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ベトナム語の資格試験ってどんなのがあるんだっけ?(2022年4月段階)

一昔前は「ベトナム語はいくら勉強しても、英検やTOEFLみたいに目標にする検定試験がないんですよ」と言っていましたが、月日は経ち、ベトナムと関わる人、そしてベトナム語学習者も増えて来たこともあってか、今では幾つかの検定試験が日本国内外(っていうか特にベトナム)でみられるようになりました。

実はベトナム語に十数年以上携わりつつ、きちんとこういう試験を受けたことのなかった私(そしてこの度チャレンジしてみようとしている私)、本日はベトナム語学習者である自分自身の頭と情報整理までに、現在どのような試験があるのかを網羅的にまとめてみました。もし「他にもこんな試験があるよ!」という方がいましたら、是非教えて下さい。

1.実用ベトナム語技能検定試験

こちらは日本で受けられるという意味では、日本にいるベトナム語学習者の方には一番馴染みがあるものかもしれません。2017年から始まったこの試験は、口述試験がない筆記とリスニングの検定試験です。まだ「1級は実施予定が無い」そうです。

試験会場は東京のみ、年に一回のみというところでチャンスはやや少ないのが難点ですね。またベトナム政府等の公的機関からの認定はまだ受けていないようで、主に日本国内でその実力を証明する役割が強いようです。

2.国際ベトナム語能力試験(iVPT)

こちらはベトナムで、そして日本でも受けられるベトナム語試験です。この試験は台湾国立成功大学ベトナム研究センター及び社会法人台越文化協会の共同研究開発に端を発するベトナム語能力認定制度です。台湾教育部及び、大阪大学、ベトナムハノイ国家大学、ホーチミン市国家大学、社会科学アカデミー、ハノイ大学、アメリカハーバード大学、オーストラリア国立大学等、国内外の多数の大学やベトナム語教育機関に認可されているということです。台湾が協力しているという点が面白いですね。

2020年から日本での受験が可能となり、大阪大学および神田外語グループが運営に参加しています。大阪と東京で、毎年2月頃に試験を実施しているそうです。

3.Kỳ thi năng lực tiếng Việt(ホーチミン国家大学・人文社会科学大学)

ベトナム国家大学ホーチミン人文社会科学大学が研究・開発した外国人向けのベトナム語検定試験で、こちらはベトナム・ホーチミンに来ないと受検することはできません。(追記:ですが、現在はコロナ禍ということもあってか、オンラインでも受験できるという情報を頂きました。追ってまたご経験の方の情報をリンクさせて頂ければと思っています。)

2022年に関してもキチンとスケジュールが出ていますので、コロナによる影響にも負けず、実施が続いているようですね。

4.ハノイ国家大学・人文社会科学大学主催の試験

上記Kỳ thi năng lực tiếng Việtに準ずるような形で、他の大学でも、特に外国人向けベトナム語コースがある大学では、類似の試験が実施されているようです。ハノイで言いますと、自身の語学レベル達成度や、大学院以上への進学に向けて、ハノイ国家大学・人文社会科学大学主催で実施されています。

以上に紹介はありますが、2020年の日程から更新されていません。実は私はこの試験を今年受けようと思っているのですが、実際に学校に足を運んだら今年の試験日程も出てきましたので、「知る人ぞ知る、受ける人ぞ受ける」という状況になっているようです。こちらは実は私自身が今度受けてみるので、またその様子をレポートできればと思います。

5.THI NLNN HANU TEST(ハノイ大学)

またこれらとは別に新しい試みとして、日本からもオンラインで受験可能な「ハノイテスト」という試験がハノイ大学で開催されるそうです。ただ何だか急に実施が決まって、締切も急に来てしまったので、残念ながら4月実施回はもう申し込みが間に合わないようなのです。また12月にも実施が予定されているそうです。

日越往来がまだ自由にはできない中、オンライン方式のものは今後また増えてくるかもしれませんね。

6.医療通訳技能検定試験

また日本で実施される試験に戻りますが、こういったベトナム語資格もあります。医療通訳技能検定試験は東京通訳アカデミー(閉校)の医療通訳士コースの卒業試験(英語・中国語・ロシア語)として2009年にスタートしたこの検定試験、今では昨今の在日ベトナム人数の増加も反映してか、ベトナム語も試験対象となっています。

こちらは「医療通訳」ということで当然高いレベルを求められていると思いますが、ベトナム語上級者の方にはチャレンジのしがいがありそうですね。

7.司法通訳技能検定

最初のnote記事を公開したところ、Twitterでご教示頂いたところ「司法通訳技能検定」を追加いたしました。中国語、韓国語、英語、フランス語、ポルトガル語と共にベトナム語も試験が実施されているようです。ここにベトナム語が加わるのは、日本に住むベトナム人が増える中で司法の場にもベトナム人が関わる事件が増えているのを反映している面あるでしょう。ただそういう場だからこそ、きちんと当事者の意見が双方に伝わることは非常に大事ですよね。

上記1,2以外はベトナム語がある程度できないとそもそも受験自体が困難かもしれませんが、ともかくも皆様のベトナム語学習の参考になりましたら幸いです。


11年間ベトナム(ハノイ)、6年間中国(北京、広州、香港)に滞在。ハノイ在住の目線から、時に中国との比較も加えながら、ベトナムの今を、過去を、そして未来を伝えていきたいと思います。