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【開催報告】岡山大学オンラインワークショップ「問いづくりの6ステップ」

岡山大学・又吉里美先生(教育学部・国語教育講座)のゼミ生を対象に、問いづくりのワークショップを開催しました。
問いづくりのワークショップは5月にも白百合女子大学で開催しましたが(開催報告はこちらで読めます)、前回とは以下の3点で違ったプログラムとなりました。

  1. オンラインで開催

  2. 110分の講座・2回にわたって開催

  3. 受講生9名の少人数で開催

1 オンライン開催

前回は現地で対面開催でしたが、今回はオンラインで開催しました。
オンラインで開催するときに頭を悩ませるのが、アクティビティです。
とくに問いづくりのワークショップでは、実際に問いを作ってもらうこと、そしてそれをグループで対話しながらさまざまな角度から検討してもらうことを重視しています。
画面の向こうには一人しかいませんが、オンライン上ではグループワークができるように、zoomのブレイクアウト機能や共同編集ツールなどをなるべく取り入れるようにしています。
今回は、共同編集ツールとして、GoogleスプレッドシートGoogleジャムボードを使いました。
スプレッドシートやジャムボードを使うと、受講生たちが編集している様子が見えるので、グループを見回らなくても、ある程度対話が盛り上がっているかどうかを知ることができます。

Googleスプレッドシートでグループワークに取り組んでいる様子

2 連続講座

前回の講座は90分・1回だったのですが、今回は2回にわたって授業をさせてもらいました(2週空けて2回開催)。
2回に分けたことによって、90分の授業では扱うことができなかった問いづくりの技術を紹介することができました。
今回、追加した問いづくりのステップは次の2つです。

「問いの修飾」

「修飾」とは、元となる問いに「言葉を付け足したり、入れ替えたりする」ことを意味します。
その問いについて答えやすくしたり、考えやすくしたりするためには、問いをなるべく具体的にすることが必要です。
具体的にするためには、詳しく説明したり、意味を限定したりするような言葉を付け加える必要があります。
ここでは、付け足す言葉として、主体や対象(誰が、誰にとって、誰を)・時間(いつ、どれくらいの期間、どの時点で)・場所(どこで、どこの)・比較対象(何と何)などを紹介しました。
例えば、以下は今回のワークショップで学生が実際に作った質問です。

どこで小学生は英語を勉強すべきなのか

そして上の問いを「修飾」してできたのが以下の問いです。

学校以外のどこで小学生は英語を勉強すべきなのか

「学校以外での」という一言が付け加わりました。
こうすることで、「どこ」の答えの選択肢として「学校」が除外されることになります。
問いが具体的になったことで、考えるべき範囲が限定されたわけです。
また、元となる問いの文言の一部を入れ替えることによって、視点をずらす手法も紹介しました。

何で小学生は英語を勉強すべきなのか

上の例は、元の問いの疑問詞を「どこ」から「何」に変更して作った質問です。
こうすることで、勉強をする〈場所〉ではなく、勉強をする〈手段・道具〉を尋ねる質問に作り替えることができました。

「問いの整理」

「整理」は、ここまでのステップで作った問いを「軸に沿って並べる」ことを意味します。
ここまでは自由に問いを作ってきたわけですが、一度整理をして、似たような問いばかり作ってしまっていないかどうかをチェックしていきます。
例えば、時間(過去・現在・未来)や空間(個人・社会・世界)といった観点で問いを並べてみると、どこか特定の領域にばかり問いが偏っていたり、特定の領域にだけ問いが極端に少ないことに気づきます。
頭を捻っていろいろな種類の問いを作ってみたつもりでも、個人の思考の癖や思い込みによって、満遍なく問いを作ることはどうしても難しいです。
そこで、なるべくヌケモレなく問いを考えるために、こうして一度問いを整理し、偏りを可視化していきます。
そうすると、不足しているところを狙って問いを考えることができるようになるわけです。

今回はGoogleジャムボードを使って「整理」をやってみました。
時間軸と空間軸を組み合わせて、その2つの軸の掛け合わせた9の領域のどこにそれぞれの問いが位置付けられるのかをグループで話し合ってもらいました。

Googleジャムボードでグループワークに取り組んでいる様子

なお、今回追加した2つのステップは、井澤友郭著『「問う力」が最強の思考ツールである』(フォレスト出版)を参考にしました。
同書については、白百合女子大学での「問いづくり」ワークショップの開催報告記事でも紹介させていただきました。

3 少人数クラス

前回は1クラス40名弱の受講生がいましたが、今回は受講生が10名以下でした。
少人数での講座だったので、チャットや発言を促すことで、受講生からなるべく生の声を丁寧に引き出すことを意識しました。
時間配分や進行のことを考えると、講師が一方的に話す方が楽ですし、管理もしやすいのですが、主体的に考えながら受講してもらうためには、受講生に発言してもらったり、チャットに書き込んでもらったりする時間をこまめに挟み込むことが必要です。
とは言っても、私もまだまだ「活発な発言」を引き出すのが難しく、いつも苦戦しています。
今回も、チャットや発言を促しても、反応があまり良くなく、沈黙が続いてしまうことがありました。
どうしても発言がほしい場合は、ちょっと待ってみる、ということもするのですが、沈黙の時間は学生にとっても私にとっても辛いので、どうにか改善したいものです。
カメラのオンオフだったり、発問のタイミングだったり、反応の方法(発言なのかチャットなのかリアクションなのか、など)だったりで、反応のしやすさも変わってくるので、試行錯誤しながら、またその場の空気を読みながら、やっていくしかないのかな、と思ったりしてます。

アイスブレイクの様子。今回はツールの練習も兼ねて、スプレッドシートとジャムボードを使いました。

アンケートから

受講した学生からのアンケートから、いくつか感想・コメントをご紹介します。

いきなり具体的な問いを立てるのではなく、シンプルな問いから修飾していくというやり方が、分かりやすく多様な問いを立てることができて今後に生かすことができると感じた。

問いを修飾するという段階があるということを初めて知りました。これからも問を立てる際には修飾するというステップを踏みたいと思います。

質問を分類分けすることで整理できたのが可視化され、自分の中でもすっきりまとめることができました。

開かれた質問と閉じた質問の短所と長所を考えることで、それぞれの質問を場面によって使い分ける必要があるのだと感じました。

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