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テト映画キング活躍と国営ダークホース!テト正月ベトナム映画事情あれこれ

テト正月の大ヒット映画!

明けたばっかりの2024年(旧暦、テト正月)年始早々の私のX(Twitter)投稿は、意図せずして映画の話題が多くなりました。実際にベトナムメディアでも、この大ヒット映画「Mai」の話題は相当盛り上がっています。

実際に観てきました映画「Mai」、純粋にエンタメ映画としてとっても楽しめました。まだまだ絶賛上映中なのでネタバレは避けますが、Xポストの通り、笑いも涙も全部あり、喜怒哀楽てんこ盛りで入っている感じでした。ちなみにちょっと大人のシーンもあるので、ベトナムでは18歳以下は鑑賞できない「18禁」です。

上映開始後2週間を過ぎた後でも多くの話題を振りまき続け、今年のテト正月映画断トツのヒット作となりました。

Trấn Thành:ベトナムエンタメ界のトップへ

この映画を手掛け、元々コメディ俳優、MCなどで大人気のTrấn Thànhは1987年生まれ。既にベトナムエンタメ界の大物ではありましたが、この映画の大ヒットで更に映画人として地位を高めた彼は、「Mai」劇中でも得意のダメ親父役で登場。ここ最近のヒット映画の中では、なぜか彼は実年齢よりも大分上のこういった(大体いけてない)親父キャラで出ることが多く、以下の大ヒット作「Bố già」を観た際に、この親父キャラの彼が実際には結構若くて驚いたのを覚えています。

そう言われると、私が先日紹介した印象に残るこちら映画「ĐẤT RỪNG PHƯƠNG NAM」でも、役柄は親父役でしたねえ。note記事サムネ写真の上の髭の親父さん、わかりますか?

ベトナム映画歴代トップ3を独占!

ここでベトナム映画歴代興行収入のランキングを見てみましょう。以下サイトに詳しいのですが、2023年時点で同ランキングで1位がNhà Bà Nữ、2位Bố Giàと、共に彼の映画作品。今年のMaiも既に歴代3位の興行収入作品の売り上げを抜いており、トップ3をTrấn Thànhの映画が独占することになりました。ちなみにNhà Bà Nữは2023年テト正月映画、つまり2年連続でテト正月映画を席巻したのがTrấn Thànhの映画ということになります。

この3つの映画で売り上げ1兆ドン(約60億円)を突破した彼は「ベトナム映画界初の1兆ドン越えだ!」とベトナムメディアで大々的に取り上げられました。既に2025年のテト映画にも着手しているようで、今回映画が「18禁」であったのに対し、来年映画は家族全員で楽しめるようなものになるとも語っていたところ、既に来年テト映画にも関心が集まります。

ちなみに彼は2017年に韓国とベトナムのハーフで、両国芸能界で活躍するHari Won。夫婦揃ってエンタメ界で大活躍ですね。

国策映画の思わぬ躍進

大ヒットする民間映画に比べて、国が作るプロパガンダ映画はどうもねえ…というのがこれまでのパターンでした。少し前に以下noteを書いたように、国威発揚の映画を(中国に倣って?)作ろうとしても、なかなかヒット作ができないというジレンマにありました。

しかし、Maiと同じタイミングで、目立たずひっそりと上映始まった感もある映画「Đào, phở và piano」がじわじわと人気を集めてきました。以下ポスト後にも注目はさらに高まり、上映回数や上映館を増やす動きがどんどん高まって、ベトナムメディアでも次々と取り上げられています。

思わぬヒットに「国営映画もヒット作作れる!」との驚きと共に、「Maiと比較してみろよ、まだまだマーケティング含めてやり方が全然ダメだ」等々、ともかくも賛否両論というか、多くの議論を巻き起こしているのは事実です。ここ数年では多くの人に観られた、話題を振りまいたという意味では、国営映画の成功作と言ってよいでしょう。まだ実際には観れていないので、実際に映画を観たらまた内容に踏み込んだnoteを書いてみたいなあとも思います。

多様化するベトナム映画を楽しみたい

笑いと涙のエンタメ映画から、国策歴史物映画と、ジャンルが多様化し、ヒット作が増えてきているベトナム映画。海外映画に頼らずとも多くの観客を集められるコンテンツが増えてきました。今年は色々な映画を楽しみながら(南部ベトナム語も勉強しながら)ベトナム生活を楽しめればなと思います♬


11年間ベトナム(ハノイ)、6年間中国(北京、広州、香港)に滞在。ハノイ在住の目線から、時に中国との比較も加えながら、ベトナムの今を、過去を、そして未来を伝えていきたいと思います。