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【草露白】くさのつゆしろし『懐かしのおわら風の盆』白露/初候🍀

この1個前の記事「勇者の稲荷寿司」に登場した友人のKちゃんと初めて出会ったのは、うちの三男坊が保育園に通い出した頃、今からおよそ30年以上も前の話だ。
そんな頃はまだ、お互いに顔見知り程度、仲良くなったのは子供たちがサッカーを始めてからだ。


毎週のように試合の応援、子供たちの送迎にテント張り、飲み物当番と、首からタオルを巻いて砂埃にまみれて駆けずり回っていた。
同時期に学校のPTAの役員を引き受けたのも理由のひとつ。
ずっと役員をしていたあるママ友に言われたのだ。
「5年間、一度も役員してない人は、貴方達4人、だから今年は絶対にやってもらいます」
鬼の首を取ったような言い方だったが、まぁそのママ友が調べだしてくれたおかげで(サッカーのメンバーでもあった)私達4人の中はグッと近づき、その後十年以上も毎年温泉に行くほど仲良しになったのだから、何か頼まれたら、のってみるのも有り、縁って案外そんな物なのかも知れない。



そんな頃、子供たちが富山の八尾へ一泊どまりで試合に出かけることになった。
子供たちは、相手チームの八尾のお宅にホームステイさせて頂き、監督やコーチ、それに保護者は近くの旅館に泊まることとなった。
家事からも子供たちからも自由になった私達、ちょっとアルコールも入った頃、旅館の方のはからいで、一組の踊り手の方が、会場で踊りを披露して下さった。


「おわら風の盆」行ったことがなくとも、写真や映像で目にした方も多いはずだが、当時の私は全く知らなかった。
私達が泊まったのは、その前夜祭の日。
前夜祭だけど、通りも練り歩きますよと聞いて私達はさらに嬉しくなってお出かけした。


会場でも素敵だったが、夜風に当たりながら見る編み笠を深く被った優雅な踊りと胡弓の音色に、まるでタイムスリップしたような感覚になった。
本番だと朝まで踊り続けるとか。
私達が踊るワケじゃないのに、友人4人で薬局で栄養ドリンクを買って飲んだのを思い出した。
今思えば、寝る前にあんな物飲んでどうするんだ?だが、翌日もまた首にタオルを巻いて、炎天下子供たちの応援をするのだから体力は必要だった。


翌日、地元のお母さんたちの話によると、試合をしていたグランドから下の方に見える大きな駐車場が観光バスでいっぱいになるんだとか。
当時からそんな感じだったのなら、今はどうなっているのやら。
祭りの前夜祭という大変な日に、子供達の試合をセッティングし、ホームステイまでして頂いたのは、八尾の皆さんの計らいによるものだったに違いない。


この後、八尾の子供たちを石川に招き各家庭に二人ずつホームステイした。
我が家でも、息子も含め3人で一緒にお風呂に入ったり、嬉しくてなかなか寝付けないでいる様子を目にすると、あちらでお世話になった時も相当楽しかったに違いない。
子供達にとっても私達にとっても貴重な体験になった。


あれから30年、当時の少年たちもきっとあの祭りをしっかり受け継いでいることだろう。
三百年以上続いている、あの素晴らしい祭りがこれからもずっと続くことを祈りたい。



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