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無欲を貫くバレンタイン

甘いものが苦手なくせに、学生時代のバレンタインデーにはそれなりの期待を毎年砕かれていた。当然のように、直接渡すにはハードルが高いから、普段使うアイテムのどこかに隠されている!と変な確信があり、下駄箱やら机の中を、ゆっくり確かめるのがバレンタインデーの所作だった。

どんな男子学生でも、バレンタインだけは「期待」しないではいられない。
みんなに共通に与えられてしまう権利だからやってられない。これが給付金のように、全男子に配られるなら、目立った記念日にはならないのにランダム性があるのが、にくい。我ら弱小恋愛剣闘士は、チョコをもらえる予約もないのに、学校というコロッセオに出場させられて、心にささくれ程度の傷だけ残して、帰宅していく。

他の人に期待を背負っているのもバレてはいけない。色めき立ってはいけないわけで。他の人にバレずに、さも日常の中に溶け込んでる当たり前の動作っすって顔で、身の周りにチョコがあるか捜索しないといけない。
ノーリアクションで箱の中身はなんだろうな?を机の中でしたり、ロッカーに至っては鑑識レベルで誰か触ったかを確認して、無ければそりゃそうだよねと心に絆創膏を貼る。

ないならないで別に、なんて言いながら帰宅してたくせに、途中に渡してる人がいようもんなら「青春してんなー」と別の世界の人と区切って、身の安全を守っていたな。そういう意味では、こいつも青春ど真ん中だ。

まぁ色々書いたけど、バレンタインなんて興味ないんですけどね。

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