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良質な「問いかけ」が、自走するチームをつくる。

あなたは、誰に、どんな「問いかけ」をしていますか?

突然ですが、「いまここ探求家」を名乗る私が、具体的な活動として日々行っているのが、各種の「問いかけ」を試してみて、そこから拡がる反応を観察することです。

「今回の『問いかけ』はうまくいった」
と自画自賛するとき、それは対話の中、「いまここ」で感じた「え?」や「それなに?」、「なぜその喩えになるのかな?」と言う疑問を、素直かつ謙虚に尋ねることができた場合です。
そういう時は、相手がいったん立ち止まって考えてくれます。 「当たり前」や「思い込み」、「あきらめ」について思考を巡らせてくれます。

以前、職場で次のような相談を受けたことがありました。
(数年前の記憶なので、会話記録ではなく、もはやフィクションです...)

==☆==☆==

部下「私は、議事録を書くのが苦手なんです」
(相談者である部下は、論理的思考ができるし、全体像を掴んだ上でポイントを抑えることもできる方だったので、私はとても不思議に思いました。)

私「苦手なの?」
部下「はい、先輩にチェックしていただくと、間違いをたくさん指摘されます。 指摘箇所を修正して再提出するのですが、先輩とのそうしたやり取りは3~4回ほど続くんです。 会議から1週間以内に議事録を出すように言われていますが、3~4週間もかかってしまいます」

私「それは大変ね。 ところで『間違い』って、具体的にはどんなこと?」
部下「初めて耳にする固有名詞を間違えることが多いです。 法律の名称や団体名、他社の商品名などです。 一言一句、間違えないようにメモを取ろうとすると、話の流れを追えなくなります。 また、正式名称ではなく、略称を使われることの方が多いですし。 本当に困っています」

私「知らない単語は、そもそも聞き取れないものね。 他部門からの報告事項だと、私も曖昧にしていることがあります。 では、会議から1週間以内に議事録を発行するために、何が、どうできたら、やれそうですか?」
部下「発言された方に、会議終了後すぐに、直接確認できたら安心です。 でも、そんなことダメですよね…」

私「え、ダメ? いいですよ。 知らないこと、わからないことは、本人に聞きましょう。 その方が丁寧な対応ですよ」
部下「いいんですか? ありがとうございます。 次から直接お聞きします。 あと、議事メモはノートではなく、ホワイトボードに書いてもいいですか? その場で結論を確認しながら次へ進められると思います」
私「いいですね。 ぜひ次回から、ホワイトボードを使ってください」

==☆==☆==

簡単なやり取りでしたけど、この時の部下の相談事項であった「議事録を書くのが苦手」は、ほどなくして解消されました。 それよりも劇的だったのが、この部下から、様々な業務改善提案が出されるようになったことです。 

 「当たり前」と思っていることを疑う。
 「思い込み」に気付く。
 「あきらめ」を「何が、どうなったら、やれそうか」に変換する。
そんなことにつながる「良質な問いかけ」。 

「問いかけ」について、書籍から学ぶとしたら…
▼ 問いかける技術
 ――確かな人間関係と優れた組織をつくる (E. H. シャイン)
▼ 謙虚なコンサルティング
 ――クライアントにとって「本当の支援」とは何か (E. H. シャイン)
▼ なぜ、あのリーダーの職場は明るいのか? 
 ――ポジティブ・パワーを引き出す5つの思考法 (D. ホイットニー他)
▼ たった一つを変えるだけ
 ――クラスも教師も自立する「質問づくり」 (D. ロスステイン他)

「○○さんは、どうしてこんな単純なことができないの?」
「いちいち細かい指示を出さなくても、自分で考えてやって欲しい」

職場でも家庭でも、よくあることではないでしょうか。
そんな時には、相手の話から出てきた「それ、なに?」なことについて、「いまここ」のタイミングで、「具体的に言うと?」や「どうしてそれが大事なの?」、「もう少し教えて欲しい」と素直に問いかけてみてください。 相手は勝手に深く思考し、理解し、自走を始めるかもしれませんよ。

実は、自走するチームづくりのために、もう一つ大切なことがあります。
「べからず集」の作成です。 これについては、また別の機会にご紹介しようと思います。

ではでは~(^^♪

いまここプラス