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ベトナムの中の中国:ベトナム(ホーチミン)の華人社会・入門編

ベトナム・ホーチミンの先生に広東語を習う

最近の香港情勢がとても気がかりになるなど、まあなんだかんだありまして(この辺は主題ではないので略w)、久しぶりに再び広東語を学びだした私。ベトナム語に似た広東語の発音を思い出すのに四苦八苦している内に、「ホーチミンには広東語を話す華人がいるよ」と或る方に言われ、なるほどぉと。そして、紹介頂いてオンラインで広東語教えてくれる方を探すことができました。

その広東語レッスンも上記のとおりとても楽しいのですが、先生と話す中で色々「知っているつもり」だったベトナム華人の世界に触れることができているのが、言葉の勉強にもまして面白いところ。その一端を今回はまず「入門編」として紹介しつつ、自分自身の理解も中級・上級とレベルアップさせていければなと思っています。

ベトナム、ホーチミンの華人的世界とは?

ベトナムは現在54の民族がいる多民族国家、その中ではキン族と呼ばれる主要民族が85%以上を占め、その他の人口が53の少数民族によって占められています。2019年に行われた人口センサスのデータなどを基にした少数民族に関する統計調査によると、「dân tọc Hoa」(ホア族)、いわゆる中国系のベトナム華人の数は749,466人と、同年ベトナム総人口9600万人余りからすると1%にも満たない数で、少数民族中第8位という規模です。

(ちなみに、ベトナムの総人口、そしてその他少数民族人口も揃って増える中で、華人=ホア族の人口は2009年と比べて約7万人減っている、というデータが目を引きました。これについてはちょっと「中級編」で考えて続けて探求してみたいと思います。また、華人は当然ベトナム人、ベトナム国籍であり、今も中国国籍を持つ人はいない(はず)ですが、その辺の歴史的経緯もまた中級編辺りで書ければなあと。)

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ただ華人と言ってもそのバックグラウンドは、「中華系」という概念が広すぎるように、実際は様々。ただ先生曰くホーチミン市の華人の内、「広東語を主に話す広東系が7割くらいかな」と最大勢力のよう。その他福建、潮州、海南、客家の5つが主要なグループと考えられているようです。地域としては華人エリアとして有名なChợ Lớnのある第5区、第6区や、第11区などに多く住んでいるそう。やはり5つのグループごとにある程度のすみわけはあるそうですが、街の再開発も進む中、これが今後どう残っていくかは興味深いところです

華人アイデンティティーは守れるのか?

広東語の授業での会話なので、内容でも言語の話題が良く出てきます。現在ホーチミンに住む中華系のベトナム人は中国語(色々含め)が話せる人が多いですが、ただそれは今の世代、例えば先生のような移民第三世代までかも、という懸念もあるそうです。

以前は多くの華人子弟が行っていた中国語補習校にも子供を通わせる親御さんが少なくなったそう。普通にベトナム人の子供として生きるだけでも色々塾やら習い事通わなければいけない現代なので、更に中国語補習までは大変なんでしょうね。その代わりというわけではないですが、最近中国語補習校は普通のベトナム人の子供に中国語を教える場所にもなっていて、華人のためだけの「補習校」ではなくなっているそうです。その場合には教えるのは必ずしも広東語などではなくて、中国語の共通語である「普通話」になるわけですが。

上級編はフィールドワークの後に…

とここまで書きましたが、ハノイ住まいの自分にはまだまだアウェイ感のあるホーチミンを中心としたベトナムの華人世界。今回は先生から聞いた話や、デスクレビューの「入門編」。今までも興味を持ってはいましたが、本腰を据えて関心が出たのは今回の広東語学習からですので、更に深めて中級・上級編へとグレードアップしていかないと。

よし、次にホーチミンに行く時には是非「フィールドワーク」、現地で美味しい飲茶店を探しながら(それも目的)、是非より深い華人ワールドに入っていければなあと思います。

11年間ベトナム(ハノイ)、6年間中国(北京、広州、香港)に滞在。ハノイ在住の目線から、時に中国との比較も加えながら、ベトナムの今を、過去を、そして未来を伝えていきたいと思います。