セルフレスキュー 自分の命は自分で守ってください
登山には楽しいことがいっぱいあります。
でも危険も伴います。
その危険を想定し、備えをしてこそ、本当の意味で楽しむことができるでしょう。
それがなければ「ブレーキの壊れた自転車で坂道を下る」ようです。
もしもの備えを持って、山に入っていますか?
身動きが取れなくなりました
どんな事故を想定できているでしょうか?
山で起こる事故で一番多いのは「転倒・転落・滑落」です。
・転んで骨折した
・足を滑らせて斜面の下に滑り落ちた
手首の骨折などなら痛くてもなんとか歩くことはできますが、大腿骨や骨盤を骨折した場合、痛くて痛くてまったく動くことができません。
中高年の場合は病気による事故もあります。
水分補給が足りないと血液がドロドロになり、それが原因で
・血圧が上がる
・心臓や肺に負担がかかる
・心臓や脳の血管がつまる
といった病気が起こります。しばらく休んで回復する程度ならいいですが、重い場合はずっと苦しい状態が続き、さらに低酸素といった状況下では回復しない場合があります。
自然環境下ならではの事故もあります。
・落ちてきた石が当たった
・倒れてきた木が当たった
・土砂崩れで道がなくなった
・鉄砲水に流された
こうした事故や自然災害に巻き込まれることもあります。
いずれにしても、何らかのトラブルが発生し、山の中で身動きが取れない状況に陥ったとします。
そうなったらどうしますか?
救助を呼ぶ
電話で救助を呼ぶのが一番早いでしょう。110番に電話してください。
でももし圏外だったらどうしますか?
転んだ時に携帯電話を紛失したり、壊れていたらどうしますか?
仲間と一緒に登っているなら、その人に電話をしてもらえばいいかもしれません。圏外なら電波の取れる所まで行ってもらってかけてもらうことができるでしょう。
あなたが単独登山者だったら、誰かが通りかかるのを待つしかありません。
救助が来ない
なんとかして連絡が取れたとしても、救助がすぐに来ない場合があります。
例えば天候が悪ければ、ヘリは飛びません。
そうなったら地上からの救助隊を待つことになります。
しかし日没を迎えてしまえば、翌朝夜明けを待ってからの出動になります。
そうなったらどうしますか?
救助が来るまで自分の命を守る
救助が来るまで野宿して待つしかありません。
できるだけ体力を温存すること、体温を維持することに努めてください。
濡れ・冷え・風は大敵です。
少しでも雨風の当たらない所に入り込んでください。
防寒着を着込んで、カッパを着て、エマージェンシーシートにくるまって、体温を維持してください。
ツエルトの中に潜り込んで、雨風を防いでください。
水分補給も重要です。脱水は命に関わるからです。
温かい飲み物なら冷えた体を体内から温めてくれます。
栄養補給も重要です。何かを食べることで熱が生まれます。
力が出てきます。
気力、思考力、判断力など頭も働くようになります。
備えはありますか?
まずは「どのようなトラブルが起こりうるかを想定する」ことが1つ目の“備え”になります。
その上で「自分の命を守る装備を持っていく」ことが2つ目の“備え”になります。
何かあった場合、あなたのザックの中身がすべてです。
あなたの知識、経験、体力がすべてです。
エマージェンシーシート、ツエルト、予備の水・食料は持っていますか?
その他に必要なものはありませんか?
もう一度よく装備を確認してから山に入ってください。
そして入る山が自分の力量に合っているかどうか、よく考えてください。
「自分の命は自分で守る」という大原則をどうか忘れないでください。
【参考】長野県警 令和2年夏山情報~今年は山の状況が異なります~
【参考】長野県警 山岳遭難救助活動における新型コロナウイルス感染防止対策(動画)
こちらもあわせてお読みください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?