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食品安全委員会「低温調理のYoutube動画」

食品安全委員会は、低温調理の注意喚起を促す動画をYoutubeで公開している。
牛肉 https://youtu.be/PUjvDmEeWjA
豚肉 https://youtu.be/kRQ0SZNQ_20
鶏肉 https://youtu.be/ECelJwFU2Vg

残念なことに、いくつかの科学的な情報や考察が不十分と言わざるを得ない。

例えば、次のような点が挙げられる。

(1)63℃30分の加熱殺菌を乳等省令で求めていることから、この設定温度・時間がベースとなっているが、なぜ63℃30分としたか?特に、対象としている微生物の種類とどれだけ微生物の減少を求めているかの情報が無い。

(2)厚労省が示している「食肉の加熱条件のQ&A」の殺菌温度・時間が65℃までであるが、低温調理を行っている60~65℃の範囲で必要な加熱時間条件の提示が無い。

(3)米国USDAが示す危険温度帯(デンジャーゾーン)では、60℃以下では食品における微生物の増殖スピードが早いと示しており、60℃以下での低温調理を行う場合のリスクを挙げていない。

(4)豚肉やジビエ肉で懸念されるE型肝炎ウイルスについてのz値の考察がなく、当然ながら提示している豚肉に対する加熱温度・時間ではE型肝炎ウイルスの殺ウイルスが不十分と考えられる。

(5)(4)を受けて、今後農水省が更にジビエ肉の普及に進めていく中で、食経験が少ないジビエ肉の低温調理の注意点についてコメントが少なすぎる。

まだまだ挙げればきりが無いが、行政機関のうち科学的にリスクを取り扱う食品安全委員会にはもっと踏み込んだ内容を期待している。

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