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企業で10年働いたサラリーマンが、いきなり地元の育児中の親御さん向けのちらし作成を命じられた時に役立つ本紹介 ~書籍「実践!チラシ集客法100」~

私は、企業で10年働いてからNPOに転職し、とある東京のマンションの共用スペースにて、習い事や遊びスペースを地域に広く提供する子育て支援事業のマネージャーになりました。新しく建てられたマンションのスペースでしたので地元の知名度はゼロでした。また、最初の時期はマンションの住民しか使えない施設と勘違いされていたこともあり、利用者やそこで習い事を提供してくれる街の先生を呼び込まないといけない状況でした。

2010年当時SNSではやっていたMixiのアカウントを作った私は、そのエリアのママさんの集まりに入り、かたっぱしから告知メッセージをしたのですが、管理者の方から出禁にされてしまいました。また、当時認知度があがっていたTwitterでもたくさんフォローし告知メッセージを送信しまくっていたら、こちらもシステムでブロックされてしまいました。今から思うとかなりマナー違反だったなと思うのですが、それだけ必死だったのでしょう。

そうしたデジタル的なものに徹底的に失敗し、どうしたらいいか代表に相談したところ、「チラシをつくってまいてください」とアドバイスをいただきました。「では、チラシ業者を探してみます!」と言ったところ、「いやいや、あなたがパワポ(PowerPoint)でつくって、あなたが印刷して、あなたが街頭に立って配るんですよ」と。それまで10年勤めていた企業では、ITシステムを企業に提供したり、社員に研修などを提供していたので、子育て中の親御さん向けにチラシをつくったことや街頭に立ってチラシを配ったことはありませんでした。

やったことがなく、どうしたらよいか軽いパニックになった私は、とりあえず本屋に駆け込み、夢中で手に取った本がこれです。

チラシをまずは作らねば!からの脱却

まず目次を見てください。チラシ作りタスクに追い込まれた、事業のマネージャーが見たら飛びつく魅力的な内容です。

1章 まずはチャレンジ!「当たりチラシ」診断
2章 これが王道!「当たりチラシ」のつくり方
3章 「当たりチラシ」はこう使え! チラシアイデア活用法
4章 1年以上前にハズレたチラシを劇的に復活させる方法
5章 緊急対応! チラシ反響を今すぐ上げる方法
6章 1円も無駄にしない! チラシをしつこく貪欲に活用する方法
7章 大当たりさせるチラシ! その前にやるべきこと、知っておくべきこと
8章 これが「大当たりチラシ」のつくり方!
9章 大当たりし続けるチラシをつくるために

すでに、パワポで何枚か作ってみたのですが、箇条書きが多い魅力がないチラシばかりでした。第一章では「集客効果を意識しているか!」として5点にフォーカスして語っていました。その5点とは、①キャッチフレーズ:これだけはどこにも負けない一点をしぼってキャッチフレーズをつくる、②配布エリアと曜日:どんな人が住んでいてどんな生活をしているのかを知る、③価格:第一に伝えたいものの価値を訴求しその後で価格を伝える、④デザイン:デザインの良さは品質の良さを連想させることにつながる、⑤計画:作成・配布毎に効果を測定し次回に活かす、です。

これを読んで、チラシづくりばかり注目していたが、自分達が提供するサービスの一番の強みはどこかを考えたり、時間があれば人通りの多い交差点に立って子連れの方の数を見たり、幼稚園・保育園の年間スケジュールを確認したり、地域のおかあさんに有償ボランティアに入ってもらってスケジュールを教えてもらったりと利用者のことを知る行動が必要なんだなと、今の足りないことを痛感しました。

そして、チラシづくりのデザインのポイントとして、「一番の魅力をチラシの3割以上を使ってアピールする」「お客様に取って欲しい行動を率直に書く」「使用時の価値と、使用後の価値を伝える」「スタッフの写真などで人による安心感や信頼感を出す」「にぎわい感、ワクワク感を出す」などが紹介されていたので、それに従ってなんとか見えるチラシをつくりました。

そして、バルーンアート(風船で剣や動物などを表現したもの)をたくさん作って、街頭で子ども連れの親御さんにチラシを配りまくりました。

チラシだけでない存在感の高め方

この本のすごいところは、チラシの作り方にとどまらず、地域で一番の存在になることを目的に書かれていることです。そのため、チラシだけでなく、親近感を持ってもらうためのニュースレターの書き方や、信頼感を高めるための小冊子の作り方などにも触れられています。

特に関心を持ったのが、ニュースレターで、定期的に送ることでチラシの反響をよりよいものにすることができ、以下効果が見込まれます。

<ニュースレターの効果>
・その施設や運営団体の個性を知ってもらえる
・知らない人も読んでくれて、潜在的なファンができる
・チラシは捨てられてしまうが、ニュースレターは保存される場合が多い
・社員やスタッフを紹介することで、事前に顔を覚えてもらえる
・お客様の声を載せると、そのお客様が次のお客様を紹介してくれる

これを読んで、とりあえず会員を増やそう!ではなくて地域の一員として顔と顔がわかる関係性をつくっていくことが必要で、そのために定期的に情報を提供していくことが重要なんだなと気づきました。そこから、こうしたことを知ってもらえるメールマガジンを配信することにしました。

また、この本では客層別に「売り商品」を選定することをおすすめしていました。以下の表はP141からの抜粋なのですが、ペットショップのケースでどの層にアプローチをしたらよいのかをマトリクス化し、ターゲットを絞り込もう!と言っています。

客層別

「実践!チラシ集客法100」P141から抜粋

この施設では地域に開放している屋内公園とバレエなどの習い事を提供するスペースがあり、習い事の売上も上げる必要がありました。基本的に屋内公園にくる親御さんに習い事のお知らせをしていくのですが、この表を見ていてハッと気づくことがありました。それは、時間帯によってお子さんの年齢が異なることと、年齢毎に習い事への関心度が異なるということです。

例えば、朝10時開場直後にくるのは、新生児~1歳くらい、子どもと遊ぶというより親がゆっくりする場としての利用でした。そのため、習い事にはまったく関心はありません。11:30~14:00くらいは2歳~3歳でお友達と子どもを遊ばせながら、お昼ごはんを食べにくる使い方で、習い事に関心がなく、無料の遊ぶイベントには参加する感じ。15:00以降は幼稚園が終わった子ども達がおしよせてくる。親御さんは子ども達の遊びを目で追うだけだが、親御さん同士の情報交換が目的。習い事には積極的な意欲があって月1万円くらい使っている。この他にヒヤリングをすると、小学校3年生からは中学校入試のための塾通いが始まるので、習い事は未就学児~小学校2年生までということがわかりました。

そこから、2歳~3歳の潜在層には遊びの無料イベントを行い関係性をつなぐくらいにしておき、4歳~小学校2年生を対象とした習い事を多めに配置をして、チラシやスタッフからの呼び込みを行うようにしました。

さらに地域の一員となるために

この本では、チラシの効果を発揮するためには、地域に密着して地域一番を目指すことと書かれており、そのために各種キャンペーンをおこなうべしと書いてありました。さらに、そうした取り組みは準備に時間がかかるので計画をたてるのが効果的とのことでした。

地域密着カレンダー

「実践!チラシ集客法100」P155から抜粋

当時施設のイベントを散発的に思いついたタイミングで実施していた私は、いくら見栄えのよいチラシやイベントを単発的にやっても意味はないことに気づき、子育て支援施設として地域に受け入れてもらうために、利用者に合わせた情報発信やイベント提供をしなければいけないことに気づかされました。そこから、乳幼児、保育園、幼稚園、小学校、中学校の年間スケジュールを関係する親御さんから聞き取り、そこからイベントを企画し準備期間を持って実施するようになりました。

さいごに

最初はチラシを見栄えよく作るためにどうしたらよいか?のために手にとった本でしたが読みこむに従って、どの利用者に自分達の何をどのタイミングで伝えたらよいのかを絞り込むことと、しっかりと読んでもらうためには認知度や信頼関係を高める必要があることがわかりました。地域で子育て支援事業をするために大事なことを教えてくれた本です。是非、いきなりチラシ作りに困った方は読んでみてください。


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