「人のアイデアで作品を造る」について。その他近況

ご無沙汰しております。渡葉です。

最近こちらの更新がおろそかになっておりまして、というかツイッターもそんなに見てないし、インターネットそのものがおろそかになっているところがあります。

これはもう、ひとえに「仕事がずっと山」としか言いようがないのですが、あと休みの日も頭カラッポにしたくて、イカを殺しまくっているかYouTubeばっか見てるか、という有様です。同じ動画を何回も永遠に見ていたりします。

もともと同じ本を無限に読み続ける性質がありまして、そうやって人格形成してきたところがあるので、そんな感じなのだと思います。ポケモン赤緑やクロノトリガーも何周もしたし。まあ「暗記するほど読み返して初めて血肉になる」は、ある程度真実かなと。

ただまあ、こういう場で自分語りするのも趣味のひとつではあるので、今日はとりあえず思いつく話をいくつかしておこうかな、という感じです。


他人のアイデアで作品を造ること

今年にリリースされた仕事で、まあまあ大きめのがあったんですが、正直それがライター人生でも圧倒的に一番評判が良かったんですね。

ただそれはイチから自分で作ったというよりは、それまでストーリーの端々で語られてきた設定を、つなぎ合わせて一個の話にするみたいな感じでした。構成要素自体はほぼ全部他人のアイデアだったわけです。

渡葉はそういう「既存の設定を料理する」仕事が上手いと言われることが多いんですが、まあ名誉なのか不名誉なのかは微妙なところです。必要とされてるのは間違いないし、ぶっちゃけスマホゲームの仕事なんて既存の世界観・キャラを使った仕事が九割なんですが、でも0から1を生み出せるほうがクリエイターとしてはカッコイイだろ。

とはいえ自分がデビューできたのはこの特性ゆえなのも真実なので(以前書いた通り、15人からの意見を受け入れたことで受賞作が誕生した)、まあ卑下するもんでもないかなと最近はやっと思えてきました。

で、「なんでそんな事できるんですか」みたいに言われた事もあるので、ちょっと考えてみたんだけど。「ダンゲロス(これまでも何度か語っている投稿企画)に参加してたから」で結論かなと思ってたのね。あれはシェアワールドなので、土台は基本的に他人の設定です。

でもよく考えてみると、もっとずっと前から自分は他人のアイデア、あるいは貰ったお題でばっかりモノを書いていたことを思い出した。

まだ学生の頃。インターネット黎明期に「一次創作小説同盟」というサークルに所属していたんだけど、そこでは定期的にお題企画がありました。まあよくあるやつだよね。たとえば第一回のお題は「空を見上げた。」という一文で書き始めること、だった。

そこで自分が提出したのは「空を見上げたら月を見て、オオカミに変身してしまった。それが絶滅したはずのニホンオオカミだったからさあ大変。研究者たちがオオカミと交尾させようとしてくる! いやだ獣姦されたくない! と逃げる話」で、どういうわけか読者投票で1位になって賞金として図書カードを貰ってしまった。

あと、これは自主的に書いたものなんだけど、「書きかけの小説をアップロードし、読者からチャットでお題をもらってリアルタイムに続きを書く」という企画をやったこともある。

なんでそんなドMの脳トレみたいなことをやっていたのか? これは要するに構ってもらいたかったからですね。

当時に限らず、一部の天才を除いたインターネットの底辺は、作品を見てもらいたければ人と交流するしかない。一次創作なんて、特にそうだ。友達を作れないやつに「最初の読者」は作れない。そんな無慈悲な世の中なのだ。

自分は「ネットで一発当てる」のにずーっと憧れていたから、どうやってPV数を伸ばすかをずっと考えていたし、居場所が欲しかったのもある。作品を造るのとコミュニケーションはもう表裏一体だったわけです。

本質的には、いま仕事でやってる事と変わらないですね。ゲーム会社に所属してシナリオを書くっていうのは一生お題企画をやり続けるみたいなもんです。

そうだ、思い出した。当時から自分はラノベの賞に送るための小説を書いていて(未完)、それも交流のあった人にアドバイスを求めていた。実はこれも、主目的は「構ってもらうこと」だった。孤独に耐えられないのだ。そして自信がないから、他人の意見に合わせて修正する。今ディレクターに言われてシナリオ直すのと一緒ですね。

ハタチそこそこの頃から、そんな事ばっかりやっている。でもそれが今の職業に繋がってるんだから、人生わかんないもんですね。


君の名は。の話

これを書いている今現在、「天気の子」がテレビ放映されてるらしくツイッターが盛り上がっている。自分はそっちは見た事ないんだけど、TLを眺めていて、「君の名は。」を見た時のことを思い出した。

当時の自分はプロをもう一度目指そうか、と思い立ったあたりで、何の経験もないペーペーのアマチュアだったわけなんだけど、メチャクチャ偉そうな感想を抱いていた。まず第一印象は「死ぬほど豪華なRADWIMPSのMVだな」だった。曲が本体だと。

まあ曲をフル尺で流しながら美麗な映像を見せられ続けるわけで、実際曲がすごく話題になってたから的外れではないんだろうけど。ストーリーに関しては物語としてというより、キャッチ―な要素の集合体として見ていた。口噛み酒以外の全ての要素がキャッチ―な概念でできている。

そして一緒に見に行った友人に「ストーリー自体は、努力すれば自分でも手の届くレベルな気がする」みたいに語っていた。ナメていたというより「この映画には技術の粋が詰まっている。ロジカルな面が強い。努力で追いつける」という印象を持っていた。

たとえばダイジェストの使い方と、場面の省き方が絶妙だ。女の子と入れ替わった主人公が、恥をかきそうな場面はカットされて、見た側は直接それを見ずに想像するだけの仕様になっている。ダレそうな場面は軽快な曲に合わせて、ダイジェストしか見せない。ストレスコントロールが完璧なのだ。

極めつけはタイトル。原題が「男女とりかへばや物語」だったのは有名な話だが、それを「君の名は。」とし、最後にそのセリフが来るように調整されている。正直、「互いの名前」がストーリーの核かと言われるとそんな事はないと思うのだが、そう見えるようなマジックが使われている。この映画は正しく「商業製品」だ。そう思った。

今思うと、それであれだけの大ヒットが作れるっていうのは一種の希望なのかもしれないな。自分みたいな技術者っぽいシナリオ屋にとっても。

まあそもそもこの解釈が合ってるのかは分かんないし、全然違うと言われたら的外れプップー残念でしたって話なのかもしんないけどね。希望を抱くのは勝手だから。

ただ、令和のストーリー市場は完全に極まってしまっていて、技術と狂気が高度に両立してないとスタートラインにも立たせて貰えないから、希望なんてもうないのかもしれない。チェンソーマン2部の初回で、俺はわりと心が折れたよ。


今後書こうと思ってる記事

最後にちょっとだけ今後の話をしておこう。実は更新のなかったここしばらくの間にも、書きかけで放置している記事がいくつかある。

ひとつは「これまでに貢いだ女を紹介します」というものだ。要するに今までプレイしてきたソシャゲ履歴、課金してきたヒロインについて語ろうという記事。

ほぼ書き終わってるんだけど、まだ最後の方が残ってるのと「意外と俺、キャラで推してねえな。ビジュアルと性能と、たまたま引いたキャラを推してるだけだな」と思い、ショックを受けているところです。

あとFGOとか、男女キャラ両方いるゲームもやってたのに、見事に推しが女しかいなかったことから、シナリオライターとして危機感を覚え、「これまでにハマった男キャラ」に関してもいつか書こうと思っている。

それと、ラノベ作家時代の振り返りについても、デビューしたところで話が終わっているので続きを書かなければ。期せずしてこのnoteで最大のヒット記事になってしまったので、なんとかして続けねばという思いがある。

ただこのシリーズ、最終的にラノベ作家を引退している(休止中だが、まあ実質引退だろう)事から、ほぼバッドエンドが確定しているので、そこは勘弁してくれ。第一話がサクセスストーリーだったから、そういうのを望んでるお客さんもいるかもしれないけど。これ現実の話だから……。

んでもう一つ、オリジナル小説を書きかけている。公開されれば、ほぼ1年ぶりのオリジナル作品ということになる。設定はダンゲロスに出したキャラを流用してるので完全新作ではないんだけど、プロローグしか書かなかったキャラを最後まで書こうと思っています。

でも普通に仕事がアレなので、創作するエネルギーがマジでなくて、ちょっといつになるかわかんないです。

しかし年齢的に、そろそろ残りの人生で作れる作品数も限られてきたと思っているので(俺は老いを恐れている。たぶんまともな作品は作れなくなると思っている)、なんとかして世に出せるものは出していきたいところ。

とりあえずマイペースにやれる事をやっていきたいと思うので、見てくれると嬉しいです。「どの記事を優先しろ」とかの要望があれば全然聞くので、コメントとかに書いてくれよな!

(コメントをあえて要求する。これが長年のネット生活で培われた構ってちゃん仕草である。実際、乞食したほうが反応は貰える確率が高いのだ。これが経験則というものだ。覚えておくといい)


◆感想お待ちしてます◆
noteのコメント欄(↓)
Twitter(@Im_tabbto)
マシュマロ頂いても反応します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?