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【英語のレシピ 1】どうして英語なの?

レシピカード1

どうして英語なの?

 私たちが英語を学ぶ理由のひとつはもちろん、英語が世界で最も話されている言語であることです。しかしそれは、英語を母国語とする人が最も多いという意味ではありません。

 母国語として使用されている言語、という点で英語は、1位の中国語、2位のスペイン語に次ぐ第3位となっています*。つまり、英語は世界で『外国語』として最も話されている言語だということになります。

*参考:『Ethnologue』 

 では、どうして母国語ではなく、外国語として英語を話す人がこれほどまでに多いのでしょうか。今回の『英語のレシピ』では、英語の歴史と性質に注目して、その理由を見ていきたいと思います。

それでは、Let's cook!(料理しちゃいましょう!)

英語の出世物語

 英語の起源となったのは、現在のドイツ北部で話されていた方言です。この方言を話す人たちが、現在のイギリス南東部に移住したことで、英語の原型がイギリスの地で作り上げられました。英語はその後、様々な言語の影響を受けながら変化を遂げ、現代英語に至ったと考えられています。

 では、イギリスで育った英語が、世界中で話される言葉になったのでしょうか。それは、17世紀から19世紀にかけて、イギリスが世界各地で植民地を建設したからです。植民地を英語では colony(コロニー)と言いますが、これは元々『土地を耕す者』という意味の言葉から生まれた単語です。

 その頃のイギリスは、国家活動を通じて、アメリカを含む世界中の国々にイギリスの文化を根付かせました。どのような文化であれ、その中心にあるのは言語です。つまり、イギリスの植民地の公用語として英語が世界中に定着したことが、現在、英語が広く話されている最も大きな理由のひとつなのです。

 広く用いられることが言語にとっての出世なのだとしたら、はじめはドイツの方言に過ぎなかった英語が、歴史的な歩みを重ね、今では世界で最も使用者の多い言語となったことは、大きな出世だといえるでしょう。

簡単なものはみんな大好き

 きっと皆さんは、英語をひととおり学び終えた際、「母国語が日本語でよかった」と思えることだと思います。それは、日本語に比べて英語がいかにシンプルで簡単な言語であるかを実感できるからです。

 例えば、中世ヨーロッパで大きな存在だったローマ帝国の公用語であるラテン語は、その文法が複雑だったため、日常会話ではやがて用いられなくなってしまいました。

 もちろん、ラテン語が廃れてしまった理由を難しかったから、の一言で片づけることはできません。しかし、簡単な言語と難しい言語の二つがあった場合に、時代を越えて多くの人に学ばれるためには、前者の方が好ましいことは間違いありません。

 英語が世界中で広く話されている主な理由が、イギリスによる過去の国家活動の結果であることには間違いありません。しかし、英語の発音や文法が、他の言語に比べて比較的わかりやすいものであることが、英語を学ぶ者にとって有利に作用していることは否定できないでしょう。

 例えば日本語で、「この本を母がくれたんです。私に」としても、「母がくれたんです。この本を私に」としても、はたまた、「私にくれたんです。母がこの本を」としても、何の問題もなく同じ内容を表現できます。

 私たちは日本語を母国語としているので、このようなことは当然だと思うことができます。しかし、英語ではこのような具合にはいきません。

 日本語のような語順の自由さは英語にはありませんが、同時に、英語には、『簡単な仕組み』に従うだけであらゆることを表現できるという長所があります。

 この英語の『簡単な仕組み』が、比較的自由な表現を受け入れてくれる日本語を母国語とする私たち日本人には少々窮屈に感じられるだけなのです。

 英語学習の初期の段階で、英語の仕組みは簡単なのだと実感できれば、英語学習における最初の峠は越えたようなものです。「英語のレシピ」では、とても簡単な英語の理解をつくる方法を紹介しているので、是非、参考にしてみてください。

※その他のレシピについては、編集作業が完了次第、公開予定です

 

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