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【旅日記】のどかな雰囲気を味わいたいから会津へ(福島県/会津・芦の牧温泉)

分かりやすい観光地があるわけではないが、会津地方には不思議な魅力を感じる。毎年何回か訪れたくなる場所だ。

東京の北千住駅から会津田島駅まで、東武特急が走っており、そこから乗り継いで会津若松まで出られる。東武日光線から分かれて、鬼怒川温泉を過ぎると一気に秘境感が出てきて、車窓からの眺めが好きだ。東京からだと、福島の郡山まで新幹線で行き、磐越西線経由で会津若松まで行くルートのほうが早いかもしれないが、私はやっぱり南会津から北上するこのルートが好きだ。

川治温泉

気をつけないといけないのは、紙のキップを買う必要があるという点だ。Suicaなどの交通系ICカードで入場してしまうと、会津田島や会津若松で下車できない。東武線の駅での精算が必要になる。なので、Suicaで入場すると東京に帰ってくるまでSuicaがまったく使えなくなってしまうのだ。前回の教訓があったので、忘れずに紙のキップを購入して北千住駅の改札をくぐった。普通のキップなのだが、4,140円という値段。落としたら怖い。

北千住→会津田島までの切符

川治温泉を越えたあたりから、窓ガラスが曇り始める。ここから会津田島までの車窓はとても良いのだが、なぜだか窓ガラスが必ず曇りだす区間がある。川が多いので、湿度が高く曇るのだろうか?

朝から電車が遅れていて、会津田島駅に着いたのが15分遅れの9時55分過ぎだったと思う。会津田島周辺に入ると、まわりでやたら多くのトンボが飛び交っていた。夏の風物詩なのかもしれないと思ったが、そうではなく今年の夏が異常なのだそうだ。そのように駅の係員が話していた。また、「トンボの大量発生は開運の証と言われているので、いいことがありますよ!」とも聞いた。今日はいいことがあるかもしれない。

会津田島駅で今まで乗ってきた特急リバティ会津から、ローカル線の会津鉄道に乗り換える。ここまでで3時間。そこからまた電車に40分揺られて目的地まで向かう。芦ノ牧温泉駅に降り立つと「ねこ駅長」の看板が目に付く。ねこが駅長をやっているらしい。残念ながら、私が来た日はねこ駅長は不在のようだった。

今日は観光地を巡る予定は特になく、南会津のあたりをブラブラして温泉に浸かってのんびりする計画だった。まずは、芦の牧温泉駅に着いてすぐ「うえんで本店」に直行した。会津では有名なラーメン屋である。10時半頃にも関わらず、お店はラーメンを食べるお客さんで賑わっていた。ラーメンが出てくるまでに時間がかかるとおもったので、中華そばの中太麺に加えて、焼き鳥を3本頼んだ。

焼き鳥が焼き上がると「4番さん、焼き鳥あがりました!」という声が店内に響き渡る。呼ばれた番号と焼鳥が運ばれた席から推察するに、自分の席はどうやら5番らしい。5番が呼ばれるのを今か今かと待っていた。20分ほど待つと、「5番さん、焼き鳥あがりました!」という声。「待ってましたー」と心のなかでつぶやき、手をスリスリさせる。焼き鳥が目の前に運ばれてきた。とにかくデカい、ボリューミー。しまった、3本も食べられないかも。

早く食べたい気持ちが勝って、ぶれぶれの写真

焼き鳥を噛むと鶏に弾力があって口の中に鶏の肉汁と旨味が広がる。ゴロッとしていて、また上にかかっている塩が良い味を出している。会津山塩だろうか?(会津山塩とは、近くの鉱泉を煮詰めて作った塩のこと。希少らしいが、うえんでではラーメンのスープに使っている)

焼鳥を食べ終わる前に、中華そばがやってきた。スープをすすると、魚介系だがエグみのないのスッキリとした飲み口のスープだ。手もみの自家製麺も弾力があってスーブに絡んでよく合う。チャーシューは濃いめの味付けがなされていて、合間で食べると、あっさりしたスープのアクセントとして良い。うえんでの支店でラーメンを食べたことがあったのだが、本店の味はその上をいく別格の味だと感じた。

醤油ラーメン

お腹がパンパンになったところで、電車に乗って、「塔のへつり」に行くことにした。塔の形をした岩が立ち並ぶ南会津の景勝地だ。芦ノ牧温泉で往復きっぷを購入、電車に乗り込み目的地へ。最寄り駅を降りた人は私を含めて2人だけだった。電車を使って見に来る人は少ないのか、バイクや車で来ている人が多かった。人でごった返しているわけではなく、適度に人がいる感じ。ほとんどが日本人でたまに外国人を見かける。
天気は曇り空だったが、橋の上から眺めると、そこには、塔のへつりの岩々と、周りの山々、水面に反射する景色とが混然一体となった景色。ただそれだけなのだが、ただそれだけなのが良い。会津の良さはこの自然にある。

塔のへつりからの帰り、芦ノ牧温泉に向かうために駅のプラットフォームで電車を待つ。60歳台前後の賑やかな観光ツアーの団体客にかち合った。湯之上温泉駅では、中国人の団体客がどっと乗ってきて、芦ノ牧温泉駅でどっと降りていった。都心からアクセスしづらい場所にも関わらず、会津鉄道の沿線では割と観光客を見かける。

芦ノ牧温泉駅まで戻ってきた。宿のチェックインまで時間があったので、バスではなく徒歩で向かうことにした。時間としては1時間近く。夏真っ盛りで、額から汗をダラダラ流しながら、今日泊まる「不動館 小谷の湯」という宿に着いた。まず、チェックインのときにスタッフの方に歩きで来たことで驚かれた。和室を予約していて、内装はよくある昭和の温泉旅館のそれといった感じ。ご飯も良くも悪くも普通。普通なのが落ち着く。下手に豪華じゃなくていい。

部屋から見える川

翌朝、朝は鳥のさえずりと川のせせらぎが聞こえて、なんとも清々しい朝だ。電車の時間とバスの時間がうまく合わず、今日も徒歩で駅に向かうことにした。時間がギリギリだったのでちょっと小走りになった。

昨日キップを買ったときに会った駅員さんとまた会った。私のことを覚えていたらしく、「塔のへつりまで行かれてましたよね」と話しかけてくれた。昨日はどこに泊まったんですか?と聞かれたので、「芦ノ牧温泉です」と答えた。また、駅まで歩いてきたと言ったら驚かれて、「朝なのに汗ぐっしょりでその理由がわかりました」と言っていた。会津は盆地だから暑いんですよとも話していた。

今日は会津若松まで行って、市内を少しブラブラしてそのまま帰路へ着く予定だ。七日町駅で降りるつもりが、間違って西若松駅で降りてしまった。ちょっと距離はあるが、七日町方面へと歩いていくことにした。朝早い時間だったので、空いている店があまりなく、たまたま9時から営業しているお店を見つけた。野口英世青春館の中にある「会津壱番館」という店だ。

店内はレトロな佇まいで椅子や机などの調度品にも歴史を感じる。アイスコーヒーとホットサンドを注文して食べることにした。ホットサンドは軽食のつもりで注文したのだが、コメダ珈琲ばりのボリュームで出てきたので驚いてしまった。時間を潰しつつゆっくりと食べることにした。

1時間程度、読書をしながらのんびりした後、会津若松駅に向かって歩いていくことにした。いつも思うのだが、会津若松は興味深い街だ。まず、江戸の城下町だったので、城へと続く大通りがある。七日町の方面には、明治・大正時代を思わせる洋風の建物がちらほら見られる。これは戦時中空襲を免れたから今でも現存している。かと思えば、ある通りでは昭和時代の床屋さんや商店も見られる。また、別の通りに入ると平成時代を思わせるキャバクラの看板が見える。すべての時代が混在した街、それが会津若松だ。この感じが私にはツボで、面白い街だなぁと常々思う。

駅までつくと、磐越西線から郡山まで出て、そのまま新幹線に乗って東京に帰った。

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