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『少年批評宣言』(2023)①

 いま、ここに読まれようとしているのは、ある名付けがたい「自由」をめぐる書物である。

【オープニング】
読み、書き、力、マンガのすべてを手に入れた男、オ・D・エイイチロウ。彼が冒頭に放った一言は、少年たちをイメージの海へと駆り立てた。

「おれの財宝か?欲しけりゃくれてやる。探せ!この世のすべてをそこに置いてきた!」

少年たちは、〈偉大なる航路〉を目指し、夢を追い続ける。世はまさに、大マンガ時代。


 ありったけのメディアをかき集めて、各々、スマホで探し物をする。時には、他者のアイディア、クリエイティビティを、さも自分の能力であるかのように悪魔的に貪り、盗用し搾取しまくる大海賊時代を生きるわれわれ現代人。果たして、われわれは、われわれをひと繋ぎにしてくれるような、ひとつのピースまでたどり着くことはできるのだろうか。ピースは英語だと、母音の差異に伴って意味も千差万別なものになるが、いい加減な和の国の「カタカナ」表記であれば、平和、欠片、作品、そして、ときにはたばこの銘柄をも意味する。
 


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