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そこはいいんかい ①

今年のインド滞在は約40日間。
ほぼケーララで過ごし、最後の数日間はゴアに滞在しました。今回のインドでも『そこはいいんかい!』ってツッコミたくなるインド人のユルさにだいぶと助けられました。


ケーララのコジコード空港から飛行機に乗り、22時頃ゴア空港に到着しました。そこからタクシーで1時間ほどかけてホテルへ向かいます。ゴアは基本現金払いのお店が多く、タクシーも現金払いです。タクシー代ほどのルピーは残っていましたが、両替所やATMの少ないゴアの街でまた困らない為に、空港で多めに両替をするつもりでした。

無事タクシーに乗りホテルに到着。
去年気に入ったヨガスタジオを見つけていて、今年は通いやすいように徒歩10分ほどのホテルをとっていました。ひとりの場合は安宿に泊まる私ですが、インドの安宿って想像以上なことが多いので気持ちいつもよりワンランク上のホテルにしてみました。とはいえ安い。

少しドキドキしながらお部屋の扉を開けました。そしたらなんと天蓋ベッドっていうんですか、お姫様のお部屋みたいな大きくて可愛いお部屋。水回りも綺麗。なんとなんと。


ホッとし、とりあえずシャワーでも浴びるかとバックパックの荷解きを始めた頃、思い出しました。空港で両替することをすっかり忘れていたのです。瞳孔が小さくなりました。
即座に財布を調べたら、ヨガを受けられるだけの現金とあとほんの少しだけの余裕がありました。(余裕ではない、数百円ほど。)
あーよかった。スタジオまでは徒歩で行けるし、その後歩いてATMに行こうか、もしくはバイクタクシーの兄さんに両替所に連れて行ってもらって後払いにする?、ところでこの辺にレンタルバイク屋さんはあるのか?そもそも運転大丈夫?などと考えながらシャワーを浴びました。

そして夜な夜な〝ゴアにきたな〟と実感させてくれる四つ打ち、トランス、騒ぐパーティーピーポーたちの騒音に歓迎されながら、ひとり天蓋ベッドでスヤスヤ眠りにつきました。


翌朝、清々しい目覚め。
朝日が優しく包みこむまだ静かな街を、ゴアに戻ってきた喜びを噛み締めながら歩きヨガスタジオへ向かいました。

無事クラスを受けることができ最高な気分。とりあえずブランチでもするかと徒歩3分程のところにあるカフェへ向かいました。そこは去年も行っており、カードが使えることを知っていました。

小2時間程まったり過ごし、会計の際にスタッフさんにこの辺でバイクをレンタルできるところはあるか聞いてみました。「国際免許証は持ってるの?」と聞かれ、持ってると言うとおもむろにスマホをいじり始めました。

店員「これバイクレンタルしてる知り合いやから、直接WhatsAppから連絡してみて。5分後に店の前までバイク持って来てくれるみたい」。
私「私今ルピーもってないねん。」
店員「大丈夫でしょ。なんとかなるんじゃない。」
ほんまかいな。
しかし聞いてみるもんです。
ちなみにWhatsAppとは日本のLINEのようなもんです。海外ではWhatsAppを使っている国が多いので非常に便利。

直接連絡を取り、15分後にイカつめの男性二人組がバイクに乗ってやってきました。
「君かい?日本人?」と聞かれながらバイクを渡されました。

私『日本人やで。えっなんかデカない?こんなに原付バイクって大きかったっけ?』ヨロヨロ…

男『アンタほんまに運転できるん?』

私『できるって。日本で乗ったことあるやつはもっと小さかってん。アセアセ。ところでどうやってエンジンかけるんやっけ?』(10年以上ぶりだった為スッカリ忘れてた)

男『えっほんまに大丈夫なん?免許証持ってるん?みせて』

免許証を見せ、
私『大丈夫大丈夫!運転はしたことあるけど忘れただけ!』ヨロヨロ・・

男『ほんなに大丈夫なん?ちょっとここで練習してみ!ぶつけたりしたらアンタが弁償するんやで。』

私『大丈夫大丈夫!!』ヨロヨロ・・

今思えば、こんな女に絶対バイク貸したくない。

私『ところで私今ルピー持ってないからATM行きたいねん。』

男『ホテルどこなん?』

私『○○ホテル』

男『OK。今からどっか遊びに行くんやろ?またホテル戻ってきたら連絡して。取りに行くわ。』

えっマジで言ってる?
ユルすぎる。
1周まわってもはや優しささえ感じる。

そしてなんの手続きもなく国際免許証見せただけの人にバイク渡して去っていきました。あっさり。
ちなみに料金は1日900円弱ほど。相場よりも若干高めだけどそんなの私には無問題です。

と言いつつ、ふと不安が頭をよぎります。
”ホテルに取りに来るってまさか部屋入る気ちゃうやろな”
”バイクも返すときに『ここキズいってるやろがー!』とか言うてくるんちゃうやろな。その手には乗らんで”という警戒心も湧き上がり、あらゆる角度からバイクの写真を撮っておきました。


海でのんびりチルを楽しみ、夕方ホテルに戻りました。
私『ホテル戻ってきたよー』

男『5分で行くわ』

近っ!と思いつつ、警戒心を持ってホテルの前に立って待つことにしました。そして15分後にブーンとバイクに乗ってやってきた彼。

お金を手渡し、
私『運転慣れたで』

男『よかったやん。ほな』
ブーン。
10秒で去っていきました。

男の背中を見送りながら、安堵感と共に、
告白してないのにフラれたような気分を味わっていました。

日本を出ると日本の素晴らしさを改めて実感します。
同時に私はこれくらいユルいほうが楽だなとも感じるのが正直なところ。


続く


Ogi








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