見出し画像

2021.03 九 州 暮 ら し 雑 感 [ 第4号 ] - 仕 事 な い 春 -

九州に来て2年になる。

平凡な事務員だったわたしが地元(本州の真ん中)の会社を辞めて、九州で暮らしているのは結婚が理由ではない。なぜなら飽き性の結婚不適合者だからというのが前号のあらすじ。

前回は親しい人への報告の意味合いが強かったのだけれど、閲覧数の伸びが今までにないくらいでびっくりした。それだけ結婚や恋愛に頭を悩ませる人が多いのだろうかと思うと、大したことない内容で申し訳なかった。
たしかに去年は結婚や恋愛に関しては激変の一年だった。結婚式が挙げられなくなったり、気軽に会うことができなくなってしまったり。結婚や恋愛に限らず、多くのことや人が多大な影響を受けただろう。

感染症の流行はわたしにどんな影響を与えたのか。
今日は重いテーマをちょっと真面目に書くので、お疲れの方は今すぐこのページを閉じてYouTubeで子猫の動画をみることをおすすめする。

さて、それではわたしからみたコロナの世界について。まず、この一年ろくに仕事をしていなかった。というか、波がすごかった。

一昨年、秋から冬にかけてこれからはインバウンドかなあと思わせるほどの賑わいがあった。正月の繁忙期を超えても、そこそこの稼働があったので、ああ、これからまた忙しくなりそうだなあとすら思っていた。
それから徐々に感染症が猛威を振るうぞという空気になり始めて、ぱたっと客足が途切れ始めた。報道のたびにキャンセルの連絡が殺到した。
それでもまだなんとなくテレビの向こう側の出来事のようだった。知り合いに訊ねても誰も感染していない。ただ医療の現場は逼迫しているのだという報道は流れる。

3月になって今まででは考えられないくらいのまとまった連休をもらった。ここぞとばかりに山口の俵山温泉へ湯治にいったのだが、すべての人が今ほどの警戒心を持っている状態ではなかったと思う。滞在3日目あたりに下関で感染がはじめて確認されたとき、宿のおじさんは「あそこは観光客が多いですからねー」といっていたことを覚えている。

それからひと月ほどして緊急事態宣言がでた。
わたしの職場は正式に休業することになった。
そこで初めて世界が変わったと実感した。

前々回の「なぜ九州に」という回で仕事仲間に恵まれたために九州にとどまっていると書いた。
それはそれで紛れもない事実だが、感染症の流行も九州に引き止められた一因ではある。事態を受けて身動きがとれないと思った。
前の年の秋、正社員になったばかりの頃は長居するつもりはなかった。短期間だとしても条件的に正社員になるほうが互いにいいと思ったからそういう決断ができたのだ。具体的にいつまで働くかなどは考えずに働いていた。気づいたら年を越して春になった。けれど、残ることを選択していなければどこか他の派遣先で雇用を打ち切られて路頭に迷っていただろう。

緊急事態宣言を受けて休業していた期間、正社員であったことが幸いして、住むところには困らず春休みのような生活をしていた。

朝、ラジオ体操をして仕事場の片付けを少し。
それから散歩に行って家でご飯。
夕方、また散歩に行って勝手に人んちの猫と逢引きして早めにお風呂に入って夕涼みする。

画像1

ときどき山にわらびを摘みに行ったり、

画像2

よもぎを摘んで草餅を作ったりもした。

画像3

画像4

果実酒も漬けた。

画像5

毎日絵を描いた。

ニュースで感染者数をチェックした。

極力出かけなくていいように食料品の買い物は長持ちするものを選んだ。
そうなると買い物にいかない期間の記録をつくることのほうがおもしろくなった。

人は順応するものだなとつくづく感心した。


休業するとなってからすぐは転職するか実家に帰るかちらと考えたこともあったが、生活のことは心配しなくていいと経営者からの言葉があったのでこちらにとどまることにした。
この状況下でもこうして置いてもらえることに本当に感謝しかない。いずれ去ることになっても恩返しになるなにかを残していかなければと常々考えている。

緊急事態宣言が解除されてgotoトラベルキャンペーンが始まってからそれまでの静かな生活は終わりを告げた。眠りから叩き起こされたような怒涛の日々だった。そのなかで疑問に思うこともあったが、大きな気づきもあった。
gotoトラベルキャンペーンについての詳しい個人的な意見はまた別の機会に。書くならおそらく有料記事にする。宿泊業に従事する一関係者として。

未知のものに対してすべての人が手探りだ。
善悪、正しい正しくないの議論に虚しさを感じる。
そのときは最善と思われることでも、
後々仕組みがわかると「迷信」や「まぬけ」だと笑われてしまう。
教科書を読んでさんざん笑ってきた側が今笑われる側にいるような気がしてならない。
というのが本音です。

と、今まであまり話してこなかったところを明かして今日のところはおしまいにする。

普段いわないようなこといったので、なんじゃこいつって驚かれるかもしれませんが、
わたしは相変わらずです。今日も近道するために壁をよじ登ってるのを目撃されて赤っ恥でした。
疲れたらとりあえずビールでも飲みましょう。
おいしいご飯を食べましょう。
ときどき恥をかきましょう。きっと笑えます。

カバー写真は九州の喫茶店の写真をかわるがわるあげていきます。こんなご時世ですが、こちらにも素敵な喫茶店がたくさんあるのでちょっと旅気分を。
今回は熊本県菊池市にある「チムチム」。
ホットサンドもナポリタンも食べたい欲張りな人にはぴったりの夢のようなワンプレートがあります。
日替わりのランチもあります。
しかも、ここに菊池でとれた野菜のサラダバーをつけることができます。
野菜好きな人、みんな連れてってあげたい素晴らしいお店。

画像6

目印はびよーんとフォークが突き刺さったトマト。

ならねー!
(熊本の方言でまたねー)

みつけてくれてありがとう 依頼相談 ▶︎ mochidaanco@gmail.com