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【開催報告】アジアの言語を題材としたワークショップ@ドルトン東京学園

10月3日・4日の2日間にわたってドルトン東京学園高等部の学生に言語学の授業をしてきました。
授業に参加してくれた学生たちはアジアでの研修旅行を控えているということで、アジアの言語の文法的な特徴について授業してほしい、という依頼でした。
高校生を相手に授業をした経験はこれまでになかったため、学園の先生と数回打ち合わせをさせていただいて、どのような授業にするべきかを相談させてもらいながら、授業を作り上げていきました。

アジア研修の渡航先は、インドネシア、マレーシア、ベトナム、タイ、インドの5カ国。
そこで授業ではこれらの国で話されている代表的な言語を取り上げて、英語や日本語などの馴染みのある言語と比較してもらうワークショップを企画しました。

テキストには風間伸次郎・山田玲央編『28言語で読む「星の王子さま」:世界の言語を学ぶための言語学入門』を使用しました。

『28言語で読む「星の王子さま」』の表紙

この本は東京外国語大学出版会から発行されており、東京外国語大学で専攻できる28言語について、『星の王子さま』のテキストで学ぶことができます。
『星の王子さま』の各国語で翻訳されたテキストに加えて、各言語の特徴を簡単に解説したページがついており、その言語の概略を知ることができます。
また、本書の冒頭には編者の風間伸次郎氏による言語学への導入パート(言語学入門)があり、より深い言語学の世界へと案内してくれます。

今回は、『28言語で読む「星の王子さま」』からインドネシア語、マレーシア語、ベトナム語、タイ語、ヒンディー語、そして英語のページを、それぞれが何語かわからないようにしてコピーし、配布しました。
テキストを比較し、それぞれの違いを特定しながら、どのテキストが何語のものなのかを推理してもらったのです。

各言語のテキストの見開き1ページを使用しました。言語名は墨塗りで隠しています。

90分という比較的短い時間の中でしたが、言語を比較し、構造的な違いを発見する楽しさを少しでも感じてもらえていればいいな、と思います。

どのテキストが何語によるものなのかを推理してもらっている様子

学生のアンケートのうち、いくつか感想をここで紹介します。

  • 言語の見分け方について丁寧に説明してくれたので、分かりやすかった。自分もタイに行くので、タイの言語について色々調べたいなと思った。

  • 言語学に興味が出ました。以前より興味のある、ラテン語に挑戦してみたいと思います。

  • アジアだけで約2000もの言語が使われていることに驚きました。中には似通った言語もあり、見分けられませんでしたが、よくみると、発音や書き方にはっきりとした違いがあることに気づくことができました。アイヌ語など、日本の標準語ではない言語、知られていないものがある中で、消えていってしまう言語がある現状をよくするためにも、色々な言語に触れる良い機会になりました。ありがとうございました。

  • アジアに2306もの言語があることが衝撃だった。資料を見ながらどの言語か予想するのがとても楽しかった。

  • とても、言語に深く取り組めた時間かなと思います。アジア研修前だったので、一つ興味が増えたので良い勉強になったなと思いました。

  • 言語について今まで全く興味を持ったことがなかったのですが、今回日本語以外の言語についてどのようなものがあるのか知れとても良かったです。なぜ、この言語と判断したのか深く考えることで様々な発見をすることができた。

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