあります。その代表的な例としては「過集中」をあげるこ