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凡才のポジショニング~今の仕事に活きる陳腐化しないコアなスキルをどう得てきたかを振り返る~

新卒入社で感じた凡才感

私が、2000年に新卒でIT企業にシステムエンジニアとして就職した時に感じたのは「自分て凡人だわ・・・」でした。関西から東京に出てきての就職だったのですが、周りには東大・慶応・早稲田を卒業した今まであったことない賢い人たちや、東北大学や名だたる理系の大学でコンピューターサイエンスを学んだ人たちがいて、自分の特徴といえば関西弁が話せるくらいしかありませんでした。そこで思ったのは、新しくて・珍しいことを選び、経験から素早く学ぶことで自分の価値を高めることでした。

技術やスキルは時間が経つことで陳腐化していき、そのスピードはどんどん速くなっていると言われていますが、この考え方で20年間働いてみて、今のお仕事に活きている陳腐化しないコアなスキルがあるなと感じたので、キャリアを振り返りながらまとめてみました。

人気より希少なスキルを得ることで領域を超えて関われる

新卒で入ったIT企業では、銀行や運輸など基幹業務を担うホストサーバー、Webサービスを担うUNIXサーバー、メールやチャットなどオフィスで利用するサービスをするWindowsサーバーの大きく3種類の領域があり、当時はWeb全盛期でしたのでUNIX系を目指す人が多かったです。その中で、この3つの領域に加えて新しく「ネットワーク」の領域を会社をあげて事業化しようとなりました。社内で人気はなかったですが、希少な技術を習得すると、様々な領域を超えた案件によばれます。金融、製造、流通、公益、中小とセクターごとにシステムエンジニアが縦割りで所属していましたが、希少な技術だったので各セクターで抱えることができないため、複数のセクターのお客様を担当することができました。

また、絶対数が少ないので、若手社員でもお客様に直接説明したり、了解をとったり、謝ったりする役割を一人で担うことが多くなり、顧客対応力がぐっと高まります。

数字からストーリーを見つけないと意味はない

システムエンジニアとして5年を過ごした後で、社内公募制度を使って社内スタッフの部署に異動しました。そこでは、当時コンサルティング会社を買収したところで、その部門のコンサルタントの稼働率を管理することを事業部長づけで担当していました。稼働率とはお客様の仕事(お金を頂ける仕事)に取り組んでいる時間の割合のことです。これまでシステムエンジニアとして客先で働いていた環境とは180度違いますが、そこで得たのは、職員全員の稼働データを分析するエクセルの集計スキルやピボットテーブル等をつかった分析スキルです。ただ数字を集計して報告しただけだと事業部長に「で?」と言われて終わってしまうので、分析した内容がどういう状態を表しているのか、アクションが必要なのか・不要なのかなどを説明しなければなりません。数字からストーリーを見つけ伝えるスキルを習得しました。

無理難題をやりきるために何ができるか考えるのが仕事の価値

稼働率を管理する仕事を2年間した後で、社内で新しいプロジェクトが始まるので来ないかと声をかけられました。それは、システムエンジニアの新人研修のコストが収益を圧迫していたのでそれを半分にするプロジェクトでした。期間を半分にすればいけるだろうと迫る役員層の意見と、現場に負担がかかるから教育効果はそのままにしろと主張する現場管理者との間で、大変でしたがなんとかやり切りました。

ここで得たのは、会社役員の見方の違いや目標達成に対する強い思いを知ったことです。プロジェクト開始直後の役員へのプレゼンで「コスト半分はさすがに無理です」という発言をしたら開始10秒で「はぁ?出ていけ!」と言われたのがいい思い出です。無理難題をやりきるために何ができるかを考えなければいけないことを体感しました。

こうした無理難題の特命プロジェクトには、社内でも凄腕の部長や補佐が招集されますので、その人たちのやり方や無理難題に真摯に取り組む姿勢も勉強になりました。

組織の知識を、個人に習得させ、行動に反映させるには体験を通じた学習でしか伝えることはできない

社内の新しいプロジェクトでは、コストが半分・期間も半分になってしまったので、新人研修のカリキュラムを1から組みなおす必要がありました。知識・スキル・経験が低い新入社員をいかに現場で役立つレベルのITエンジニアに育成するのか。そこの試行錯誤をしてたどり着いたのは、技術力と顧客対応力の2つの領域において、知識の習得→実践→フィードバックをすることで定着させた上で、この2つの領域の力を使いつつチームで実践する仮想体験の場を提供することでした。この考え方のもと2年まわしてみて、成果を体感しました。

この体験学習を提供した経験は、そのあとの仕事にも大きく活きることになります。NPOであれ企業であれ、どの組織も価値ある知識やスキルがあって、それは代表や創立メンバーなど一部の人にしか保有されていません。組織が成長していく過程でそれを、所属メンバーに展開していくのですが、一方的な研修や書籍を読むだけでは、大切な知識・スキルを伝授することはできません。そこで、それを体験学習の考え方で企画・運営をすることが何度かありました。このスキルは領域問わず汎用性もあって役立っています。

0→1の仕事は全速力で全部やる

新卒から10年つとめたIT企業を辞めて、NPOに転職し、新規事業を立ち上げるマネージャーになりました。ここで学んだのは、全く何もないゼロの状況から事業をはじめる0→1の仕事の仕方です。そして、立ち上げ期特有の受益者の声を聞きながら、スピード重視でどんどん事業を進めていくモードを体得しました。そして、NPOならではの一人で全てのタスクをやりきる器用さもここで得ました。

スピード重視のモードの時は「できない」「無理」ではなく、「ここまでならやれる」「ちょっとやって検証して判断する」という、まずやることを考える。判断できなければ、判断できる情報を得ることを目的にやるということです。

多くの人を巻き込むために「座組み」の必要性について知る

IT企業から転職したNPOに5年勤めてから、今度は中間支援をするNPOに転職します。ここでは、社会を変えるために、多くの人を巻き込むための組織を設立する方法を学びました。これは新規事業のスピード感も必要ですが、試しながらというモードではなく、どういった人を集めて・何をアウトプットさせて・それをどう公開して・オチとして新規事業に集約させていくかという「座組み」や「シナリオ」の作り方を知ることができました。

まとめ:凡才のポジショニング

私の20年間のキャリアを駆け足で振り返りました。様々な組織で働いて気づいたことは、どの時期の仕事にもキモとなるものがあって、それとあいまみえることで今に活きる陳腐化しないスキルとなっていることです。

今「自分って凡才だわ・・・」と私と同じことを感じている方は、今までに得てきた陳腐化しないコアスキルは何かや、今の仕事のキモは何かについて考えるのがよいと思います。

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