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結婚はゴールではなくスタート

私はこれまで2度結婚し、2度破綻しています。

私なりに頑張った。こんな自分のどこが悪いのか考え、改善しようと努力し、学び、様々な方法を試み、懸命に良い関係性を築こうとした。

でもダメだった。

悲しいことに心の深い部分で繋がることはできず、いつも寂しさと空虚感を抱え、仲の良さそうに見える家族を見ては「羨ましい」と思っていた。いかにも仲の良さそうな家族が出てくるCMを見ると心が痛んだ。子どもたちにそんな家庭をつくってあげられなかったことで自分を責めた。

最終的に、夫婦関係においては「相手の嫌がることはしない、言わない」を徹底して行い、努めて明るく振舞い、相手が機嫌よくいられる状態を保つようにしたところ、相手も自分を大切にしてくれ、良い夫婦関係が築けているように見えた。

でも、常に空虚感と違和感を心のどこかで感じていた。

結果、私はそこから離れて自分自身を見直す決意をした。

特に喧嘩していたわけでもなく、夫婦関係は良好だったにも関わらず。

最初は自分が何が好きで、本当は何をしたいのかも分からなかった。
あまりに自分を抑えすぎていて本当に分からなくなってしまっていた。
家具やカーテン一つ選ぶのにも、一度目の離婚の後、子どもたちと3人でアパート暮らしを始めた時は、あんなにクワクしながら決めていたのに、さっぱり選ぶことのできなくなっている自分、選んでもどこか違ってがっかりしている自分に愕然とした。

本来の自分を取り戻すためにも、経済的に自立し、本当の意味で一人の人間として自立して生きていく事がまず必要だと感じた。
誰の目も気にせず、自由に自分が本当にしたかったことをして、行きたかったところへ行き、好きなものを着て、好きなものに囲まれて、自分自身の人生を楽しみたかった。それは、もしかしたら多くの人から見たら「わがまま」な生き方に見えるかもしれないけど・・。

いろんな人から「旦那さんよく許してくれたね」「旦那さんが一人で寂しがっているんじゃない?」「旦那さんがかわいそう」と言われた。
母はいつも夫や夫の両親に「うちの子がわがままさせてもろうてすみません」と謝っていた。

「でも、私、そんなに悪いことしてるかな?」心の中は違和感でいっぱいだった。自分を生きるってそんなに悪いこと?自分のしたいことをするのに誰かの許可なんているのかな?

私は人から何も言われないように、経済的にも自立して生きていくために、頑張って教員採用試験を受け、2度目の試験で合格し、正規教員となった。20代30代中心の合格者の中で50代での合格は異例。これまでの実績と、周囲のサポートのおかげ。嬉しかった。

でも、おかしなことに、一生懸命仕事すればするほど、どんどん自分らしさを失っていった。結局、それが「自分が本当にしたいこと」ではないことに気づいた。
心の底から「シンガーになりたい。思う存分歌いたい。」と思った。それが私が本当にやりたかった事で、何度挫折しても、人から何を言われても、やめる事が出来なかった事だということが分かった。

2度の結婚から学んだことは多い。

結婚式は人生の晴れ舞台。みんなから口々に「おめでとう」と言われ、「これで幸せになれる」と思ってしまう。あたかもそれがゴールであるかのように。実際、新婚生活は楽しい。一緒に居られることの喜びであふれている。
まさに、カーペンターズの ”Top of the World” の歌詞のように。

だけど、本当はそこがスタートなんだ。

結婚すると、油断してしまう。「言わなくてもわかるだろう」「少々雑に扱っても離れることはない」みたいな感覚になってしまう。
仕事が忙しければ、そちらに夢中になり、どうしても家族の事は後回しにしてしまったり、「家族のために一生懸命稼いでいる」ことを免罪符に、夫婦で語り合う時間、家族と過ごす時間がおざなりになってしまう。
育児は母親のワンオペ状態になり、夫は仕事で疲れ切っていて、(逆のパターンもあるが)欧米のようにたまに子供を預けて夫婦の時間を取り戻す習慣もないため、いつのまにか夫婦が心と心を通わせることが出来なくなっていく。(もちろん、さまざまなケースがあるとは思いますが、自分の経験をベースにしているので、あくまでも個人の感想として聞いてください)

私の場合、子どもが不登校になった時(しかも2人とも)が家族関係、夫婦関係を見直すチャンスだったと思う。実際に私自身は、戸惑い苦しみながらもその事象を「チャンス」と捉え、積極的に夫婦での話し合いを持とうとした。子どもたちは私たちに何を教えてくれようとしているのか?どうすればもっと明るく楽しい家庭をつくっていけるのか?

しかし、結局話し合いは決裂し、夫婦関係は悪化した。
私も夫も、良いパートナーシップの築き方を学んでこなかった。
モデルは自分の親でしかなかった。互いの親のパートナーシップや家庭の在り方についての考え方は真逆だったので、妥協点は見つからなかった。
哀しい事だけど、事実として受け入れるしかなかった。

今思い出しても辛い、10数年間の出来事を教訓に、今私は、パートナーシップの在り方について学んでいる。

私の出した、現時点での結論は、「どんな小さな違和感や疑問も、見て見ぬふりをせず、すぐに相手に伝える事。」
伝え方としては、相手を尊重し、感情的になるのではなく、自分の気持ちはこうだけど、相手はどうなんだろう?とフラットな関係性で互いに伝え合う事。相手の気持ちをありのままに受け入れ、自分の中に落とし込むまで質問し、話を聞く事。恐れではなく愛情ベースで接すること。

でも、そのためにはまず、自分の気持ちがどうなのか?自分は何が心地よくて何に違和感を感じるのか。自分の心の奥底にあるものをしっかりと感じてありのまま認める事が大切。まずは自分を否定しない。体と心の声を聞く事。自分に優しくあること。自分を大切に扱うこと。
「今まではここが出来ていなかったんだなぁ」と、最近改めて感じた。

だから今は、まず自分が心地よくいること。自分を喜ばせること。自分を整えて日々幸せを感じる事を大切にしている。ドロドロした感情も怒りも悲しみも、いわゆるネガティブと言われる感情ですらありのままに感じ、「ああ、今こんなことを感じているんだな」って、その感情をしっかり味わってから、自分のタイミングでそっと手放す。

そして「自分は今こう感じています。」とちゃんと言う。「こうしたいです。これが自分にとって心地良いです。」「これは嫌いです。これは嫌です。」もちゃんと言う。大切な人には、好きも嫌いもちゃんと伝える。

そうすれば、きっと心から深くつながる関係性を築く事ができて、空虚感を感じることなく、本当に豊かで満たされた人生を送ることができるんじゃないかと思っている。


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