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『ボトルネック』(米澤穂信)

序章 弔いの花

 兄が死んだと聞いたとき、ぼくは恋したひとを弔っていた。

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 海崖から逸れて、遊歩道に入る。柱状の石がそそり立ち、日本海の波が打ち寄せる不毛な崖には、転落防止の柵もない。それだけに、死を願う者以外は、かえって崖の縁には近寄らない。松林の中を縫う遊歩道を進むと、それでもところどころに防柵が設けられていた。道が細く特に危ない場所や、坂になっている場所に。

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第一章 岐路の夜

 寒さに身をよじる。
 水音が聞こえる。が、間歇的に腹の底に響くような、波濤の音とは違った。軽やかで、滔々と絶え間なく聞こえてくる。目を開くと、目の前に川が流れていた。

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 川沿いの堤防の上に、アスファルトが敷かれたサイクリングコース。そして、ベンチがいくつか。ぼくはそのベンチの一つに、横たわっているようだ。

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 体中をまさぐるが、痛いところはない。財布もあった。そしてその中には、芦原温泉から金沢への切符まではいっている。(※1)

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  金沢市の東、医王山系に源を発する浅野川は、犀川と共に金沢に流れ込む。犀川がそのまま日本海に注ぎ込むのに対し、浅野川は途中で大野川と名を変え、その河口は港が開かれている、らしい。見たことはない。

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 その浅野川に沿って、下流へと歩く。冬の間は吹き続けるいつもながらの強い風にうんざりとしたころ、道を折れて川から離れる。(※2)

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 暗い空の下、細い小道を抜けると、通い慣れた幹線道路に行き当たる。感染と言っても片側一車線だ。このまま僅かな斜面を登っていくと兼六園と金沢上の間を抜けて、道は繁華街、香林坊へと通じている。ぼくは道を跨いで、山手へと向かっていく。

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 再び住宅地へと入っていく道は、右に左にと緩やかに曲がっている。トラックが立て続けに二台、ぼくのすぐ横を走り抜けていった。(※2)

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 次第に、周りの家が前が変わっていく。瓦屋根の家が目立つようになり、庭がついていたり門扉が備えられたりしている家も見かけるようになる。

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 高級とは言わないけれど、生活にちょっと余裕のある人々が住む住宅街。ぼくの家は、その並びにある。
 煉瓦色の屋根に、白い外壁。ギリギリ二台の車が入るガレージは、いまは空いている。(※2)

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第二章 希望の街

 諏訪ノゾミと初めて言葉を交わしたのは、カーテン越しにだった。
 中学校の保健室、二つ並びのベッド。窓側のベッドにノゾミが、廊下側のベッドにぼくが寝かされていた。三年前の秋、家庭事情の悪化に伴いぼくも多少は参っていたらしく、理科の実験作業中に理科室のリノリウムに突っ伏す醜態をさらしてしまったのだ。過呼吸だった。

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 それ以来、通学路でよくノゾミを見かけるようになった。これまでも同じ道を通ってはいたけれど。彼女の存在を意識し始めて目に留まるようになったのだろう。

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 季節が秋から冬に変わりかけた、ある雲の暑い日。冷え冷えとした風が吹き抜ける帰り道で、信号待ちをしているノゾミと並んだ。このとき信号を待っていたのは、たまたまぼくとノゾミの二人だけだった。横目でノゾミを見ると、ぼくに気づいているのかいないのか、ノゾミはいつものように俯き加減だった。(※2)

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 ぼくたちが歩く道は家々の間を縫うもので、道幅は狭く、センターラインこそ入っているものの歩道はない。ところどころひび割れたアスファルトに白線が引かれ、車の領分と人の領分を分けていたけれど、人の領分は平均台のように狭く、時々車が通りがかるとぼくたちはほとんどコンクリート塀に貼りつくようにしなければならない。(※2)

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 嵯峨野家の二人目の子がリョウだろうがサキだろうがそんなこととは関係なく、北陸の冬の空は今日も重苦しかった。漫画喫茶を出るときに読んだ朝刊では降水確率は二十パーセントとのことだが、まず信用ならない。この街ではいつでも雨が降りうる。ただ困るのは、漫画喫茶に料金を払ったら傘を買う金も心もとなくなってしまったことだ。(※5)

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 何に使うのかわからないとクラスメートに馬鹿にされたこともあるテレフォンカード。貧乏性でずっと持ち歩いていたけれど、役に立つ日が来た。財布から出し、街角の電話ボックスに入った。十回ほどのコール音の後、寝ぼけた声のサキが出た。 (※6)

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 香林坊の漫画喫茶から体を引きずって歩き、巨大な格子に閉じ込められたような意味不明のデザインの市庁舎の前を通り過ぎる。

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 二十一世紀美術館の威容が目の端をかすめるけれど、ぼくに美や、知や、そういった価値は縁遠い。

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 広坂の交差点から、金沢城址と兼六園に挟まれた曲がり道を下っていく。石垣の隙間から伸びた草は枯れ、道に大きく張り出した桜の枝にも葉はついていない。

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 サキが指定した「兼六園下」とは、バス停の名前。何本ものバス路線が通っているこのバス停には、バス停としてはかなり大きい、四阿風の小屋が用意されている。

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 金沢は市街地中心部でも起伏に富んでいて、市役所の裏手もすとんと落ち込んでいる。ぼくたちはコンクリートの急な階段を下りていった。

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 再開発でいくらか綺麗にされたらしいけれど、この辺はやっぱり裏通りという雰囲気が拭えない。

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 古い映画のLDを扱う店があったり馬鹿高いエレキギターを売る店があったり狭い入口から地下へ降りていく倶楽部があったりインディーズ専門のCDショップがあったり、とそういう空気の場所だ。(※7)

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「まあ、歩くと二時間ぐらいにはなるね。といって、せっかくの面白ネタを前にしてバスで一直線ってのも味気ないなあ。……中を取って、レンタサイクルでどうよ」(※8)

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 軽いカーブの先、理髪店や酒屋などがいくつか並ぶ中に、辰川食堂はある。食堂というのは実は副業で、本業は製麺工場なのだ。自分のところで作った面をそのまま茹でて食べさせるので馬鹿げた安さが可能になる。(※9)

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 イチョウの木が、片側一車線のこの道路を部分的にただの一車線道路にしていた。その木がなくなって、道路の拡張工事も済んでいる。(※10)

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 浅野川沿いを上流へと走り郊外に近づくと、道幅は広くなり建物も洒落たものが目に見えて増え始める。川が山裾から流れ出てくるこの辺りは最近になって開発が進んだもので、まだ街そのものが若い。ぼくが物心ついたことには道はもう大抵通っていたけれど、それからも幾つもの店が開き、家が建てられ、道はさらに伸びていった。
 川は護岸工事が完全で、のっぺりとしたコンクリートに守られて用水路然としている。遊歩道もあるけれど、人工物で固められた川沿いを歩いたところで大した風情もないだろう。

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「ここで、いいんだよね」
 とサキが聞いてくる。
 ぼくはかぶりを振った。こちらではなく、正確には対岸だ。目の前の、車は通れない細い橋を渡った先が河畔公園になる。

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 三年前、冬。
 多分あれも、いまと同じ十二月だった。風はとても冷たかったけれど、雪はまだ、降っていなかった。名前も聞いたことも無い芸人がジャスコで芸をするというので、ぼくが見にいくことになった。(※11)

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 名前を聞いたこともない芸人は、名前を聞いたこともないだけのことはあった。冬の寒い最中に屋内でまで寒い思いをさせられるのに辟易し、ぼくは義理だけ立てると適当に席を立った。

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 日の短い季節のこと、まわりはもう薄暗く、空もお約束のように重かった。水辺ではなおさら空気が冷たいだろうに、白いベンチに腰掛けてみじろぎもしないのは、確かに諏訪ノゾミに違いなかった。ノゾミは何をしているわけでもなく、ただ流れていく水面を眺めているようだった。その表情が無く紙のように白い横顔に尋常でないものを感じ、そして不意に、彼女と話したいと思った。

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 香林坊のような華やかな場所で夜を過ごしたのは、昨日が初めてだ。しかしぼくは大抵のことはすぐに受け入れることができるので、二日目ともなると少し歩いてみる余裕もあった。

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 光のあふれる香林坊を通り抜け、早くも酔客が見られる片町も歩き過ぎ、犀川にかかる威圧的な鉄橋のたもとまで来た。繁華街からそれほど離れているわけではないのに、ここまで来ると街はしっとりと薄暗い。

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 ぼくは犀川に沿って歩くことにした。腰の高さほどまでの堤防と、ぽつりぽつりと居酒屋の暖簾が下がる家々との間の小道を。

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 ほとんど真っ暗な道の先に、ぼうっと浮かび上がるものがあった。ふらふらと近寄ると、跨ぎ越せそうに小さな詩碑が立っていた。室生犀星の碑だ。下からライトを当てられて、亡霊のような影が壁に上っていた。美や知から遠いぼくは、もちろん詩なんて知りはしない。けれどさすがに、犀星の一番有名な詩の一節ぐらいは知っていて、それは今この場で思い出すには、あまりに皮肉なフレーズだった。(※12)

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第三章 知らない影

 武蔵ヶ辻のデパート街はまだ開いていなかった。今朝は珍しく雲量が少なく、太陽の光が差し込む中、シャッターが下りたままの街をただ歩いていく。

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 金沢駅の前は玄関口らしくきれいに整備され、歩道さえ磨き上げられたようだった。物心ついたころからやっていた駅前の整備工事はついこの間終わり、駅は一種奇妙な空間となっていた。

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 駅前広場を高く覆う、金属パイプの天蓋。そして、DNAのようにねじれ合ったはしたが支える、木製の巨大な門。

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 金沢駅に入り、切符売り場に向かうと、切符の自動販売機の前で仁王立ちしている人影があった。ぼくはぎょっとし、立ちすくんだ。

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「そっか。じゃ、いっか」
 と呟くと、サキは売店の品揃えを一瞥し、ほとんど迷いなくあれこれと手を伸ばしはじめる。

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 列車の発車が近いことを知らせるアナウンスが流れる。
 上り普通列車福井行き、七時五十分発。サキは、特急料金までは払ってくれなかった。乗り込んで程なく、列車は重たそうに金沢駅を離れていく。(※13)

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 車両には、割に人が乗っていた。四人がけの向かい合わせの席が並んでいて、ほとんどの席には一人か二人、座っていた。ざっと見まわすと老若男女揃っていて、中にはのくやサキと同じく、高校生ぐらいの子も何人かいた。

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「じゃ、ま、とりあえず」
 窓際の出っ張りにサキが広げたのは、ビーフジャーキー、スルメ、そしてポッキー。

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 列車はたちまち西金沢駅を過ぎた。
 金沢の隣町、野々市にさしかかる。そういえばフミカはこの町に帰ったはずだが、サキじゃあるまいし、まさか駅で待ち構えているということも無いだろう。電車が止まると、上品なスーツを着こなした老人とそれに影のように寄り添う老婆が下りた。乗るものはない。

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 そして実際、松任の駅を出ることに、サキ自身が口調を改めてこう言った。
「ま、枕はこの辺にしておこうか」
 声のトーンが重くなる。
「あたしが訊きたいのは、キミとノゾミの関係だ」

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 車窓の外を流れていくのは、荒涼とした冬の景色。収穫を終え、雪に閉じ込められるのを待つばかりの農地。列車の速度は遅く、たたん、たたんという音も間延びして聞こえる。足元を暖気が流れていく。十二月というのに、頬に汗が伝う気配。(※14)

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 列車は美川に停まる。到着を知らせるアナウンスに遠慮したように、ぼくたちは二人とも口を閉じる。数人が、また列車を降りていく。

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 間の悪い沈黙が下りた。ふとサキから目を逸らすと、車窓から見える空はいつの間にか、また重苦しく鼠色になっていた。列車が速度を殺していく。次は小松、と聞き取りにくいアナウンスが入った。(※15)

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 金沢から芦原温泉まで、一時間ちょっと。
 その間、指を折って数えたわけではないけれど、通過した栄貴は銃を優に超えるだろう。しかし、古びた車両に、誰一人として乗ってくることはなかった。金沢から誰も彼もが下車していき、いま芦原温泉駅でぼくたちが降りると、無人の車両がのっそりと駅を出ていった。

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 さすがに名に温泉と冠する駅だけあって、芦原温泉駅はそれなりに立派なたたずまいをしている。改札には駅員も詰めているし、ホームも四番まである。しかし、東尋坊を始めとする観光案内のポスターがべたべた貼られた駅舎で、客らしいのはぼくの他には一人だけだった。(※16)

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「リョウ、バスが来たよ!」
 おっと、来たか。ぼくと、川守と呼ばれた子供は目を交わしあう。
「じゃあな」
 と言われたので、ぼくも、
「じゃあな」
 と返しておいた。

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 バスに揺られて三十分。海岸へと向かう緩い坂道の左右には、あまり活気のない土産物屋が並んでいる。店先には店員の姿もなく、ただ静まり返っている。観光地なのだからそれなりに賑わう季節もあるのだろうけれど、いまはぼくとサキの二人が底冷えの中をゆっくり石畳を踏んでいくだけ。活気がないというよりもどこか廃墟然として、ぼくはなぜか、世の果てを歩いているような気にさえなった。

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 波頭の砕ける響きは、いよいよ近くなっている。土産物屋の先に冬の海が垣間見える。風は正面から通りを吹き抜けてきて、何かの紙屑がくるくるとすっ飛んでいった。

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 視界が開ける。水平線まで荒れた海。黒く低く、端から端まで雲に覆われた空。地響きのような波の音と、荒れ果てた岩場の風景。
 ぼくは言った。
「ぼくは、諏訪ノゾミを弔いに来た。彼女は一昨年の十二月、結城フミカと旅行に出かけ、ここで崖から落ちて死んだ」

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第四章 緑の目

 金沢駅はすっかり昼だった。駅前のロータリーには数台のバスが待機し、道路は行きかう車でひどく込み合っていた。

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 そうしてサキがぼくを引っ張っていったのは、駅のすぐ近く、ホテルの裏手の細い路地。こんなところに何があるのかと思ったら、駐輪場があった。薄汚れた、錆の浮いたような古い自転車ばかりが並ぶ中、一際目立つオレンジ色のスクーター。

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「全部裏道で行くけどね。捕まらなかったらお慰み、っと」

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「ほら。しっかりつかまって」
 言われるがままに、サキの腹に手をまわす。振り落とされるのは嫌なので、体を寄せる。
「さ、行くよ!」
 一声上げると、オレンジのスクーターは真昼の金沢に走り出す。

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 ぼくは素手でサキの腹に手をまわしていたのだけれど、そのゆびさきがたちまち凍りつくようで、ぼくはたまらず「降ろしてくれ」と叫びそうになった。

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 サキはスクーターを、川沿いの裏道へと走らせる。

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 できれば距離を取りたい相手に、やむを得ずぴたりとくっついている。

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 全然そんなつもりじゃなかったのに、いつの間にか甘えている。

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 ……しかもそれでいて、あまり引け目も感じない。

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 なるほど。

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 家族のようだ。

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終章 昏い光

 松林の合間は、もう闇に沈んでいて何がいるとも知れない。人の影は見当たらず、細い道とむき出しのいわば、月さえ見えない暗い夜空という心が荒れ果てるような風景の中にたたずんでいると、知らず、この三日間の意味が分かってくるようだった。

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『聞いて。思考に限界はない。キミにだって。──想像して! あの娘が本当に望んでいるのは何?』

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『違う。サキじゃない。わたしはツユ。……想像して。昨日できなかったことも、今日は分からない。それすら違うというなら、キミはもう、わたしたちに……』

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『イチョウを思い出して』

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 真っ暗な海と、曲がりくねった道。それは失望のままに終わらせるか、絶望しながら続けるかの二者択一。そのどちらもが、重い罰であるように思われてならなかった。

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 自分で決められる気がしなかった。誰かに決めてほしかった。凍り付いた時間を破ったのは、また携帯電話へのコール。

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『リョウへ。恥をかかせるだけなら、二度と帰ってこなくて構いません』

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注)※1: 実際のリョウの切符には発行日は12月3日、発行場所は金沢駅、『かえり』の印があり、運賃は950円
※2: 下写真の場所は推定
※3: 嵯峨野家の正確な位置は特定できていないが、小説内の描写により兼六中学校の学区内に住んでいると特定。兼六中学校の校区は兼六・田上・杜の里小学校の3校からなるため、リョウがノゾミにかけた台詞「……諏訪さんは、小学校はどこから?」とも合致。小学校は杜の里小学校と推定。
※4: リョウ、ノゾミの通学路や嵯峨野家の位置については確定することができなかった。いくつかの仮説については、こちらにまとめた (個人宅に言及する内容でもあるためtwitterの鍵アカウントの相互フォロワーのみの限定公開)。
※5: 2020年7月時点では香林坊に24時間営業の漫画喫茶は存在しない。同じく繁華街であるその隣の片町には快活CLUBが1店舗のみ存在する。ただ、この漫画喫茶は近年できたばかりのものであり、2005年当時には存在しなかった。しかしながら、この快活CLUBの前には同じく24時間営業の漫画喫茶であるFreaksが営業しており、リョウは、現在確認できる香林坊・片町エリアで営業している唯一の漫画喫茶である、ここを利用した可能性が高い。
※6: 2020年7月現在、香林坊・片町にある屋外に設置された公衆電話は3件で、その中で電話ボックスの状態で設置されており、設置個所が"街角"と呼べるものは1件のみ。おそらく2005年時点では、もっと多くの公衆電話が存在した。(Source: NTT西日本)
※7: 2020年7月現在では、実際には市役所の裏通りは飲食店が多く、ショップ系店舗はほとんど見られない。裏通りを西に直進し、堅町へとつながる道路沿いにはショップ系店舗も顔をのぞかせる。
※8: 2020年7月現在、金沢市が整備した公共シェアサイクル「まちのり」の駐輪所が市内随所にみられる。そのため、一般的はレンタサイクルの店舗は見られなかった。
※9: 嵯峨野家周辺に存在する唯一の麺類を提供する飲食店。幹線道路に面している店舗であるので、本来の辰川食堂は1,2本裏通りにあるのではないか。量が多く値段が安く、かなり年配の夫婦が切り盛りしている点は辰川食堂と共通。味は濃いめ。
※10: イチョウの木がある通りは、幹線道路から一本東に入った通りだと推定。辰川食堂のある地域の消防管轄は金沢市中央消防署(金沢市消防本部及び消防署の設置等に関する条例によって定められている)だが、実際に救急車が出発するのは位置的に小立野出張所からと推定でき、その位置から辰川食堂のある区域に侵入する場合に幹線道路の1本裏手の道を通らなければならない。2本以上東に逸れると今度は片側一車線ではなくなってしまう
※11: 現在はイオンもりの里店となっているが、完成前は「金大門前街ショッピングセンター」と呼ばれていた。その名の通り、金沢大学の学生街に位置しており、米澤穂信も御用達だったのかもしれない。
※12: 小説内では「小景異情(その二)」の詩が登場するが、実際に碑に刻まれているのは「小景異情 (その六)」
※13: 現在ではダイヤが変わったせいか、七時五十分発福井行きの普通列車は存在しない
※14: 線路の左側には新幹線が通るものなのか、何かしらの高架がかかっており景色は見えない。そのため、窓から荒涼とした冬の景色を眺めている以上、リョウとサキは進行方向右側の座席に座ったことが分かる。
※15: 「次はxx」は通常、xxの1つ前の駅を出発したばかりの際に使用されるアナウンスであり、xxにまもなくつく際には「まもなくxx」となることが多い。しかし今回、「次はxx」というアナウンスが流れた後に、速度を殺していっているのはやや奇妙である。
※16: 現在では、ホームは3番までしかない。また、駅舎に東尋坊の観光案内のポスターは見当たらなかった。

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