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【もし自分が34歳だったら応募したいNPO求人を集めたマガジン】一般社団法人全国食支援活動協力会 全国の子ども食堂を支えるお仕事

注意:2020年5月2日時点で団体のWebページで公開されている情報に基づいて記事を作成しております。紹介した求人が現在Openか確認はしておりませんので、既にCloseされている場合があります。

私は、2020年4月現在44歳です。さかのぼること10年前、私は10年務めた某IT企業を辞めて、NPOに転職をしました。当時は、今ほどNPOは知られておらず、求人もとても少なかったのですが、2020年の今は多くのNPOが活動しており求人を出している状況です。

もし今、「10年前の自分に戻れたとしたら・・・」の視点で現在の求人を見て応募したいなという求人をマガジンでまとめています。

今回は全国のこども食堂を支援している中間支援団体の一般社団法人全国食支援活動協力会さんの正職員の求人です。

全国に広がっている「こども食堂」と中間支援団体の必要性の高まり

現在の日本は7人に1人が貧困と言われていますが、現代の子どもの貧困はみえにくくなっています。きちんとした制服を着て学校に通っている子どもでも費用が出せなくて修学旅行にいけなかったり、親が病気等の理由で兄弟の面倒や家事を1人で担っていたり、キャンプやスポーツ観戦、遊園地等の家族の外出経験がなかったりします。

そうした貧困状態にある子ども達に対して地域の大人達が、一緒に食事をする場を提供しているのがこども食堂です。2016年は319か所だったものが2019年には3,718か所まで増えています。増えてはいますが、子ども食堂は子どもが徒歩で通える範囲に位置する必要があり、小学校区に1つあるのがよいと言われています。この充足率はNPO法人全国こども食堂支援センターむすびえがまとめた調査では以下の通りとなっており、まだまだ増やしていかないといけません。

小学校区に対するこども食堂の充足率は、沖縄県(60.5%)、次いで滋賀県(52.5%)、鳥取県(35.2%)が上位となった。一方、充足率が低いのは、秋田県(5.5%)、青森県(5.6%)、長崎県(7.0%)であった。充足率50%超が2県。25%超が6都府県(東京、鳥取、神奈川、京都、大阪、高知)となり、10%超が上記7都府県含めて35都道府県。2018年段階で10県あった5%未満は0に解消した。

また、こども食堂は地域の大人達のボランティアでなりたっていますので、毎日開催されているわけではなく、月1回や週1回など定期的な開催となっており、この開催頻度を高めていくには活動をさらに活発にしたり、資金や、ノウハウのサポートが必要になってきており、そこでこども食堂をサポートする中間支援団体のニーズが高まっているのです。

地域住民による食事提供の活動は実は昔からある

こども食堂は注目されて数が増えてきておりますが、実はこうした地域住民による食事提供の活動は昔から実施されていました。それは地域の高齢や障がい、病気といった事情により食生活に困っている人や、1人暮らしで人との交流の機会が少ない人にむけて、地域住民が支援を行う活動です。

こうした活動が始まったのは1970年代と古く、老人ホームやボランティアグループの取組みをきっかけとして、活動は全国に広がっていきます。そして、1981年には当時の厚生省が国庫補助事業にデイサービス事業の訪問サービスとして配食サービスを追加し、1992年には在宅高齢者等日常生活支援事業のメニューの一つとして配食サービスを位置づけました。それにより、地域支援事業の任意事業として地域の社会福祉法人が独自に行うこととなりました。

食事サービスは、「会食サービス」と「配食サービス」の2つがあります。

会食サービス:集まっていっしょに食事と会話を楽しむことで食を通じてコミュニケーションの場をつくることが目的の活動

配食サービス:食事を利用者の自宅まで配達することで、家事の負担軽減や栄養バランスの改善が目的の活動。さらに訪問を通じた会話や安否の確認も重要な目的です。

こうした2つのサービスの組み合わせで、見守りによる社会的な孤立の予防や、低栄養予防・老化・介護予防、必要な福祉情報の提供を行ってきたのです。こうした高齢者向けの食事サービスの定着により、高齢者の栄養状況は向上してきましたが、今度は子どもの年代の栄養状況の悪化が起こってきており、その対応として年齢層を高齢者だけでなくこどもの年代に拡げるパターンも出てきました。

こども食堂を開催する際に拠点の確保は大きな問題ですが、既に高齢者向けの食事サービスで利用されている場所を利用することができれば少ない負担で開催することができます。

<食事サービスの使用されている5つ施設の型>

・自宅解放型:空き家や自宅の解放
・福祉施設間借り型:デイサービスや老人ホームの食堂を解放
・公共施設型:公共の集会室の利用
・貸店舗、空き店舗:シャッター商店街になってしまった空き店舗利用
・ハイブリッド型:介護保険事業で拠点を確保し、その一角を利用

こども食堂の充足率をさらに拡げていくには、こうした既に拡がっている高齢者向けの食事サービスとの融合が欠かせません。

全国食支援活動協力会は以前より全国老人給食協力会として食事サービスを長年支援してきた団体です

今回求人を出している一般社団法人全国食支援活動協力会は、1995年から活動している全国老人給食協力会が2017年に名前を変えた団体で、これまでこれまで述べてきた高齢者向けの食事サービスの中間支援を実施してきた業界を引っ張ってきた団体です。食事サービスに関する知識・経験・ネットワークを時間をかけてつくってきました。

こども食堂は、こどもを集めた食事の場を提供するだけでなく、フードバンクと連携してひとり親家庭にパックした食材を取りにきてもらう「フードパントリー」や、食材を個別に配送する「こども宅食」など活動を進化させることで本当に困っている人の状況把握や支援するようになり、よりアウトリーチ型になっていると言えます。この流れは、これまで実績のある高齢者向けの会食サービスと配食サービスの発展と近しいです。

こうしたことからも全国食支援活動協力会さんが提供する中間支援の内容は厚みのあるものであることがわかります。

「こども食堂サポートセンタープロジェクト」は休眠預金のプロジェクト

求人の内容を見ていきましょう。

【主なお仕事内容】相談窓口・事務・助成事業補助事務・研修・イベント開催支援・調査研究事業補助・こども食堂サポートセンタープロジェクト

こども食堂サポートセンタープロジェクトがお仕事内容に含まれていますが、これは休眠預金関連のプロジェクトです。

休眠預金とは、金融機関の口座に預けられたまま10年以上取引されていない休眠預金は毎年700億円といわれており、その預金を社会課題の解決に活用する仕組みが動き出しています。初年度となる2019年度は30億円が助成される見込みになっていますが、この仕組みが軌道に乗れば今後500億円くらいまで助成額が高まっていくことが予想されています。

銀行から集められた休眠預金を配分する国に1つ存在する指定活動団体である一般財団法人 日本民間公益活動連携機構(JANPIA:ジャンピア)が2019年11月29日に2019年度の助成する資金分配団体22団体、29事業を公開しました。

一般社団法人全国食支援活動協力会は、実際に活動する団体(実行団体)に資金を分配する資金分配団体として採択された団体です。下図をクリックするとJANPIAの関連ページにとびます。

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こども食堂サポート機能設置事業の事業情報を確認すると、3年間の事業概要として以下記載されています。助成額は3年間119,140,800円です。

事業概要:2008年以降、『子どもの貧困』が社会問題として取り上げられているなか『こども食堂』は身近にある食を通した居場所として注目されている。しかし、支援体制は追いついておらず運営側の負担も大きい。そこで本事業は、『子どもたちの食生活の乱れ』、『子どもたちが安心して通える地域の居場所が安定して整備されていない』を課題とし全国地域に『こども食堂サポートセンター』を設置することで解決を目指す。各地に設置するこども食堂サポートセンターに対してこども食堂間のネットワーク形成ノウハウの提供、食に向き合う体験プログラム実施や安全な作業環境整備の伴走支援、地域資源の開発支援などを行い、子どもの健全育成を達成する。

さらに、公開されている事業計画書をみると、ロジックモデルにて資源の投入ー活動ー結果ー短期成果ー中長期成果と記載されており、事業が社会に与える変化である社会的インパクトが測定されていくことがわかります。

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この求人の魅力

以上の情報から、この求人の魅力はたくさんあります。

・これまで団体内に蓄積された食事サービスの知識やノウハウを全国のこども食堂運営に活かすことができること:既存の知識財産を活かすことで効率的に支援することができる

・事業の社会的インパクトがはかられること:事業がどれくらい社会に影響を与えたのかをはかることは日本の中で認知度は拡がっていますが、定着はしていません。休眠預金のプロジェクトでは評価者をつけて必ず社会的インパクトをはからなければいけませんので、この事業を通じて日本でも先進的な社会的インパクトの測定の現場に立ち会うことができます。自分が関わったプロジェクトがどれくらい社会に役立ったかがわかるなんてドキドキしますよね。

・予算が確保されていること:NPOの求人は1年間更新の契約社員であることがほとんどです。それは財源が次年度確保できるかは不透明な団体が多いからなのですが、休眠預金のプロジェクトのため複数年予算が確保されているので安心して仕事に取り組むことができます。これは結構すごいことです。

・こどもの貧困対策の最前線の情報がわかること:中間支援団体は直接貧困状態のこどもにアプローチすることはなく、活動をしている団体を支援します。ですが、団体から活動の情報が入ってきますので、この地域ではこんな取組みがされて成果があったとか、こんな新しい取組みが始まったなどの実践的な情報が集まってきます。これはとても価値があることです。

さいごに

NPO業界は比較的に設立から数年という団体が多いなかで、一般社団法人全国食支援活動協力会は長く活動されている団体です。しっかりと根を張ってきたものを活かした活動となりますので、多くのNPOにあるスピード感重視!というよりも、関係性を重視してしっかりと支えることが得意な人が向いている職かもしれません。企業で働いている人で、こどもの貧困問題解決に向けた仕事をしたい!と思っている方は応募してみてはいかがでしょうか。


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