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NPOで働く「繊細さん」へ

感じる力が強く、小さなことにもよく気づくために以下のような状況でストレスを抱える人「繊細さん」(HSP)をよく聞くようになりました。武田有紀さんの以下の本が有名です。

HSPは、Highly Sensitive Personの略で、アメリカの心理学者・エレイン・アーロン博士が提唱した概念です。アーロン博士はアメリカで数千人を対象にした調査を行い、繊細さは性格によるものではなく生まれ持った気質の可能性が高いこと、そして、「生まれつき繊細な人」が5人に1人の割合で存在することなどを発表しています。(https://sensaisan.jp/aboutsensai より抜粋)

感じる力が強く、他の人が気づかないような小さなことにもよく気づくため以下のような状態になることがあります。

・まわりに不機嫌な人がいると緊張する
・細かいところまで気づくため、仕事に時間がかかる
・相手が気を悪くすると思うと断れない
・短期間にたくさんのことをしなければならない時、混乱してしまう
・一度にたくさんのことを頼まれるのがイヤだ
・仕事をする時、競争させられたり、観察されていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる
・忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所にひきこもりたくなる

ここだけみてしまうと、悪いことのように感じますが、繊細な能力はいいことも多くあります。

・感じる力
 相手の話を深く受け止めながら聞ける
 相手のニーズを感じ取り、細やかにケアする
 相手のいいところを見つける など
・考える力
 深く考察する
 当たり前になっていることに疑問を抱き、改善する
・味わう力
 「いいもの」を受取り、大事なところをうまく表現できる
・良心の力
 信じることに真摯に取り組む
 自分の納得と相手への誠実さを両立させて、大きな力を発揮する
・直感の力
 ものごとの本質にたどりつく

5人に1人存在する繊細さんは繊細な心を持っていることが一つアドバンテージと言えるでしょう。しかし、繊細さんの多くは繊細さを「自分の悪いところ」として認識しているので、直さないといけないと思い込んでいます。この本では、自分の特徴を理解し、過剰な反応にならないように気を付けたり、自分が活かせる場に移ることが大切とメッセージしています。

繊細さんが活きる場とは、その人自身がやりたいと感じていたり、価値があるなと思っている①想いやりたいこと、自分が②得意なこと、働き続けることができる③職場環境の接点の部分が「適職」となります。

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「繊細さん」の本 P196から抜粋

例えば、会社の利益のために働いていることに自分の人生をかける意味を感じられなかったり、今の仕事が社会の何の役に立っているのかわからず焦っている人は多くいると思います。「仕事ってそういうもんだ」とよく言いますが、繊細さんはこの状態に耐えられません。

感情を前面に出してガツガツ議論するマッチョな職場では繊細さんは全くといっていいほど戦力になりません。むしろ足をひっぱるお荷物の存在となりますが、適職の場では大きな力を発揮する可能性があります。

私の感覚値ではありますが、繊細さんはNPOに多くいると思います。それは、困りごとを抱えた当事者の方と触れ合うには、共感する力とても求められるからです。

東日本大震災の際に、被災地支援事業である時期一緒に働いていた人は、今から思うと「非繊細さん」でした。被災地の住民の方に対して配慮のない発言が多く、トラブルが絶えませんでした。何度注意をしても、感じることができないので改善することはできず、結果として辞めることになりました。「繊細であること」は受益者と向き合う時に求められる基礎スキルです。

また様々な社会問題を扱う際には「想像力」が求められます。自分はそれを扱うには情報が足りないのではないか、自分で気づいていないことで人を傷つけてしまうのではないか、そうした自分は何も知らないスタンスで丁寧に向き合う姿勢を持つことがとても重要で、繊細さがとても活きます。

このようにNPOにとって、とても重要な繊細人材ですが、その繊細さがゆえに生きづらさがあります。私は、NPOの繊細さんに共感し、活躍できるようによりそえる人でありたいなとこの本を読んで思いました。


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