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どうせいつかは死ぬんだし

極端に物欲が強い人と物欲がほぼゼロに等しい人には共通点があると思っている。

どうせいつかは死ぬんだし。
明日死ぬかもしれないし。
だったら金なんか残しても無駄だよな。
明日のことなんか知るか。
使っちまおう。えい。

どうせいつかは死ぬんだし。
明日死ぬかもしれないし。
だったら何手に入れたって無駄だよね。
束の間の喜びでしょ。虚しいだけ。
別に欲しいものなんかない。
死んだら何も残らないし。

バランスが悪すぎる。
どっちも弱ってる。
カーテン開ければ落とし穴。

希望って何だろう。
そんなことを考えながらある映画を観た。

「淪落の人」

身体が思うように動かなくなった。
生活に困窮している。
家族と折り合いがつかない。
たとえそういう状況に陥っていなくとも
人は容易く淪落する。
些細なことが積み重なって精神が淪落するのだ。

淪落には「落ちぶれる」とか「身を持ち崩す」という意味がある。
落ちていくのは簡単だ。
諦めるのは簡単だ。

物欲のみならず様々な欲望のバランスが崩れてしまうのは自分で自分を淪落させているからだ。
諦めと自暴自棄。

この映画の英題は「still human」
どこまでも落ちてしまったとしても
わたしはまだ人間だ。
大切なものは失くしていない。
ちゃんとここにある。
そう思いたい。

落ちたらまた上がればいいだけ。
そんなに急がなくったって
どうせいつかは死ぬんだし。

鏡の前でにっこり笑う。
馬鹿みたいに必死に楽しく生きてやる。
くだらない言葉を撒き散らして
おどけた仕草でくるり踊って
お腹が痛くなるくらい笑わせてやる。
しかめっ面してるあの人も。
イライラしてるあの人も。


どうせいつかは死ぬんだし。
わたしが誰を愛そうと
文句なんか言わせるもんか。

大それたものでなくてもいい。

希望なんてね
そんなもんですよ。


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