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食品安全を「科学的に」取り組む

「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)には、該当する食品ごとに殺菌条件などが示されている。
 
一例として、生乳、血液、牛レバー、豚肉については、「中心部の温度を63℃で30分間以上加熱するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌しなければならない」とされている。
 
ところで、この「同等以上の殺菌効果を有する方法」とは何だろうか。
厚生労働省は、食肉の加熱条件として、挽肉を原料に含む食品は63℃30分間と同等と考えられる75℃1分間の加熱殺菌を指導している。
 
つまり、
「63℃30分間加熱=75℃1分間加熱」
となるのだが、話はそう簡単ではない。
 
殺菌対象の微生物ごとに耐熱性は異なる。
つまり、一律「=75℃1分間」として同等だと言えない。
 
さらに、静菌剤やそれに類するものを添加している食品の場合、殺菌による微生物制御のほかに、そういった薬剤による影響があり、本当であれば個々の食品ごとに微生物接種試験を行って評価すべきだ。
 
「同等以上の殺菌効果を有する方法」かどうかの説明責任は、食品事業者が負っている。
食品安全を「科学的に」取り組むには、企業がもっともっと人的資源への投資が必要だ。

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