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『冷めない紅茶』

小川洋子先生の小説は高校生の時に読んだ『博士の愛した数式』以来なので、約10年ぶり。
今回は『冷めない紅茶』と『ダイヴィング・プール』のニ作を読んだ。


読んだ第一印象は「学校の教科書に載ってそう」だった。

多分そう思った理由は
・言葉が綺麗
・脆そうで穏やかで柔かそうな文章
・少しぞっとする情景が思い浮かぶ
だからだと思う。

作品のイメージは、
冬の晴れた日の風に揺れるカーテンってイメージ!
表現はあったかい?綺麗なのに、どこか冷たくって怖いからかな?


『冷めない紅茶』

これは本当に“美しい”に尽きる小説だった。
非現実的で、だからこそ美しかった。
ページをめくるごとに、主人公と同じく私もKくんと彼女に惹かれていった。最後には主人公と同じような、周りが暗くて青くところにぽつんといるような寂しい気持ちになった。


『ダイヴィング・プール』

これはちょっとゾッとした内容だった。
表現が綺麗だからおどろおどろしさが強調されてた。

この小説の

大人になるとみんな、不安や孤独や怖さや哀しさの隠し場所をどこかに見つけるのに、子供はそれらを取り繕ったりしないで、全部泣き声にして、まき散らす。

の表現が嫌いじゃないなぁと思った。
主人公の心の奥のどろどろとしたなにかと赤ちゃんへの慈しみとか羨望とかが表現されてたなぁ。
取り繕うって数ある意味の中でも、
「不都合なことを上辺だけ綺麗に飾る」っていう意味が強いと思うんだよね。

「取り繕う」って言葉でその手段をとる大人の汚さとそれをしない赤ちゃんへの羨望を表現してて、最後の「まき散らす」に赤ちゃんへの憎しみみたいなのを表現されてるなぁと思った。



素敵な作品をごちそうさまでした。
次は何を読もうかなぁ。


#小川洋子
#小説
#読書の秋2021
#冷めない紅茶

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