ランダムお題と小説AIで作る「ほぼ完全自動化小説」をやってみた

AIのべりすとが話題だ。途中まで書いた文章を読ませると、AIが続きを書いてくれるという代物である。ずっと使ってみたかったのだが、ひとつ問題があった。AIは続きを書いてくれるのであって、題材は自分で用意しなくてはならないのだ!!(当たり前だろ)

しかし聡明なる私は、即座に解決策を思いついた。そう。「アイデアも外注すればいい」と。今の世の中、創作の題材を提供してくれるサイトなんて無数にある。ランダムでお題を生成し、続きをAIに書かせれば、ネタがなくても小説が作れるんじゃないか!?

お題を用意する

というわけで、実際にやってみよう。まずは題材を用意する。ランダムにお題を出してくれるサイトを使って、ネタを作らせよう。

一つ目に使用したのは、私自身が過去に作った診断メーカー、CharacterRoulette。自分で作ったので、当然自分好みの単語がたくさん出てくる。診断結果はこちら。

画像1

ツイッター廃人というところは強い個性になりそうだ。作品の方向性がおぼろげに見え始める。

これだけではAIに渡すにはまだ少し足りないなと思ったので、もう一つお題サイトを使用する。検索で見つけた創作お題スロットというサイトだ。結果はこちら。

画像2

けっこう濃い単語が出たので、これで十分だろう。これらを元に作品の冒頭部分を作って、AIに投げる。この6つのお題は、作品全体のテーマというよりは、冒頭部分を書くための材料として扱う。続きはAIが書くわけだから、最初だけ用意できればいいのだ。6単語を冒頭部で使い切ってしまおう。

実際の作品

さて、上記の6単語から自力で作成した冒頭部をAIに読み込ませて、小説本文が完成した。完成した小説を以下に全文掲載する。途中に、書き進めながら感じたことをチョコチョコと注釈で入れておきます。

なお小説本文だけで6000字くらいあるので、面倒な人は飛ばしてもらって構いません。記事の最後に、AIを使ってみた感想自分なりに感じた使い方のポイントを書いておくので、気になった人はそこだけ読んでください。ではどうぞ。

***

『ツイ廃、スマホひとつで魔王と対峙す』

 俺の名は土星そうめん。もちろんこれは偽名だ。ツイッターネームだ。
 俺は26歳にもなってツイッターくらいしか趣味のない、くだらない男なのだ。
 暇があればツイッターに嘘ばかり書いて、バズったりバズらなかったりしている。
 今日も自宅のベッドからほとんど動いていない。
 現実では「少し苦しい」程度のことだけが延々と起こり続ける。仏教では生も苦であると考える、とかツイッターで読んだ気がするが、概ねそれには同意する。
 ただ、インターネットでは「少し楽しい」程度のことがたまに起こる。だから少しだけラクだ。

「今日もつまらない……ツイートのネタも何もない。何か起こらないかなあ」

 しかし俺は知らなかったのだ。あるツイートをきっかけに、この後人生が劇的に変わってしまうという事に。

「これは……?」

 スマホを見ていた俺はわずかに目を見開いた。1つのツイートが目に留まった。
 そこにはこう書かれていた。

※ここまでが自力で書いた冒頭部分。以下、基本AIにお任せ

『世界を救う勇者を募集しています!一緒に世界を救いましょう!』

 正直言って胡散臭いと思った。こんなツイートをする奴はどうせ偽物だろう。しかも、世界を救うなんて大げさすぎる。
 だが、それでも興味を持った。
 なぜなら、このツイートには続きがあったからだ。少し待って投稿されたツイートには、こうあった。

『実を言うとこの世界は滅びの一歩手前にあります。なぜなら、魔王軍によって滅ぼされようとしているからです』

 何?本当に世界が滅ぼうとしているのか?いや、そんなはずはない。そんな事がありえるわけがない。
 そう思いつつも、どこか信じている自分がいた。そしてその瞬間、俺は悟った。
 これが本当の自分を変えるチャンスだと。
 もちろん、このデマだらけのインターネットで、こんな荒唐無稽な話を信じるのは阿呆のやることだ。だが決定的だったのは、タイムラインに流れてきたある写真だった。
 そこに映っていたのは、確かに異世界のものらしい風景。俺はそれを実際に見たことはないが、写真を見ただけで分かった。それは地球上には存在しない場所の風景だと。
 つまりこれは本物だ。少なくとも俺にとっては。

「よし!」

 気が付くと声が出ていた。もう迷う必要などなかった。
 こうして俺は、ツイート主の指定した場所に向かうことにした。

※転機となるツイートの内容、何度かやり直したけど「異世界に来ませんか」「世界を救いましょう」みたいなのしか出なかった。AIはなろう小説をたくさん学習しているらしいので、そういうのが出やすいのかもしれない。

「はじめまして」

 そこで待っていたのは、一人の少女だった。どう見ても中学生くらいだ。

「私の名前はソフィアといいます。早速ですがあなたにお願いしたいことがあります」

 彼女は淡々と言った。

「はい、なんでしょうか?」
「単刀直入に言います。私はこの世界の救世主を探していました。そしてあなたこそがそれにふさわしいと判断しました。どうか、私の仲間になってくださいませんか?」
「どうして俺なんかを?」
「あなたのツイートを見ていました。そしてわかった。魔王に勝つためには、あなたのような人が必要だと。それだけです」

※ツイ廃がなぜ世界を救えるのか聞いてみたけど、フワッと流された。

 彼女はこちらをじっと見つめてくる。真剣さが伝わってきて気圧されそうになる。
 だが断る理由はなかった。むしろ願ってもないことだ。俺は彼女の話に乗ることにした。

「わかりました。これからよろしくお願いします」
「ありがとうございます。では早速、詳しい事情を説明したいと思います」

 それからの話の内容は、まさに夢物語と言ってよかった。
 なんでも、今から約10年ほど前、突如として現れた魔王軍がこの世界に侵攻を始めたのだという。
 魔王軍は圧倒的な力を持っており、各地で次々に街が襲われた。抵抗した人々は皆殺されたそうだ。

「なぜそんな事件がニュースになってないんだ?」
「魔王軍の情報操作です。彼らは自分たちの存在を可能な限り隠そうとしていますから。それに、仮に報道されても、誰も信じようとしなかったでしょうしね」

 なるほど、言われてみれば納得できる理由だ。

「ではまず、この国の現状について説明させていただきたいのですが……」

 そこから語られた話は驚くべきものだった。
 魔王軍はすでにあらゆるメディア・そしてSNSを掌握したというのだ。だから情報も伝わらない。

「それで、俺はなにをすれば?」
「もちろん、ツイッターです」
「いったい何をツイートすれば……」
「それは任せてください。私の方で考えておきます。とにかく、あなたは魔王軍に勝てるだけの戦力を集めることに全力を注いでください」
「分かりました」

※ツイ廃が魔王軍と情報戦をやる話にできるかな? と思い、意図的に誘導してみた。

 かくして、俺の冒険が始まった。
 次の日、俺はパソコンの前に座っていた。画面には昨日のツイートが表示されたままになっている。
 戦力を集めるといっても、いったいどうすればいいんだ。まずは話を信じてもらうところからだろう。となると……昨日の写真をバズらせるのがいいか。
 俺はツイート画面を開いた。そして入力する。

「世界を救う勇者を募集しています!一緒に世界を救いましょう!」

 送信ボタンを押す。

「これでよし」

※バズツイの内容を考えてもらおうとしたが、めちゃくちゃ素直に仲間募集をしただけだった。

 すると、すぐに反応があった。

『何これ?www』『勇者とかw』『嘘乙』『釣り乙』

 予想通りの反応である。しかしここで終わらせるわけにはいかない。
 俺は続けてツイートした。なるべく興味を引くには……。

『ちなみに、これは本当です!もし信じられないという方はぜひお越し下さい!場所は……(住所)です!』

 よし、これで来る奴はそれなりにいるはずだ。
 指定の住所はもちろん俺の家ではない。昨日ソフィアに会った、あの場所だ。そこでソフィアと二人で待つ。

「さあ、どんなもんかな」
「大丈夫ですよ」

※いきなり住所を晒し始めたのでぶったまげた。慌てて場所を変更しておいた。

 待つこと数分。1人の男がやってきた。

「ここか。俺の名はアベル。この世界を救う勇者の一人だ」

 なんだこいつ?いきなり自己紹介から始めるのかよ。まあいいけどさ。

※自己紹介から始めるのは普通だろ。

「ようこそ、私は土星そうめんといいます。よろしくお願いします。今日は来てくださってありがとうございました」
「御託はいい。魔王を倒すのだろう? 俺の力を貸してやる」
「なるほど。自信がおありのようですね。特技などは?」
「剣だ」

 それだけ言うと、彼は腰に下げていた鞘から、一振りの長剣を抜き放った。

「ほう、これは見事な」

 一目で業物とわかる。俺の目に狂いがなければ、かなりの値打ちものだ。

※現代日本が舞台のつもりだったのだが、AIの中でいつのまにか異世界が舞台になってしまったらしい。キャラに横文字の名前をつけるし、いきなり長剣を抜き放つし……。

「これでもまだ疑うか?」
「いえ、頼もしいです」

 とソフィア。彼女は進み出ると言った。

「準備は整いました。ではこれから、あなたを魔王軍と戦うことのできる戦士へと導きます」
「よろしく頼む」

そうして俺達は家を出た。

※家にいたことにされてしまった。ホントに住所晒したのかよ。

「次はどこに行くんですか?」
「それは決まっています。あなたの家の近所です」
「え?」
「昨日、あのあたりで魔力を感じました。近くに魔王軍が潜んでいる可能性があります」
「そんな馬鹿な」

 俺たちは近所を見て回った。そしてそこで驚くべきものを見た。

「あれは!」
「やはり間違いありませんね」

 そこは空き地になっていた。かつてそこに建っていたはずの家は、跡形もなく消えていた。

「まさかこんなことが……」
「魔王軍は魔法を使って街を一つ消し去ったと言います」
「マジですか?」
「はい。これ以上の被害を防ぐためにも……っ!」

 彼女がそう言いかけた時だった。何かが飛び出し、ソフィアに襲いかかった!彼女は間一髪それを避けたようだ。

「敵襲です!」
「なんだこいつは!?︎」

 そこには、人型をした黒い塊が立っていた。大きさは人間くらいだが、全身が闇に覆われていて輪郭すらはっきりしない。
 その手が光り、周囲の人々が倒れていく。明らかに危険だ!

「お前は何者だ!?」

 俺は黒い塊に問う。

「我が名はダークネス。魔王様より、この世界を滅ぼすよう命じられている」

 魔王の手下か。おそらくこいつも、どこかから転移してきたのだろう。

「なぜそんなことをする! 魔王がこの世界になんの恨みがあるというんだ!」
「知る必要はない」

 ダークネスが再び手をかざす。危ない。なんとかしてこいつを倒さなければ!俺は手に持っていたスマホを構えた。昨日撮った写真を表示する。

「くらえ!」

 パシャッ! フラッシュとともに光が放たれる。

「グオオォォ……」

 ダークネスはその光を浴びると、苦しむようにのけぞった。

※なんでだよ。

「今だ、ツイートするぞ!」

 俺はスマホを素早く操作し、ツイートを作成した。

「世界を救う勇者を募集しています!一緒に世界を救いましょう!」

※ツイートの作成をAIに頼むと、ほぼこれしか言ってくれない。

 送信ボタンを押した。これで拡散されるはずだ。

「さあ、どうだ?」
「グアァ……」

 効いている!俺はさらにツイートを追加した。

「ちなみに、これは本当です!もし信じられないという方はお越し下さい!場所は(住所)です!」

 送信!

「くらえ!」

 俺は再び写真を撮る。今度は連射モードにしておいた。

「ギャアァ……ウガァ……」

 ダークネスはさらに苦しみ始めた。よし、いける!

※また住所晒してる! ツイートのたびに苦しむダークネスが面白すぎる。本当になんでだよ。

 気がつくとダークネスは塵となり消えていった。勝った……!
 ソフィアとアベルが俺を褒めたたえる。

「さすがですね」
「やるじゃないか」
「いや、二人がいなかったらどうなってたかわかりませんよ」

 そう言って、俺達は笑いあった。

「ところで、今のツイートの効果ってどれくらい続くんですか?」
「大体1時間といったところでしょうか」
「わかった。奴らが復活しないように、ツイートし続けなきゃな」

 ツイッター廃人の腕の見せ所だ。

※いきなり効果時間を1時間にされてしまったので、絶え間なくツイートする必要が出てきてしまった。

 それから俺たちは何日も、魔王の手下を倒し続けた。

「ふう、これで最後か」

 最後の敵を退治すると、アベルが言った。

「おい土星。そろそろいいんじゃないのか?」
「何がだ?」
「魔王討伐だよ。もう十分だ。これ以上は犠牲者が出るばかりだ」
「でも、まだ肝心の魔王を倒していないじゃないか」
「魔王なんて、そんなに強くはない。俺一人でも勝てるさ」
「それはどうかな」

 俺はソフィアに聞いた。

「ソフィアさん。魔王ってどんな姿をしているか知っています?」
「はい。確か、漆黒の鎧に身を包み、巨大な剣を携えているとか」
「ふん、剣で俺が負けるとは思えんな」

 アベルは自信満々だ。
 その時だった。

「……では、試してみるか?」

 禍々しい声が響いた。声の主は漆黒の鎧に、巨大な剣……これは、魔王じゃないか!?︎

※そろそろクライマックスにいきたくなったので、魔王を登場させてみた。たまに人為的に話を進めないと、延々と会話してたりするので。

「まさか、本当に復活したというのか?そんな馬鹿なことがあってたまるか!」

 アベルは叫んだ。

「貴様が勇者だな」
「そうだ!俺こそが本物の勇者だ!」
「ならば、かかってくるがよい」

 魔王はそう言うと、巨大すぎる剣を振り上げた。

「うおおお!」

 アベルも剣を抜いて斬りかかる! だが、その一撃は容易く受け止められてしまった。

「なんだこの力は!?︎」
「我の力の前にひれ伏せ!」

 次の瞬間、アベルの体は真っ二つに切り裂かれていた。

「馬鹿な……」

※アベル無残。かませっぽいキャラが本当にかませで処理された。一文でサラッとキャラを殺してくるのすごいな。

「次はお前だ」
「くっ」

 まずい。
 強すぎる。まともに戦って勝てるわけがない。

「どうすれば……!」

 俺はソフィアに聞いてみる。

「何か弱点のようなものは無いのですか?」
「魔王の魔力の源となっているものがあります。それを破壊できればあるいは」
「それってどこにあるのでしょう?」
「それが分かれば苦労しません!」

 八方塞がりだ。一体どうしたらいいんだ。
 その時、俺のスマホに通知があった。そこで俺は思い当たった。ツイッターで聞けばいい!

※ほっとくとツイッターを使いそうになかったので、無理矢理入れてみた。

 俺はソフィアと逃げ出しながらツイートした。

「魔王の魔力の源を教えてください!!」

 すぐに返事が来た。

「それは、ツイッターのトレンドワードランキング1位のキーワードです!」

※マジか。

「ありがとうございます!早速調べてみましょう!」

 俺はスマホを取り出し、検索する。すると……。

「出たぞ!『#魔王』だって!」

 俺はその言葉を打ち込んだ。

「これが、魔王の弱点……!」

 そして、俺はツイートボタンを押した。

#魔王
—————— 魔王 @maou_of000 返信先: リツイート215 ♡124 昨日は3位!

※いきなりツイッター画面らしきものをAIが書き出したのでびっくりした。しかしこのへんの流れはちょっと意味がわからない。

 俺は驚いた。魔王もツイッターのアカウントを持っていたのだ。それなら俺の土俵だ!
 俺はスマホを掲げた。

「魔王! これを見ろ!」
「ぐぬぅ」

 魔王は悔しげにうめき声をあげた。よし、効いているぞ! 俺はさらにツイートする。

「これを見ろ! これはなんだと思う!」
「こしゃくな!」

 魔王は俺に向かって手を向けた。

「死ね!」

 魔王も対抗してツイートしてきた。そこにはこう書かれていた。【土星そうめん】

※ラスボスが主人公と同じ力を使ってきて応酬! というのは盛り上がる。ツイッターだが。

 俺の名前……?どういうことだ……? 俺が困惑しているうちに、魔王の攻撃が飛んできた。やばい!避けきれない……!

「危ない!」

 俺の前に出た人影がいた。ソフィアだ。彼女は盾を構え、俺を守ろうとしている。だが、魔王の放った攻撃の威力の方が強いようだ。このままだと二人ともやられてしまう。
 だが、俺には考えがあった。俺のツイートを見れば分かるはずだ。

「魔王! よく見るがいい!」
「なんだと!?︎」

 魔王は攻撃を止めた。

「お前は俺の名前を出してきた……俺をフォローしていたんだろう。俺なんかの、くだらないツイートを読んでくれていた」
「……それがどうした」
「なら、これを見てくれ」

 俺はスマホの画面を見せた。魔王はそれを見ると、驚愕に目を見開いた。

「嘘だ……」

 魔王が呟いた。

「俺の名は土星そうめん。俺の名前はそうめんなのだ」
「まさか、そんなことが」

 魔王はその事実を認めたくないようだった。だが、現実は非情である。

「いつも見ていた土星そうめんが……お前だというのか」
「少しは人間の価値を、わかってもらえたかな」
「認めん! 貴様がそうめんであることなど、絶対に認めんぞ!」

魔王は叫んだ。

※「魔王が主人公の名前を出す」というのをAIがやってきたので、フォロワーだったという設定を追加してみた。人間とAIの合わせ技だ。

「ならば、もう一度勝負だ!」

 俺は再びツイートした。

「魔王よ、見ていろ!」

 魔王はツイートを見た。

「これは、何だ?」
「これは、今年のそうめんの売り上げだ」

 魔王は黙った。

「お前はそうめんを食べたことはあるか? そうめんは美味い。だが、最近は健康志向の高まりによって、売り上げが落ちている。だが、そうめんは素晴らしい食べ物だということは間違いない」

 魔王も沈黙している。

「だから、みんなでそうめんを食べる会を開いた。そうめんとはこんなにうまいものなのかと、皆感動してくれた。お前にも、そう思って欲しい」

※急にそうめんについて熱弁する主人公。ただのハンドルネームですよ、というニュアンスはAIには伝わらないので、ガチのそうめん信者みたいになってしまった。

「……わかった。お前の言葉を信じよう」

 魔王は剣を収めた。

「だが、我が負けを認めるわけではないからな」
「ああ。またいつでも相手になってやる」
「また会おう。……今度は、ツイッター上で」
「お前のことも、フォローしておくよ。相互フォローってわけだ」

 こうして世界の危機は去った。

※なんか雰囲気でほだされる魔王。主人公がいいこと言ったら敵役は引き下がる、というパターンを学習していたのかもしれない。

 俺は元の平凡な生活に戻っていた。
 魔王を倒したことで、俺は一躍有名人になった。
 テレビの取材が来るし、ツイッターのフォロワーも増え続ける。
 でも、その全てを断った。
 俺はそうめんについてツイートし続ける。

※フォロワーも断っている。ブロックしたの? 孤高のそうめんツイート職人みたいになっている。

 魔王もツイートし続けている。俺たちのツイート合戦はまだ終わっていないのだ。
 いつか魔王が飽きるまで、この応酬は続くのだろう。
 俺は思った。魔王は魔王をやめられないのかもしれない。
 魔王にとってツイッターは生きる糧になっているのだろう。
 もちろん俺もそうだ。さあ、今日もいっちょバズってやるとしよう。俺はツイートする。

「今日のそうめんは一味違うぞ!」

 魔王とのツイートバトルはまだまだ続きそうである。

※この後、「ここは異世界。魔法のある不思議な世界――」とか関係ない話を始めたので、強引にここで完とした。

AIを使ってみた所感

はい。なんとか話をまとめる事ができました(本当にそうか?)。一応今後のために、今回やってみての感想とノウハウ(って程のものでもないけど)を残しておきます。

・スピードは申し分ない

休憩を挟みつつ、およそ3時間で6000字程度。自力で書くより断然早い。もちろん本気でやるなら、もっと時間をかけて手厚く修正を入れてあげる必要はあるけど、それでもこのスピードはAIを使うメリットになりうる。

・手間もかからないが、違う疲れ方をする

もちろん、自力で6000字書くよりは全然疲れてない。ただ、設定矛盾や変な会話の流れをみつけるたびに直すことになるので、なんか作家というよりはレビュアーとしての作業をする事になる。そういう仕事をした時の感覚とすごく似ていた。普通に書くのと頭の使い方も違うし、慣れがいりそう。無料で雇える外注ライターって感じで考えるといいかも。

・クリエイティブな作業は苦手

「ここのツイート内容を考えて」とか「なぜ勇者に選ばれたのかを教えて」とAIにお願いしてみても、穏当なセリフでフワッと流されることが多い。具体的なことは考えてくれずに、はぐらかされて次の話題に進んだりする。やっぱり無から新しいアイデアを考えるのは苦手なのだ。そこは人間の作業になってくる。

まあ、急にツイッターで住所を晒し始めたりはするんだけど、それは「仲間を集めなきゃ」というここまでの文脈に則った内容ではあるので……。「意外なバズツイの内容とは」みたいな、ある種の不条理というか、「これまでの流れ」を踏襲して対処できない、物語に新たな流れを生む部分はAIは得意でないみたい。

・雰囲気はうまく掴んでくれる。ロジカルさはない

なんか、機械に対して言うことじゃない気がするが、「こいつ雰囲気で書いてんちゃうか」と思うことが多々あった。

主人公が「世界を救いましょう」という内容を見てすぐ「これで人生を変えよう」と一念発起したり、主人公の特技(ツイート)で敵が苦しみ始めたり、主人公の演説でほだされた魔王が剣を収めるなどの流れはすごく「それっぽい」。こういうジャンルの「あるある」をわかってる感じだ。それっぽい話の流れを作ってくれるので、大枠で話をまとめる事はできる。

一方で、設定の矛盾は出まくるし、話の因果関係もちょくちょくおかしかったりする。雰囲気で話が展開するので、「どうしてこうなったのか」の理屈がない。そこは全部人間がフォローしてあげる必要がある(AIが雰囲気は読めて理論に弱いの、「逆だろ」ってなるよね)。

・ジャンルの制御はどうすればいいんだ?

もともと現代日本での、ツイッターを軸にしたドラマを想定していたのだが、初手から世界の危機とか異世界とかを出されてしまったのでジャンルがまったく制御できなかった。「なろう系の影響、強すぎないか?」と思った。これはどうすれば解決するのか今のとこ分からない。確かに「日本」とはどこにも書かなかったし、冒頭でもっと細かく指定する必要があったのか? それにしてもこれで例えばミステリーとか恋愛ものを書きたい人はどうするんだろう。

※追記※ すみません、ジャンルは指定する機能があったみたいです。どのくらいの精度で守れるんだろう。今度試してみよう。

・一人で作れないものを生み出すことはできる

診断メーカーやお題サイトまで頼っただけあって、自分個人の発想の枠を逸脱できたのは確かだ。ツイッター廃人という題材が診断メーカー由来だし、それで魔王と戦うことになるなど思いもしなかった。途中で思いついた「ツイ廃の知識を生かした魔王軍との情報戦」というコンセプトをちゃんと制御すれば、もっとオリジナリティのある作品になったかもしれない。可能性は感じる。

自分が経験を積めば改善できる部分も多そうなので、またやってみたいとは思う。みんなもやってみて、有効な知見があったら教えてください。

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