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悪魔とコールタール

感情がどすんどすんと身体中を踏みつけにし、その激しさに思わずうずくまる。聖母のようにあらゆるものに感謝をささげた瞬間、ヒステリーが稼動し、すべてをめちゃくちゃに破壊したくなる。しかし実際は、泣くことも怒ることも中途半端で、ふがいなさだけが心に積もる。ついていけない。わたしに、全くついていけない。

いままで抑えていたものが一気に噴出しているのだ。怒り、悲しみ、感じてはいけないと思っていた、あらゆる感情。わたしがそんなものを持っているはずがないと、笑顔の裏に握りつぶした、どす黒い痛み。コールタールのように真っ黒で粘着質なその悪魔。


悪魔は本当に悪魔だろうか。


雷に打たれたようにはっとわれに返り、涙が溢れ出す。と、同時に突然、真っ暗な空から大粒の雨が降りだした。


もう降参だ。何もかもつながっているのだ。好むと好まざるにかかわらず、わたしはすべてで、すべてはわたし。あらゆるすべてがわたしのために涙を流し、わたしはあらゆるすべてのために涙を流す。あらゆることに意味があり、そんな意味などどこにもない。ただ、感じて生きていく。こんなに強いそれがわたしの中に眠っている。目を覚ましてしまった以上、背中をむけるわけにはいかないのだ。それだけがわたしにできるすべて。果てしなき意味。


雨はやみ、静寂が広がる。ふたたび虫がささやきはじめる。深い霧が視界を遮る。いまはただ、眠りたい。べっとりとまとわりつく、汗と涙とどろどろの闇。

おやすみわたし。ときがたてば、否応なく、また光はやってくる。好むと好まざるにかかわらず。

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