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反面教師で学ぶって言った時に飲み込んでいるもの

複数人の職場で働いていると、仕事はぐいぐい進めるのだけど、人として尊敬はできない方がいるときありますよね。自分はそうならないようにしよう!と決意する、いわゆる「反面教師」です。

本来、職場で周りの人が尊敬できない言動を繰りかえしていたら、その人は仕事ではやっていけないはずですが、それでも影響力があるポジションにいるというのは、そのマイナスの部分を目をつぶってでも、その人の仕事を進める力が必要不可欠と認められているからです。

人には能力のデコボコがあって、とびぬけていい部分があったら、そうでない部分もあります。そしてそのプラスの能力もマイナスの能力も無意識で発揮されます。つまり、尊敬できない言動は、その人にとって無意識でされているのです。いじわるでやろうと思っているのではなく、ついついでてしまう昔からの習性なので、よほどのことがない限り変わることはないです。

こうした、仕事で成果を出し続けている人は、かなりの努力もしていますから、それに対する自負もありますし、「周りの人はなぜもっとやらないんだろう?」と「できない人、意味不明」と逆に疑問に感じているはずです。

で、こうした人をみて、ああいうふうにならないでおこうと思ったとします。でも、それは思ったその時の自分が、その人とは同じ言動をしないようにするということではなくて、その人と同じくらい責任を負うようになったとしても、同じようにならないと決意するということなんです。

少し自分の話をします。私の父はもう亡くなったのですが、仕事人間で家にはほとんどいなかったですし、家にいても仕事ばかりで遊んだ記憶はあまりないです。それに対して、父のようにならないでおこうと反面教師に思ったのですが、それを果たすには、自分が子どもの親になった上で、仕事が忙しくてそこに集中したいと思った時に、仕事を断って帰る意思決定ができるかどうかにかかっています。そして、仕事を断っていくことによってキャリアが閉ざされていく不安を感じたり、現実的にその職場にいれなくなり、メンタルを病んでいくことつながっていきます。また、私には家庭にいる父親像がないので、仕事を断って帰ったとして、「もっと仕事がしたかったのに・・・」と思いながら育児や家事をしているので、イライラした対応になったりして、よりよき親としてふるまうことはあまりできていなかったと思います。これは本当に反面教師になっているでしょうか?

もう一つ例を挙げます。職場で部下を仕事の能力でしか見ていなくて、その人の基準以下の人は、バカ・あほ・やめろと罵詈雑言をぶつける上司がいて、辞めていく人が多かったので、ああはならないようにしようと思ったことがあります。その後、自分が数年後にマネージャーになって、どうしてもパフォーマンスを発揮できない人がいて、はやくやめさせた方がよかったのに、人を能力でみてはいけないという反面教師の思いがあり、対応が後手後手になり、結果として周りの職員をまきこんでひどいことになりました。結果として罵詈雑言をぶつけた上司の方が被害が少なかったかもしれない。これは反面教師として学びに活かされているでしょうか?

私は、反面教師という言葉を使っている時は、自分自身で何かを飲み込んでいる時だと思っています。そんな言い方はないだろう!と腹がたったにもかかわらず、その人に逆らうことができず飲み込むということです。

正直いって反面教師で学ぶことなんてひとつもありません。

今は、パワハラ・セクハラ・差別を周りの人が見てみぬふりしていると、その人も同罪になる社会です。沈黙することはその人と同罪です。反面教師だなと思った対応は、なんらかのハラスメントですから、まずそこをはっきりと伝えること。もし、伝えてそれで自分が辞めさせられるような組織だったら、いずれパワハラ・セクハラ・差別なんらかの不祥事でその組織は窮地になります。その仕事に大きなお金やモノが流れる、一種の権力がある事業の場合、そうしたハラスメントも許容されがちですが、それはこれからの社会では通用しなくなります。最近、これまではおさえきれていたことがおさえきれず、報道沙汰になっていること多いですよね。

かしこければいい、優秀だったらいい、仕事ができたらなんでも許される、そんな時代は一気に変わってきます。そのハラスメントみたいな行為を変える運動をしなければ、同じ組織にいるだけで同罪としてみられます。反面教師として学ぶなんて言っている暇があったら、それを変える運動をしてください。でないと、その尊敬できない人と同じ人だと思われる、ほんと最悪なことになりますから。

反面教師で学ぶって言った時に飲み込んでいるものというお話でした。

今回の内容はstand.fmでも聴くことができます。

私はNPOの伴走支援やNPOで働いている人のコーチングを仕事にしていますので、このnoteを読んでいいなと感じた方や、無料相談をうけてみたいと思った方は以下のホームページのお問い合わせからご連絡ください。


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